山本博文 著
『葉隠』の武士道
誤解された「死狂い」の思想
内容
「武士道と云は死ぬ事と見付たり」
あるべき武士道を説いた「死狂ひ」の書として、
高く評価されてきた『葉隠』。
だが泰平社会を無難に世渡りした著者・常朝に
「死の哲学」などあったのか。
佐賀藩・鍋島家の<豪気な家風>とは対照的に、
勇ましいだけの言葉で飾られた常朝の思想。
それは生き抜くための思考を放棄した、
老人の「たわ言」に過ぎなかった。
本書は、その「机上の空論」を暴き、正体を明らかにする。
武士は人から軽んじられた場合、
幕府の法に背き、
自分の命を懸けてまで名誉を守ることを要求された。
そのような本物の武士(曲者)たちの姿を描き、
「武士の心性」とは何かに迫る。
誤解され続けた「葉隠武士道」に新たな見地を拓く一冊。
主な内容
戦国武将・鍋島直茂/慈愛に満ちた二代藩主・鍋島光茂
/武士らしさとはなにか/死への渇望/『葉隠』の女性たち
/赤穂事件と武士の「一分」/武士道は死ねばよいのか
/処世術としての『葉隠』/など。
多くの「武士道」関連書を書かれている山本博文氏の本。
「武士道の名著-日本人の精神史-」に続いて読んでみた。
「武士道の名著-日本人の精神史-」の拙ブログは→こちら
拙者は、天下泰平の江戸期武士道の代表作、官僚武士の出世、世渡りマニュアルと思ってきた「葉隠」を
山本氏は、「老人の戯言」とした。とても共感が持て、腑に落ちる論である。
武士道、特に「葉隠」に興味のある方は読んで頂きたい1冊。
★★★★★(良い)