今日は何の日かもはや説明の必要もないでしょう。
そう、昭和63年のパリーグペナントレース。
川崎球場での近鉄VSロッテのダブルヘッダーだ。
この年は序盤、王者西武が独走し9月半ばで2位近鉄に6ゲーム差をつけ優勝は安泰かと思われた。
だが、そんな矢先に勝てなくなり、片や近鉄は新助っ人ブライアントの勢いもあって勝ち続けついに9月末には1.5ゲーム差に迫る。
そして10月4日、西武が阪急に敗れ、近鉄は日本ハムを破ってゲーム差は0.5に詰めて、2位ながら西武に先んじてマジックを点灯!(14)
翌日は西武の試合のない間に近鉄は日本ハムを続けて破りゲーム差0.0、1厘差ながら首位を奪い取った。
近鉄は追い上げ、西武は失速と勢いからして近鉄がこのまま押し切って優勝と思われた。
だが、2日の休みを挟んで最後の天王山2連戦。
ここまでの勢いからして近鉄有利、直接対決で見ても近鉄の13勝10敗1分と勝ち越しているだけに、アウェーながら近鉄が勝って優勝へ驀進すると思われた。
だが、ここで近鉄は優勝のプレッシャーからか痛恨の2連敗。
ここにきて致命的な2ゲーム差。マジック13は消えていないとはいえそれ以上に重いデッドカウント1だ。
そうだ、つまり近鉄は1つでも負ければ(同日西武が負けない限り)マジックは消え、より小さい数字で西武にマジックが灯るのだ。
その上、西武残り8試合に対し、近鉄は残り13試合。西武が4勝4敗だとしても近鉄は9勝しなければならない。
西武が6勝2敗ならば近鉄は11勝、西武が8試合全勝しようものなら1つも負けられず13連勝するしかないのだ。
近鉄の優勝は絶望的、一転情勢は西武有利に…
その後も西武は勝ち続けていく…だが近鉄も勝ち続けていく
10日は西武が勝ち、近鉄はダブウルヘッダーを連取。デッドカウント1には変わりないがマジックは2つ減りゲーム差は1.5に縮めた。
そして絶対有利と思われた西武が先に躓いた。
11日、南海にサヨナラ負けし、その間も近鉄は止まらず再び0.5差の大接戦!
勝利の女神は西武にも簡単には微笑まず優勝の行方はまたも混沌の渦の中に…
16日、西武は先に全日程を終了。結局8試合を6勝2敗で乗り切った。
73勝51敗6分 .589
近鉄はなんと9試合を8勝1敗!残るは4試合
72勝51敗3分 .585 ゲーム差0.5
西武は首位ながら優勝を確定できずこの結果待ちとなった
残り4試合を3勝するか、2勝2分けならば逆転優勝。
1勝3分けなら完全に同率だが直接対決で勝ち越している近鉄の優勝が決まる。
いずれにしても、微妙なラインだ。
そんな矢先の17日、エース阿波野の粘投虚しく阪急に敗れてしまいとうとう残り3試合はすべて勝たなければならなくなった。
1つでも引き分ければ優勝は消える。またまた西武有利な状況に…
だが、18日は近鉄が怒涛の12得点でロッテに圧勝!優勝の行方は19日のダブルヘッダーに持ち込まれた。
まず第1試合。ロッテに先制され、それを常に追う苦しい展開。それでもなんとか同点で9回を迎えた。
ダブウルヘッダーの場合第1試合は延長なしのため9回表に勝ち越せなければ近鉄の勝ちはなくなる。
折角のチャンスも代走佐藤純一が三本間に挟まれ絶望的なタッチアウトでツーアウト。
だが、梨田のヒットの間にこの試合のラッキーマン鈴木貴久が2塁から渾身のダイビングでついに勝ち越し点をもぎ取った。
しかし、これで終わりではない。ウラのロッテの攻撃があるのだ。1点でも失った時点でやっぱり近鉄の優勝は消える。
それでも満塁まで追い込まれながら初リリーフの阿波野が凌いで第2試合に望みをつないだ薄氷を踏む勝利だった。
思えば10月に入って、勝利の女神は近鉄と西武の間を行ったり来たりだった。
だが17日の阪急戦の敗戦以降は、まさに西武優勝一歩手前で近鉄の生き残りの戦いだった。
そしてこの第2試合はそんな勝利の女神の気まぐれを象徴するような試合だった。
この試合も先制したのはロッテで2回ウラ、マドロックのソロ。
だが、6回にオグリビーのタイムリーで追いつくと7回、吹石と真喜志が続けてホームランで2点リード!
そうだ久しぶりに近鉄に優勝が近づいた瞬間だった。
だが、そのウラ、ロッテは岡部のホームラン、そして西村のタイムリーで同点。再び優勝は西武に近づいてゆく…
しかし8回、この日ノーヒットのブライアントが起死回生の34号ホームラン!またまた優勝は近鉄に近づいた。
と思ったのもつかの間。そのウラ、ロッテ高沢に一発が出てまたも同点…
そして同点で迎えた9回だった。大石がヒットで出塁するも新井の三塁線を襲う鋭い打球が水上に止められ
あの「ディースイズプゥウーロやきゅー!!!(安部憲幸)」のプレーに阻まれまたも得点らず…
そのウラ、延長に望みをつなぐには1点も許してはならない。そして、その延長も時間制限のため11回までがやっとな状況。
そうだ、延長は12回までだが4時間を超えた場合、新しいイニングには入れないのだ。
始まった9回ウラ、先頭の古川にヒットを許し、送ろうとした袴田のバントを阿波野と梨田の連携が乱れ1.2塁ともセーフ。
そして、直後逸れそうな阿波野の牽制をセカンド大石がジャンプしてキャッチし、そのまま古川にタッチしてアウト。
これにロッテ有藤監督が猛抗議。結果判定は覆えらなかったがその講義で9分の中断。時間からしてもはや延長のチャンスは10回のみとなった。もちろん、それ以前に1点でも許せばその時点で優勝は消える…
だが、なんとか最後はベテラン淡口が根性でキャッチしてアウト…そしてラストチャンスの10回に入る。
10回はブライアントがエラーで出塁するも、オグリビーが「フォーク不足!三振!」で1アウト。
続くベテラン羽田の打球は最悪のセカンド方向へのゲッツーコースで無念の3アウト…
もはや残り時間は3分。11回に入ることはできなくなり時間の壁に跳ね返されて力尽きたのであった。
そう、このように勝利の女神がわずか4時間少々の間にも西武と近鉄の間を行ったり来たり。そんな試合だった。
恐らく球史でも最も短い消化試合となった10回ウーラの半イニング。もはや近鉄にとっては引分けだろうが負けだろうが関係ない。
しかし、それでも負けたくはなかったという気持ちで同点のまま試合は終わった。
74勝52敗4分 .587 ゲーム差0.0
史上3度目、パリーグで初のゲーム差0.0(れーてんれー)の決着となった。
球史に残る名勝負であると同時に球史に残る悲劇として永遠に語り継がれるであろう10.19
しかし、そんな波乱万丈な1日に反して私にとってはこれまでパチンコでおいしい思いばかりしてきた日でもあった。
今日もそんなジンクスに期待して…と思っていたが、お袋が夕方から体調を崩して最悪だったこともあって、結局行くことはできなかった。
悔いは残るがパチンコはここ最近の最悪な状況がたかがジンクスごときで打破できるとも思えないし、仕方あんめえ。
幸いおふくろの体調は持ち直したのだから、それでヨシとしなければバチがあたるだろう。