俺にとって息子とは何か?


自分の子供?


そうだ。


俺は息子の保護者?


そうだ。


息子にとって、俺は最初に超えなければならない壁?


そうだ。


息子にとって、俺は一番身近にいるヒーロー?


そうだ。


息子とって俺は、俺にとって息子は唯一無二の存在?


そうだ。




俺は息子が大好きで、同時に息子の大ファンでもある。


息子は俺が叶えられなかった夢を、まだ中学2年生にも関わらず、次から次へと叶えている。


だから、どんな事でも全力で応援したいんだ。



先日受けた中間テストは散々な結果だった。


これでは第一志望校に受からないかもしれない。


だから、俺は息子に雷を落とした。


もっと効率よく勉強して、無駄な努力はしないで、短時間の勉強でテストの目標点をクリアして、さっさとサッカーの練習に行け、と。


アイツの心にどのくらい響いたんだろうか。


俺は、アイツには俺と同じ失敗はして欲しくない。


野球しか考えずに生きてきて、プロ入りが叶わなくなった瞬間、人生を生きる意味を失った。


そうはなって欲しくない。


だからサッカーも。


勉強も。


文武両道。


少しは響いてくれたかな。





気付いたら、12時を超えていた。


いかん、うたた寝しちまった。


早く洗濯干して寝ないと。


息子はどうやら勉強を終わりにして先に寝たようだ。




洗濯機を開けた。


空だった。


あれ?干したっけ?


いや、干してない。



2階に上がった。


そこには、綺麗に洗濯物が干してあった。


アイツ。


俺が毎日全力で仕事に家事にPTAに部活の送り迎えと応援に。


休む間もなく走り回って、ついうたた寝しちまった俺の代わりに、洗濯物を干してくれた。


もうそれだけで、オマエの気持ちは充分伝わっているよ。




明日の朝、息子を抱きしめよう。


言葉なんかいらねえ。


まだ中学2年生なのに、もう身長は170cmを超えた。


それでもまだ、俺よりはるかに小さい。


早く。


早く俺を超えてくれ。


アイツは、都道府県でナンバーワンのサッカー選手になれる。


まずはU15。


そこにお前が選ばれるんだ。


お前が結果を出すことが、俺にとって最高の親孝行なんだよ。


今はこれしか言えない。


頑張れ!息子よ!