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今年の3月1日から3月中の期間限定販売していた春色甘酒に使用していた紅麹菌が大変なことになっています。

まだ因果関係ははっきりしていませんが、もしサプリメントがきっかけとなって亡くなった方がいらっしゃれば、とてもお気の毒と思います。

 

結論から言うと、春色甘酒に使用していたのは小林製薬が製造して卸販売をしていた紅麹菌でした。報道が出た時点で春色甘酒は完売し、在庫も残っていなかったので慎重に情報を集め、委託販売させていただいた店舗の方々と連絡を取っていました。

幸い、今のところ問題となるような連絡はいただいていないようです。

 

紅麹菌を購入したメーカーさんに問い合わせたところ、

・サプリメント用

・着色用

・今回購入した粒上の紅麹菌

は、同じ工場内でも、異なるラインで製造された製品とのことでした。

 

また、モナコリンK(シトリニンでした…汗)という紅麹菌から作られる可能性があるという毒性のある成分は、遺伝子的に作られないことも確認されていて、実際に販売した製品と同じ紅麹菌を検査しても問題となる成分は検出されなかったそうです。

 

まだまだ解明されていない部分が多いので不用意なことは言えませんが、紅麹菌の過剰摂取も腎臓に負担をかけたのではないかという専門家もいらっしゃるようです。

春色甘酒には1本あたり約6gの紅麹菌を使用しました。こちらで推奨している100ml/日で計算すると約1.2gなので、過剰摂取にはならないと考えています。

 

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少し話しが逸れますが…

 

腎臓はとても重要な臓器だということを、病院勤務していた20代に強く認識してきました。

糖尿病の3大合併症として有名な腎症は、高血糖の状態が長期間続いた結果、腎臓の中の毛細血管がもろくなり内側から腎機能にダメージを与える症状です。

腎機能は一度落ちてしまうと回復が難しいと言われます。

 

腎機能が落ち始めた方への食事療法は、「たんぱく質」と「塩分」の制限がメインでした。

今は少し変わっているようですが、当時はたんぱく質20g/日、30g/日、塩分3g/日など厳しい制限の献立を立てていたので、ほとんど全ての食品にたんぱく質が含まれていることを知りました。たんぱく質が全く含まれていないのは、春雨やタピオカなどのデンプン類くらいです。

そのくらい厳しい制限の厳しい食事では、おかずに使うたんぱく質を確保するため、主食の白米でさえたんぱく質を極力0に近づけた商品を紹介していました。

 

ゆめごはん(低たんぱく質ご飯)

 

腎臓は、年齢と共に機能が落ちていく臓器です。

今回のサプリメントも含め、個人的にはプロテインなど何かひとつの成分を凝縮した食品を摂り続けることに怖さを感じます。

普通に生活していると知る機会は少ないですが、透析導入される患者さんは毎年増えています。

 

透析患者の年齢推移

 

 

 

 

透析導入する原因疾患は糖尿病が1位です。

糖尿病は血糖コントロールに重点をおいた食事療法を進めますが、合併症の腎症発症後は、たんぱく質と塩分の摂り過ぎを避ける食事療法に切り替わります。

糖質と脂質は体内で水分と二酸化炭素に分解されますが、たんぱく質は窒素を含むので、体内に残らないよう腎臓でろ過されて尿と一緒に排泄されます。たんぱく質(特に動物性)の摂り過ぎは、腎臓に大きな負担をかけます。

 

腎臓の機能を低下させる要因は、年齢・高血圧・脂質異常症・糖尿病など数知れず、通常の食事に追加してプロテインを摂る必要がある中高年がどのくらいいるのか疑問です。

サプリメントやプロテインなどの摂取は、一度血液検査で自分の身体の状態を確認してから始めると安全です。

 

 

透析患者の原因疾患

 

今回、「健康になりたくて飲んでいたサプリメントでこんなことになるなんて・・・」

というインタビューの回答が印象的でした。

 

食品を扱う者として、改めて気を引き締める必要があると感じました。