6/10日~6/16日 今日のひと言―波をこの手につかもうとして、すでに、海の中…… | 左藤無憂樹―生きる命をつなぐ蓮の絲…いのちの記憶

左藤無憂樹―生きる命をつなぐ蓮の絲…いのちの記憶

この流転する娑婆世界に、重荷を背負いながらも、
懸命に道を尋ねる心魂に、微細ではあっても、
生きる命をつなぐ蓮の絲……。

然(さ)ればこそ、
生きているよろこびも、心を塞ぐ哀しみも……
ともどもに、心にとどめて、
この娑婆世の道を歩いております……。

2019年(令和元年)6月16日-00292号
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枯れ果てて、散るのではありません。


この世は、かりそめの宿-

ならば-春さらば-と、すがしく散る、

万朶の桜のひとひらにこころ学びたいものです。


 今までも、このように生かされ、

そして、生きて参りました。


 師 承真尼婆子の後ろ姿を追いつ、

婆子の踏み跡を行きつ戻りつ……。




ひたすらに生きようとする、

盲目的意思を感じながらも、



深遠な真理を未だ識り得ない我が身の、

自分の愚かさに、

明けることのない夜……「 無明長夜 」を憶います。


だからこそ、人は心の遍歴と軌跡の中で、

心の樹海を彷徨い歩くとも、

無明長夜を照らす生きる灯火を、



心の旅を開く鍵を、

 人生の道すがらに求めようとするのです。

 

 

☆ 左藤無憂樹─生きる命をつなぐ蓮の絲……☆彡


vol.00292  2019年6月16日(日)配信

 



2019年6月15日  茶臼山古墳にて



 


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 ☆彡・最新の今日のひと言

 


★…2019年6月10日 今日のひと言


─この世の幾多の浮き沈みに……

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 


★…2019年6月11日 今日のひと言


─カミュとショーペンハウアーのこと……

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 


★…2019年6月12日 今日のひと言


─波をこの手につかもうとして、
すでに、海の中……

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 


★…2019年6月13日 今日のひと言


─ 一本道ではないにしても、

必ずどこかで道は通じ……

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 


★…2019年6月14日 今日のひと言


─この蹉跌の中とはいえども、

苦の境地から、視えてくるものがあるものです。

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 


★…2019年6月15日 今日のひと言


─人生の航路、背負ったものはぞれぞれ……

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 


★…2019年6月16日 今日のひと言


─自分の居場所を見つけて、

その場所で、懸命に生きて行く……

苦だ、楽だと分け隔てをしない。
浄だ不浄だと選り好みをしない。

◆この人の世を、生き、生きて憶うこと……

 

 

 


 ☆彡・ 憶いでの小筥から……今日のひと言

 

 

★…2015年5月3日 今日のひと言


─モッコウバラの 眩しかぎりに……
◆薔薇を詠みて

 


★…2015年5月4日 今日のひと言


─この世間での地位や、名声を得る事がなかったとしても……
◆生き辛くなるのは何故でしょうか……。

 


★…2015年5月5日 今日のひと言


─素……京都 四条通りの生糸屋さん店先で……
◆心とは何ものぞ……

 


★…2015年5月6日 今日のひと言


─上を見たら、際限がなく、果てしなく……
◆人生の旅の途中……。

 


★…2015年5月7日 今日のひと言


─人の世を 遡 (さかのぼ) り
◆人生の旅の途中……。

 


★…2015年5月8日 今日のひと言


─水至って清ければ底に魚なし……
◆人生の旅の途中……。

 

 

 


  ☆彡・こころの磨き砂

 

 

★…2015年5月9日 今日のひと言


─ただひたすらな素直な心……でしょうか。
◆心とは何ものぞ……

 

 


 

 

  ☆彡・編集後記

 

 

★…花の咲き継ぐ中に、
季節は音もなく移ろいでいます……。


 

 

 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 

6月10日  この世の幾多の浮き沈みに……

 


過去の失敗や、

挫折にとらわれると、

 

なかなか、心のままに、

一歩を踏み出すことができないものです。

 

過去の心に引かれるのではなく、
対峙することによって、


それらを乗り越え、

前を向いて生きてゆけるものです。


この世の幾多の浮き沈みにあって、

わが身が浮くか、沈むかは、

このこころ次第なのです。

 

 

        合掌





 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 

6月11日  カミュとショーペンハウアーのこと……

 


カミュは生きる意味を、

ー人間の心の奥底には、

生きる意味を「死に物狂い」で知りたいという願望が、

激しく鳴り響いているーとして、

 

激動する時代の中で、

ある意味妥協しない証言者でもあり、

あらゆるイデオロギーと闘い、

至高のモラルを体現した人物であったと、

共鳴できるものがあります。

 

 

 

ショーペンハウアーは、

『幸福論』の中で、
ー富は海水のようなものだ。

多く飲めば飲むほど渇きをおぼえるーと著し、


ー富を求めてもいい、

しかしながら、

求めるほど渇望感が増し、

苦しくなるだけだ……と云っております。

 

法律学から自然学までの、

広範囲の分野を網羅し、

人生や、存在の根本原理、事物の本質を、

形而上学的に明らかにしたとされますが、

 

ー富は海水のようなもの……は、

仏教思想にも通じるものと憶います。

 

インドでは宗教と哲学の境目がほとんどない……

とまで云われます。

紀元前6世紀以前に起きたサマナ(沙門)運動は、

厳しいアヒンサーとともに、

やがては、ジャイナ教、初期仏教、順世派、

アージーヴィカ教に影響を与えたとされます。

 

ショーペンハウアーは、

仏教精神思想と、インド哲学の精髄を、

明晰に語り尽くしたとされております。

 

主著「意志と表象としての世界」の中で、

報われないこの人生を、

苦痛と退屈の間を振り子のように揺れ動く……

 

世界は自我の表象であり、

その根底にはたらく盲目的な生存意志は、

絶えず満たされない欲望を追求するために、

人生は苦になる……と説き、

 

この苦を免れるには、

意志否定によるほかはない……と主張。

 

人生の本質をつく名言と憶います。



どうしようにもない、苦しみに打ちひしがれ、

苦痛と退屈の間を、

振り子のように揺れ動きながらも、

 

それでも、
生きる意味、目的を知りたい……と、

 

真摯にそれに対峙、

参究しているのが人間なのですね。

 

 

しかしながら、

如何なものでしょうか……

 

カミュにしても、

ショーペンハウアーにしても、

 

賢者の、

蒙を開く智慧というものは、

 

洋の東西を問わず、

人のこころをつかむものなのですね。

 

 

             合掌

 

 


 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆


6月12日   波をこの手につかもうとして、

        すでに、海の中……

 

 

 


しかしながら、

この世には生きる意味がない……と、

 

このように断言するのと、


生きる目的、意味が見つからず、

何のために生きるかが分からない……とでは、

 

まったく、

求める方向が異なってくるのでは……と憶うのです。

 

 

人生の目的……生きる目的。

 

波をこの手につかもうとして、

すでに、海の中……


すでに、海の中の、

奔流ともいうべき、

その流れに流されているのに、

 

波をつかもうと、

必死になっている姿が、

人間なのではないのかな……と、

時折、憶うことがございます。

 


          合掌

 

 


 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 

6月13日    

 

一本道ではないにしても、

必ずどこかで道は通じ……


 

 

無常の世の波間を漂い、

向こう岸まで渡ってまいりますのに、

 

無常を分け隔てするのではなく、

 

先入観なしに、

この無常を受け入れ、

向き合ってみる。

 


やがては、

不安を覚えることなく、

 

身の裡に、

平常心が湧いてくるものです。


人はしばしば、

過去の失敗や、

心の痛みにとらわれて、

日々生きているものですが、


しかしながら、

一本道ではないにしても、

 

必ずどこかで道は通じ、

希望の灯が見えてくるものです。

 

           合掌

 

 


 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 

6月14日  

 

この蹉跌の中とはいえども、

苦の境地から、

視えてくるものがあるものです。

 


人はしばしば、過去の失敗や、

心の傷の痛みにとらわれてしまいます。

 

過去の失敗や、挫折にとらわれると、

なかなか、前向きに、

一歩を踏み出すことができないものです。


 

とはいっても、

この蹉跌の中とはいえども、

苦の境地から、

視えてくるものがあるものです。


決して絶望することなく、

前向きに生きようとする

その憶いは、

 

「 無明長夜 」の、

心の旅を開く鍵かもしれません。

 

         合掌

 

 

 

 

☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 

6月15日   人生の航路、背負ったものはぞれぞれ……

 

 

この世に生を享けてよりの、

いわば、人生の航路ですが、


背負ったものはぞれぞれ……


自分独りの力で、

この世を生きてきたのではなく、

 

さまざまな縁により、

支えられて、生かされ、


また、

他をも生かしていくという、

自利他利の力がはたらくのですね。

 

 

            合掌

 

 

 


☆‥…─━━‥………‥☆彡今日のひと言……‥‥━━─‥…☆

 


6月16日       自分の居場所を見つけて、

                その場所で、懸命に生きて行く……

      苦だ、楽だと分け隔てをしない。
      浄だ不浄だと選り好みをしない。

 

 

夜半、我が身をふり返り、

教義に関係なく気に入っている

「 仏説父母恩重難報経 」や、

「修証義」に目を落とす時がございます。

 


来し方行く末を、

懐かしい方々を憶うひと時がございます。

 

もう少し、こころを尽くせなかったのか、

等など、割り切れない感情もありますが、



それでも、

希望の芽を摘み取ることなく、

「ため息を吐く」こともなく、

 


自分の居場所を見つけて、

その場所で、懸命に生きて行く……


苦だ、楽だと分け隔てをしない。
浄だ不浄だと選り好みをしない。

 

そこに、

平等の智慧と慈悲の心が働くのです。


この人生が、生きるに値するか否か等など、


感謝こそすれ、

努々( ゆめゆめ )憶ってもいけないのです。

 

                 合掌


 

 


・‥……─━━…‥…‥憶いでの小筥から‥…‥…━━─…‥‥

 

2015年5月3日     モッコウバラの  眩しかぎりに……

◆薔薇を詠みて

 


棘なきて


蔓いて枝垂り


華やかに


モッコウバラの


眩しかぎりに

 


2015年5月3日 詠

 


締め切りが迫っている原稿があり、

夜半、動物たちの世話をしながら、

結局、徹夜になってしまいました……。

 

明け方、茶臼山の方から、

山鳥の啼き声が、聞こえてまいります。

 

若い時は、

徹夜も平気だったのですが、

最近は、そうもいかないようでございます。


しかしながら、

鎮まる夜半、

朝を告げる山鳥の啼き音に、


我が身をふり返り、

修証義に目を落とす時、

 

これまでの来し方、

これからの往く道を憶う時がございます。


知らず露命いかなる道の草にか落ちん、


身巳(すで)に私に非(あら)ず、


命は光陰に移されて


暫くも停(とど)め難(がた)し、


紅顔いずくへか去りにし、


尋ねんとするに蹤跡(しょうせき)なし……

 

なかなかに、

春も、もの憶う季節であるようでございます……。

 

                   拝

 


・‥……─━━…‥…‥憶いでの小筥から‥…‥…━━─…‥‥

 

2015年5月4日

この世間での地位や、名声を得る事がなかったとしても……
◆生き辛くなるのは何故でしょうか……。

 


自分のやる事、

なす事のすべてが、

彼の人に、

良い評価となって伝わる……という事は限りません。


だからといって、

どんなに頑張っても、報われる事はない―と、

諦めてはいけないのです。


どんな困難や、

煩わしい問題が発生しても、


たとえ、

この世間での地位や、

名声を得る事がなかったとしても、


身の丈ほどの、

ありふれた暮らしの中で、


心豊かな生活と、

人生を過ごす事は出来るのです……。


          
              合掌


 

・‥……─━━…‥…‥憶いでの小筥から‥…‥…━━─…‥‥

 

2015年5月5日
素……京都 四条通りの生糸屋さん店先で……
◆心とは何ものぞ……

 


素……糸には色をつける事から、

染色していない白い糸、白い絹の布を表すとのこと。

もともと、手を加えていないものや、

もとからの、ふだんの。


物事を成り立たせるもと。

根本になるもの。

地のままで何もつけていない……など。


装わないで、

生地(きじ)のままであること。


他のものが加わらないで、

そのものだけであること。


ありのままの純粋な、

平凡な、ただそれだけの、などの意味もあるようです。


素……素顔。


ありのままの自分……


あるがままに……


京都の四条通りで見かけた、

生糸屋さんの古い写真を眺めながら、

憶いを深くいたしました……。


           合掌

 


 

・‥……─━━…‥…‥憶いでの小筥から‥…‥…━━─…‥‥

 

2015年5月6日

上を見たら、際限がなく、果てしなく……
◆人生の旅の途中……。

 


時間の砂時計……。


残された時間は、多くはありません。

自分には無理……と言っていては、

前に進めません。


上を見たら、際限がなく、

果てしなく……

切りがありません。


足がかりのない砂地で、

ひたすら、上を向いて頑張ることが

人の幸せではありません……。


向こう見ずに走るよりも、

遥かな高みよりも、

暮らしの中で息づいている、

命に気づくことです。


自らの人生をブロックし、

道をシャットアウトしてはいけません。


風に逆らって散る花も、


雲に逆らって、

流れる雲もないのですから……。
 


           合掌

 


 

・‥……─━━…‥…‥憶いでの小筥から‥…‥…━━─…‥‥

 

2015年5月7日

人の世を 遡 (さかのぼ) り
◆人生の旅の途中……。

 


遡 (さかのぼ) り

 

流れを尋ね

 

櫂を漕ぎ

 

深さ浅瀬に

 

喜も憂も無し

 


2015年5月7日  詠


 

連休は、訪ねて来られる方々が多く、

どこへも出かけることはありませんでした。


いつの世も、

あたかも、この世の実相を見るがごとく……


その間にも、

花は咲き継いで、


暦の上では、もう夏……。


早いものでございます。

 

       合掌


 

・‥……─━━…‥…‥憶いでの小筥から‥…‥…━━─…‥‥

 


2015年5月8日

水至って清ければ底に魚なし……
◆人生の旅の途中……。

 

有機物を多く含んでいる田畑の土……

地味が肥え、活力があるために、

色々な作物、生物の命を養い育てるのです。

 

水……


水至って清ければ底に魚なし


        ―五常内義抄―

 

これも、あまり清澄すぎますと、

魚、水辺の生物が棲みつかないようです。


人も、絶海での独り暮らしにあらず……


ましてや、

荒れ地を、まっすぐ歩いて行きなさい―と言われて、

そのまま真っ直ぐ歩いてゆく事はしないでしょう。

たとえ、曲がりくねった道であっても、


眼の先に、目的地の山を捉えながら、

ひたすら、その峰を目指して歩くはずです。

 

                合掌


 

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■「こころの磨き砂」

 


2015年5月9日

ただひたすらな素直な心……でしょうか。
◆心とは何ものぞ……

 

憶えば、この大地、

天地自然の姿は、

人にさまざまの憶いを起こさせるものです。


世情の流れを憂う心は、

流れのままに、

絶えず変化しながら、

定まることがありません。


人、物に執着するあまりに、

自己を見失ったり、

他人の声に影響されて、揺れ動いたり、


人は、迷いを抱えて、

昨日の残り火を抱いて、

まだ来ぬ明日を憂い、


踏みとどまりながらも、

今日、明日を生きるものです……。

自然の理に従うということでしょうか……


人も、この天地自然の中で、

命をつないでいる限り、


天地自然の理に応じた、

生き方をするのが、

自然の理に適った生き方なのです。


その心は……

何ごとにもとらわれない、


ただひとすらな素直な心……でしょうか。

 

              合掌


 

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編集後記

 



2019年6月15日  古墳道にて


 

花の咲き継ぐ中に、

季節は音もなく移ろいでいます……。

 


雨に濡れたあじさいの花色が、

ことのほか美しく感じられ、心が洗われるようでございます。


お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。


降りつづく雨も、

草木や穀物にとっては恵の雨となり、

 

里山の緑もいっそう瑞々しく、

鮮やかに目に映える季節でもあります。


茶臼山参道脇には、桐の古木が点在し、

今、釣鐘型をした紫色の綺麗な花が、

見頃を迎えております。


花の咲き継ぐ中に、

季節は音もなく移ろいでいます……。


梅雨寒に、

どうぞ御身お大事になさいますよう。 拝



 

 






 

※記事に掲載されている文章、和歌、画像は既に出版されている
ものもあり、無断転載・引用はご遠慮下さいますようお願い申し
上げます。どうぞ、おくみ取りくださいまして、
よろしくお願いいたします。