まだ私が二十歳頃のことだった…
ゴルフ場のレストランの前で40台の俳優さんを見た
辛うじて知人と呼べる彼は私を見るとニッコリ笑った
そしてゴミ箱の前に来るとポケットに手を入れ何かを捨てた
「久しぶり」
彼の笑顔と白くきれいな歯は眩しかった

彼の残した柑橘系の爽やかな残り香を感じながらふとゴミ箱を見ると「GITANS」とあった
青くエキゾチックな箱は彼に似合っていると思った
ジタンの空箱…
頭の中に「飛んでイスタンブール」が流れた


「ひねり捨てるだけで 諦めきれる人(飛んでイスタンブール歌詞より)」
大人ってクールに生きられるのね…って思った
エキゾチックで大人の歌だ…と思った。
あれからだいぶ経つけど、私はまだそんなカッコイイ大人になっていない。
(写真の空箱はジタンではありません)