引き継ぎに立ち合って
先週末、バイクの個人売買に立ち会った。
車両はBMW1150GS。売り主も買い主も、私の知人だ。
売り主は、初老の紳士で、立派なバイク乗りである。
買い主は、不器用だが誠実な、信用に足るバイク乗りである。
車両は試乗してみると、とてもいい状態であることがわかった。
売り主は、買い取り業者に売るよりも高い金額で売ることができ、
買い主は、バイク屋を通して買うよりも安い金額で手に入れることができた。
そういう意味では、何もかも、よかったのだろう。
個人売買の仲介は今回が初めてなのだが、
こんなに複雑な心境になるとは、思ってもみなかった。
買う側のうれしさと、売る側の寂しさが、
両方向から大きな念となって降りかかってくるのだ。
買い主の喜び、広がる夢、明日への期待が手に取るように
伝わってくると同時に(それはまるで、我がことのように)、
売り主の、寂しさ、つらさ、無念さが、グサリと突き刺さってくる。
売り主は、好き好んで手放したわけじゃないのだ。
ふと、はじめてバイクを売り払った日のことを思い出した。
19歳だった。
駅前のしょぼいスナックでバイトして買った、中古のGSX400Eだ。
欲しくて買ったんじゃない。不人気車で、安かったのだ。
なのに、どうしてこんなに涙が出るのかと思うぐらい、
いや、やめとこう、そんな話。
ブログに書くようなことじゃない。