道具 | 菅生雅文

道具


バンディット


6月末日。仕事の関係でスズキの竜洋テストコースを走った。

使った車両はM109R、バンディット1250、ハヤブサ、

GSXRなどスズキの現行ラインナップ。

どれもよくできている。曲がるし、止まるし、ブレない。

ひと昔前のバイクは、曲げる、止める、押え込むのに技術が要った。

いまのバイクは乗り手の意思がすんなりと伝わる。

「ここがダメだ」とか「あそこがプアだ」とか言う人の気が知れない。

どこまで望む? たぶんキリがない。

しかも、言うのは簡単だ。


私が愛用しているナガサは、はるか昔から変わらぬ製法で

作られたものだ。マタギたちが狩りで使っているものと同じ。

鋼材も、今では手に入らない、日本刀と同じものを使っている。

切っ先は川魚の腹が割ける。刃元は薪を割れる。

もちろん、きちんと研いでいればの話だ。

今は亡き阿仁の職人、西根さんの作。

まあ、刃物としてのさらなる進化を探ろうと思えば、できないことはないだろう。

でも充分だ、私には。いや、充分を超えて余りある。

ここがダメだと言うよりも、自分が使いこなせているかと問いたい。