滝に打たれて三千里。その弐
そのとき僕は震えていた。
それは勝ち目の無い戦いを挑んだ哀れな戦士のようだ。
まだ彼は滝に打たれている。
彼の瞑想は一体いつまで続くんだ。
「このままではいけない。」
僕の中の妖精さんが呟いた。
「男を上げんか、この貧弱!!」
妖精さんが怒号を発した。
「くっ、くそ、このままで終われるか!!」
僕の中で何かが弾けた気がした。
意を決して僕はジーンズのままゆっくりと水に浸かった。
…やっぱ無理。いろんな意味でごめんなさい。
五百円あげるから許してください。
もう貧弱なままでいいです。そこまで体張れません。
あ、お釣りはいいです、取っておいてください。
そう、この日僕は強者にはなれなかった。
しかし確かに何かを得たような気がする。
それは彼が
何者にも動じない魂。男のあるべき姿。
帰り道、下半身ずぶ濡れの僕はその姿とは裏腹に
実に清清しい気分だった。
「誇り高く生きよう。」
なぜだか分からないがそう思った。
それはきっとあの青年が僕に伝えたかったことに違いない。
帰り道、なぜか僕の頭の中では
中島みゆき氏の「地上の星」が延々と流れていた。
~fin~

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