10歳の頃

京都から滋賀に引っ越し。

 

ちょっとしたイジメにあった。

 

その頃じゃないのかな?

もう死んでしまいたいと

初めて思ったのは。

 

 

そのとき

支えになってくれた

トモコちゃんという女の子。

 

 

 

机に書かれた落書きを

一生懸命 消してくれたり。

 

 

大雪の日、

トイレに捨てられて着れなくなった

ジャンパー、

 

寒空の下、

雪景色の帰り道、

自分のジャンパーを

貸してくれたり。

 

 

靴を濡らされたときは

ハンカチで一生懸命

拭いてくれたり。

  

 

ボクは今

トモコちゃんのおかげで

生きることができています。

 

 

トモコちゃんとは

途中の小さな公園まで

帰る方向が同じ。

 

 

からかわれないように

別々に学校を出て

途中で待ち合わせ、

公園まで一緒に帰る。

 

 

そんな日々が

続いていた。

 

 

鉛色の空、

ある寒い土曜日。

 

いつものように公園で

バイバイと別れ

家に向かおうとしたとき。

 

 

トモコちゃんが

家の方向に歩き出さず

ベンチに座るのが見えた。

 

 

ボクは駆け寄って

 

トモコちゃん

帰らないの?

 

と聞いた。

 

 

トモコちゃんは

 

うん

 

と小さな声で答え

うつむいた。

 

 

ボクはなんだか

そばにいた方がいい気がして

少し間を空けて

隣に座った。

 

 

帰らなくていいの?

 

ボクのことを心配して

トモコちゃんが聞いてくれる。

 

 

ボクも

 

うん

 

と小さく返事したが、

その後、沈黙が続く。

 

 

不意に

トモコちゃんがボクに聞いた。

 

ねぇ、

子供ってどうしたらできるか

知ってる?

 

 

えっ?

知らない。

 

 

大人になって

一緒に寝たらできるらしいよ。

 

え、そうなん?

 

 

うん、

でも、寝るだけじゃなくて

手を繋ぐんだって。

 

 

そういうと

トモコちゃんは

ボクの手を握ってきた。

 

 

まだ子供だから

できないよね。

 

 

トモコちゃんはそういうと

すぐに手を離した。

 

 

そして、

 

最近は

嫌なこと

されなくなってきたよね

 

よかったね

がんばったよね

 

と、少しにっこりしてくれた。

 

 

ボクは

 

うん

 

としかいえなかった。

 

 

でも、

いじめられなくなったら

トモコちゃんが助けてくれたり、

一緒に帰ってくれなくなるんじゃないかと

不安を感じた。

 

  

沈黙のあと

トモコちゃんが

 

もう帰ろ。

お母さん、

心配するよね。

 

といい、立ち上がった。

 

 

ボクも立ち上がると

 

ばいばい!

また月曜日にね!

 

といって、

トモコちゃんは家の方向へ

走って行った。

 

  

月曜日。

 

トモコちゃんは

学校に来なかった。

 

 

先生が言うには、

急な引っ越しで

転校したとのことだった。

 

  

 

あとから知ったことだが、

トモコちゃんは

お父さんと二人暮らし。

  

 

なかなか厳しい

生活だったようだ。

 

お父さんとも

暮らすことができなくなり、

遠くに住む親戚に

引き取られたようだ。

 

 

もしあの頃に戻れるなら。

 

トモコちゃんの

辛さや寂しさ

苦しさや不安を

全部まるごと

受け止めてあげたい。

 

トモコちゃんが

ボクにしてくれたように。

 

 

そして、

握られた手を

強く握り返したい。