“正しくない医療情報”が問題となってWELQなど、医療系のサイトの閉鎖や閲覧不能、配信停止が続いてましたね。
記者会見を開いた会社(Dena)があり、メディアからは原因を聞かれていて
「医療が専門の書き手ではなかった」とか
「(判断できる)編集者を置いてなかった」という回答をされていましたが
そうなったのはつまり、
編集とライティングの予算の削りすぎ
が原因かと思いますよ。
専門分野の仕事として、まっとうな予算を組んでいたら、医療系の編集者もライターもいますし、それまでの仕事のつながりで、取材や監修をお願いできる医師や専門家も知っているはず。
せめて雑誌に近い予算を設定していたら、怪しい内容の記事化など防げていたはずなのです。
ここ何年かは医療・健康情報のニーズが高く、テレビ番組でも"医療バラエティ"というジャンルが定着するほど。ネット業界でも医療ネタだとアクセスが稼げる=お金になると注目されたのです。
医療系サイトの開設の話はいくつも聞きましたし、いくつか関わりました。
やはり、編集・ライターの予算はかなり低額なものがほとんどでした。
どの部門に多く配分されているかはそれぞれ違っているようでしたが、たとえば、医師や専門家に取材をして謝礼をお支払いしたら、ライターのギャラ、またはライター+編集者のギャラは¥0になってしまうものは珍しくありませんでした。
そのため、記事を作る現場では"やりくり"が必要になります。
「できるだけ取材をしないように」「今までの取材の知識だけで書いて」と頼まれることもありました。(以上、過去形で書いたような仕事は今はやっておりません)
"正しくないコピペ記事"の問題には、こういう背景があると思いますよ。
まして、今回問題になったサイトでは、1記事¥1000とも言われてますし。
記事検索→コピペ→記事完成を1時間くらいで仕上げないと、割に合わないわけです。
こんな状況で、間違いのない情報を配信し続けられたら奇跡です。
医療情報は、学会発表や論文発表されたものが正しいとは限りません。
学会会場で批判されることもありますし、論文もおかしな点が含まれているものがあるのです。
また、海外発の医療ニュースは、日本人とは全く違う食生活の人々のデータだったり、気候や人種、文化背景も違うため、参考にならないものもたくさんあります。
確認のため医師に尋ねるにしても、専門分野が違えば「わかりません」と言われてしまうだろうし、最新の情報は、学会に出られている医師でないとご存じでなかったり。
また、反対意見の医師だと否定されてしまうでしょう。
ネットから記事を拾ってきてまとめるにしても、おかしな部分を見つけて、確認すべきことを、ふさわしい医師や専門家に確認する作業は必要です。それは、素人ライターさんや医療分野に詳しくない編集者がすぐできることではないのです。
(ファッションも美容も食も、すべての専門分野に言えることです)
今は、何をするにしても無駄なことは削られます。
が、削ってはいけないところの見極めも必要です。
様々な分野で素人さんが活躍しやすい世の中になっていることは大変いいことだと思います。
けれど、専門性が重要な分野もあるのです。
「人をできるだけ安く使おう」という風潮が生む問題がさらされたことで、この点が改善されていくことを望みます。
でないと、スキルを上げようと勉強をしている人が報われません。
ちなみに、私がスタッフとして参加している医療系サイト
「AgingStyle」http://www.agingstyle.com/は
取り上げる記事の判断や方向性のチェックに医師や専門家か関わっていて、
記者による取材も行っています。
メールでのミーティングで議論になることもありますし、記事化を取りやめることもあります。
安心して読んでいただけると思います。が、気になる部分がありましたら「お問い合わせフォーム」がありますので、 ご利用いただけます。
というわけで、医療系サイトにもいろいろあります。
見極めて、有益な情報を得てくださいね。