息子はしばらく僕の様子を伺っていたが、僕は何も言わなかった。
その間、息子は自由画帳と絵本を交互にみながら、何かを書いているようだった。
僕は黙っていた。
息子は、完成した絵を僕に見せながらバナナやミカンやブドウが闘う話しについての魅力を語ってくれた。
僕はできる限り息子の話を理解しようとしたが、正直いって自信が持てない。
しかし、息子にとって、それはとても大切な話のようだった。
「ぼくもコウタみたいに強くなれるかな?」と、息子は言った。
「なりたいと思えば何にでもなれる。ご飯を沢山食べればね。」と僕は顔をあげて言った。
何の予定もない休日の朝、僕らはいつもこんな会話を繰り返しながら朝食を食べる。
「ご飯をピカピカにしたら、仮面ライダー鎧武の映画を観に行こうか?」
いつものように、根負けした形で僕が言う。
息子は、僕の誘いには答えずに、妻に向かってご飯でパンパンの口を開いて言った。
「本当は、おとうさんも仮面ライダー大好きなんだよねー。」
息子と妻は嬉しそうに出かける準備を始める。
「悪くない」
