疲労に効果がある薬や健康食品はあるのだろうか。これに関して

少しずつ資料を集めることにする。

○ガン性疲労に効果があるもの

 外国では覚醒剤の一種である精神刺激剤が使われることがあるが日本では原則禁止の薬物である。覚醒剤はたしかに一時的に元気になるようだが、薬が切れると強い疲労感に苛まれるという欠点がある。この他、ステロイドがが使われ、またそれが有効であるとの報告もある。ただステロイドは胃腸障害や易感染性などの副作用があるので、使用に消極的な医師も多い。この他漢方薬を試みる医師は少なくない。たとえば補中益気湯がん患者の疲労改善効果報告されていて、十全大補湯や人参養栄湯なども使われる。この他、抗うつ剤に関してはバロキセチン(パキシル)やセルトラリン(ジャイゾロフト)は疲労改善効果がないという報告がある。一方ブプロピオンという日本では未発売の抗うつ剤(bupropion、ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬) で疲労改善があったという報告がある。
  この他、サプリメントに関してはマルチビタミン、カルニチンなどは効果がなかったという報告がある。
(資料)がん関連疲労に対する薬物療法

http://jpps.umin.jp/issue/magazine/pdf/0701_01.pdf

 

○疲労一般

健康食品エビデンスナビによると

グレードA(十分な科学的根拠があり、抗疲労、疲労改善などにおそらく効くことが学術文献で示された健康食品素材)はなし

グレードB)科学的根拠があり、抗疲労、疲労改善などへの効果が学術文献で示唆された健康食品素材)としてL-カルニチンが挙げられている。

http://www.food-science.jp/index.html

 

そもそも健康食品の有用性については客観的なエビデンスに乏しい。

 βカロテンはがん予防などの効果がかつて期待されが,サプリメントの服用によって喫煙者・アスベスト暴露者の死亡率を上げるという衝撃的な臨床試験が,1996年に発表されました。このころから同様の試験が世界中で盛んに実施されましたが,有効性を示すエビデンスは出ていません()。

オメガ3脂肪酸のサプリメントの有効性についてはエビデンスが弱いです。

 その他の栄養素のサプリメントに関しても同じことが言えます。ビタミンやミネラルは,100年近い歴史が培った栄養学の知見によって生化学的な効果は述べることができます。しかし,机上の論ではEBMは成り立ちません。それに準じて,例えばカルシウムやビタミンDのサプリメントは医学界では支持されていません。

 

https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03222_05