ないのなら、作る
キャンプの朝、夜露に濡れた愛車がホコリまみれになっているのを見て、
「携帯用のコンパクトなバイクカバーがあればいいのに」と思っていた。
また、あるときは。
イタズラ防止、盗難予防のために、いつものバイクカバーを持参し、
いざホテルに到着してカバーを掛けようとして、
「エンジンやマフラーが熱くても、すぐに掛けられたらいいのに」とも思った。
冷えたころを見計らって駐車場に戻るのは面倒だし、
愛車を裸のままにして自分だけチェックインするのも気が引ける。
ツーリングに出れば、下まわりはどうせ汚れる。
だったら、上半分だけカバーできればいいじゃないかと、
それで作ったのがコレ。今月で、発売ちょうど一周年となった。
素材は、帝人ファイバーが開発した高強力ポリエステル素材で、
NASAのバルーンプログラムやアメリカズカップの大型帆布にも使用されているもの。
そのくせ、畳めば手のひらサイズになる。
多くの方に愛用していただいているのが何よりうれしいが、
友だちと図面を引き、試作品をこしらえてから春夏秋冬、
一年かけてテストしたのもいい思い出だ。
いちバイク乗りとしてツーリングに出かけ、
「こんなものがあったらいいのに」と切望したとき、それをカタチにする。
これも自分の務めなのかな、と思う。
最近は「頑丈で、雨も平気で、見た目もよくて、
大きくもなれば小さくもなるバッグがあればいいのに」なんて、
そんなことを考えている。
難しそうだけど、難しいから、考えるのは楽しい。
何でもそうですよね。