沖縄民謡名選集1 ~ 嘉手苅林昌 / ナークニー その2
僕が、嘉手苅林昌を好きになったのは、一本の映画を見てからだ。
高嶺剛監督の沖縄映画ウンタマギルーをビデオで見て、ファンになったのだが。
僕が20歳位のことで、方言が解らずチンプンカンプンだったのだが、劇中に唯一、心に響いたのが、何か暴動めいたシーンで、それに関係無く林昌が、カチャーシーの唐船ドーイを唄三線でやっていたのだ。
何かその妙に高揚するようなグルーブ感とリズムにやられた記憶がある。
林昌の十八番は何か?となると、ナークニーと言われる事は多い。
彼の変幻自在というか、即興で琉歌を詠み、歌に乗せる能力が卓越しているからなのだが、彼の膨大な録音点数の中でも1番多く録音されたのがナークニーではないだろうか。
僕は、林昌の節回しというか、歌声が大好きだ。
くぐもったような喉だけを使ったような声は、大島保克辺りと似ているのだが、声質の割りにどんな曲調にもあっているように思うのだ。
登川誠仁も彼の声と節回しのファンである事を広言している。
年や寄いちみてぃ
七八十なてぃん
いちゃしがな肝や
今ん十八
奥山ぬ炭や
焼ち焦がらするよ
哀りくぬ我身や
思い焦がり
「年を取って老人と呼ばれる頃になったが、何故か、心は十八のままだ。
木炭は、焼いて燃やし使うもの。悲しくも俺は、恋に焼け焦げている。」
沖縄民謡名選集1に収録のナークニーの意訳だ。
林昌のどこかユーモラスながらも心を打つ歌詞が、素晴らしい。
前につんのめるようなリズムで弾かれる彼の三線は、特徴的で、歌詞の深さと相互に歌を孤高の物にしているように聞こえる。
この歌での林昌の声はいい。
晩年の平成の嘉手苅林昌やナビィの恋、ラストセッションでは、既に往年の伸びやかな声は聞けなくなっていたが、壮年期に録音されたこれは、林昌の歌唱芸を堪能できるのだ。
惜しくも、ナビィの恋を最後の仕事に亡くなってしまったが、彼の歌唱は1000曲にも昇る録音で、今でも聴くことができる。
彼が、何故島唄の神様と呼ばれたか、僕にはまだ聞いてない音源が多くて、勉強しなくてはと思っている。
彼の唄は確かに島唄だ。
ポップスとかロックに変換不可能な唯一無二の唄者なのである。
今回は、僕が好きな林昌のアルバムを。
- アーティスト: 嘉手苅林昌
- タイトル: 琉球情歌行
- アーティスト: オムニバス
- タイトル: 沖縄民謡名選集(1)