[寒中見舞いで] キミに送る [予告したやつ]  ~松風天馬編~ | エンジェル クラウン

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==注意==

・最初と最後にちょっとオリキャラ出現

・全面的に(口調とか場所とか)迷子(´・ω・`)

・シュウ君が時間制限付きで生き返っています(`・ω・´)

別世界設定

・いまさら
決勝戦前

捏造ばっかり

・オリキャラが某ゲーム作品の黒コート集団が主に移動に使用する回廊を使っています。

・友情重視…かな

おk…?

====

カランカラン、と店のドアの鐘が鳴った。

「いらっしゃいませ。ご来店お待ちしておりました。」

少し遠慮がちに店に入ってきた少年を見て、店の主人 闇影 黒無 はフフっと笑った。

今日のお客は黒無の知り合い…いや腐れ縁というものでつながった人物により紹介された少年である。

黒髪で前髪を青緑色の玉飾りで束ね、眼は光を宿さずというように漆黒の色合いを持ったどこかミステリアスなふいんきを出す少年だった。
(まぁ、それを黒無が言える義理ではないのだが。)

「お茶を用意してあります、どうぞこちらへ。願いの確認等、聞きたいこともございますので。」

「あ、はい。」

少年はやはり遠慮がちだったが、奥のテーブルの椅子へと腰かけた。

「それではまず、お名前と願い、そしてお代のご確認を。」

そう言って紙を差し出す。少年は紙を見て確認を済ますと「お願いします。」と言って一礼した。

黒無は「承知しました。」と言うとにっこり笑った。


====

とある場所のとあるグラウンド。日は沈み、空はもうすぐ闇へ変わろうとしていた。

そしてそこに一人キラッと闇の中でも目立つ白髪を一つに結び、それを激しく揺らしながらボールを一生懸命に蹴っている少年がいた。

最後のボールを蹴り終え、肩で息をつきながら空を見上げた少年は少し前にともに戦った少年と『あの日』のことを思い出していた。

「…自分たちの信じるモノをかけた本気の試合。あの試合ほど熱くなれるものは無かった。」

少年は自らの拳を胸にあてた。「またあのメンバーで戦いたい…。」

それはもう無理な話だとわかってはいるはずなのにいつもいつも思ってしまう。

「またあの時のように…」




「サッカーやりたい?」

ハッとする。

どこからか、自分と共に戦った元チームメイトの声が聞こえた気がした。

====

「っつっかれたぁ~!」

稲妻町河川敷にて。
綺麗なスカイグレーの瞳と栗色の髪がまるで翼のようになっている少年、 松風 天馬 はベンチに座りニコニコと笑みをこぼしていた。

彼は先ほどまでサッカーをやっていた。

足元にはサッカーボールが一つ転がっていることと汗をふくんで少し湿ったユニフォームが証拠である。

今日は日曜日、部活は休みだった。つまり自主練というやつである。今はその休憩中のようだ。

「もうすぐ決勝だ…頑張らなきゃ!」

天馬の通う雷門中はもうすぐホーリーロード決勝戦がある。

キャプテンの神童が怪我で出場できなくなってしまった今、雷門のキャプテンは彼なのだ。
1年生にもかかわらず、キャプテンになった天馬。

不安や恐怖が無いと言えば嘘になる…いや、本当はプレッシャーに負け、逃げ出してしまいそうなほど。

だがそれ以上に…楽しみなのだ。強いチームとサッカーができるということが。

天馬は最初は一人でサッカーをやっていた。そのため、今いる仲間や他の人と一緒にサッカーができることがたまらなく嬉しいのだ。

「ハァッ!!」

「!」

突然、天馬のもとへ何かが飛んできた。天馬はそれを何とか食い止める。

すさまじい音と共に飛んできたものは…サッカーボールだった。

「なかなかやるね。」

頭上からの声にハッと顔をあげる。
すると、そこにいたのは

「…シュウ!!」

階段から降りてきたのはゴットエデンで出会った黒髪で神秘的なふいんきの少年
シュウだった。

「びっくりした!こっちに来るなんて、聞いてなかったからさぁ。どうしたの急に?」

受け止めたボールを持ったままシュウのもとへ駆け寄る。

「あぁ、ちょっと天馬に会いたくなっちゃって。」

シュウは、ふっと微笑みを零しながら言った

「そっかぁ。あれ、でも島から出れないんじゃなかったっけ?」

シュウ故郷の島にはフィフスセクターのシードと呼ばれる選手たちの特訓施設、ゴットエデンがあった。
そこでは究極の選手を育てる『プロジェクト ゼロ』というものが行われており、雷門サッカー部は合宿という名のもとにゴットエデンへ連行されチーム ゼロの触媒として連れて行かれたのだ。
しかし『プロジェクト ゼロ』は天馬達の活躍により打ち砕かれ、ゴットエデンも廃止となった。そこで特訓していたシード達も今はそれぞれの居場所へ戻っているだろう。

だがシュウだけは違った。シュウはこの島からは出られないといって島に一人で残ったのだ。

「うん。本当はね。でも知り合いに連れてきてもらったんだ。時間制限付きだけどね。」

そう言って笑う姿は嬉しそうだった。確かに嬉しそうなのだがどこか悲しげにも見えた。

「それじゃぁさ、サッカーやろうよ。せっかくここまで来たんだしさ!それにオレしゅうともっとサッカーやりたかったな~って思ってたし、もうちょっとでHR決勝戦なんだ。」

シュウは少し天馬を見つめた後ニコッと笑い「うん、やろう。」と天馬の提案に賛成した。


それから何時間経っただろうか。日もすっかり落ち、辺りも真っ暗な闇に包まれた頃。

天馬とシュウはサッカーボールを蹴りながら話していた。
まぁ、話といっても天馬が今までのことを話しているだけだったが。

「それでその後狩屋が剣城に怒られてさ…」

「ニャ~ン」

足元の方から聞こえた猫の鳴き声で天馬の話は中途半端なところで中断される。
鳴き声が聞こえた所に目をやるとそこには赤い毛の混じった黒猫が周の足元を何かを知らせるようにがじがじと軽く引っ掻いていた。

「わ~可愛い!野良猫かな?」

天馬が猫を抱きあげると猫は人間慣れしているのか特に嫌がる様子も無かった。
シュウは黒猫と見つめた後まるで全てを察したかのようにほほ笑んだ。

「シュウ、どうしたの?」

その様子に気づいた天馬は不思議そうに訪ねた。

「ごめんね、天馬。もう帰らなきゃ。知り合いが待ってる。」

シュウは天馬の方へ振り向いて言った。

天馬は少し寂しいといった様子でそっか。とつぶやいた。

「じゃあね…天馬」



「うん、またね!また、サッカーやろうね!」


「!!」

天馬はとても綺麗な笑顔でそういった。
それを見たシュウは少し目を見開き、ふっと微笑んだ。

      ・・・
「ああ・・・またね、天馬。」

====

「どうだった。」

薄暗く、闇が渦巻く道の中、少年は共に歩いていたシュウに問いかけた。

「どうって、何が…?」

「さっきのことだよ。」

シュウは足を止め振り向き、少年は声色を変えずに問う。

「そんなこと聞かなくったって、きっと君は薄っすら分かってるんじゃないかな。僕が感じたことを。…そうでしょう?太介君。」

シュウは不敵な笑みを浮かべた後、共に歩いていた少年 明日連 太介を見つめた。
太介と呼ばれた彼ははぁっと溜息を吐く。

黒がベースの髪の一部が赤く闇の中でギラギラというように光っている。
彼は血のように真っ赤な目を少し伏せた後シュウを見据え、こう言った。

「わからないさ。お前が俺で無いように、俺はお前じゃないんだからな。」

シュウはそっか…とだけ呟いた。その後二人は歩き出し、会話も途切れた。
この先に見えるのは、ただ深いだけの闇。目的地はまだまだ先だ。

そして二人は青紫色の闇へ消えた。