「ノンちゃ~ん、彼さぁ、薄々気付いているような気がするんだけど…」

「あらぁ、どうしたの?」

アイスコーヒーの氷の音に混じって、BGMの何処かへ旅立ちたくなるような夏の唄が聞こえてた。





「彼がこの間来たときに、アクションを起こすと必ずノンちゃんに会ってないか?ってなことを聞いて来たの。」

「たまたまじゃないの?」

「お部屋もノンちゃん好みの気がするって言うから、慌てて椅子に話を持って行ったんだよね。何か、感が鋭いって言うか…」

「少し、様子をみましょう。
けど、彼は感が鋭いわよ~ん。
最近、うちの職場の花形部署の子と会ってない?気にしてるわよ~ん。」





「あぁ、あれ。
あれは、友人のちなみちゃんが、仲を取り持ってって頼まれたから、お互いお似合いだと思って、男の子のところへ行ってるだけ。
そしたら、数人のお友達が出来たって訳。
私は、花形部署だろうと何だろうと関係ないんだけどね。彼の方が美男子だしぃドキドキ

「それならいいわよん。本当ね?」

「だから!アップで迫るのは止めんかいね。
もちろん!美男子の彼が好きなんだものっちゅーか、彼が好きですねん。」ラブ

「彼が、イライラしてるから、ちゃんと伝えなよ。誤解を招くよ~。」

「何で?彼と付き合っているのに?変なの~。」

「とにかく、誤解を解くのよ。分かった?」

「ラジャー('◇')ゞ」

数日後、彼と会う喫茶店。
BGMは、フルーツが並んだ可愛らしい恋の曲が流れて、一気に海へ連れて行ってくれるような気がした。







「美香さぁ、僕の職場のあの部署の人に会ってない?」

「会ってるよ。」

「えっ!?…」

BGMが涼しげな風景を唄っている。





「あのさぁ、秋になったら、山陰にしばらく行くんだよ。
その間、どっちと付き合うか、決めてくれないかな?春になったら、帰って来るから。」

BGMは、昇交点黄経の記号が入ってるグループが澄んだ声で夏を切なげに唄っていた。

つづく…