消費税増税で景気後退は軽微と言っていた(私利私欲の塊)
「国会議員、学者、エコノミスト、財界人…」は、
自らの間違えを認め、責任を取らなくてはならないのではないでしょうか。
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「リカードの中立命題」が大好きな 黒田総裁らの増税論者は否定された
(http://diamond.jp/articles/-/62761)
先日、BS朝日の田原総一朗さんの番組「激論クロスファイア」に出ていたら、驚いたことがあった。
討論相手の増田寛也さんが、「財政再建には増税が必要」と思い込んでいたことではない。もちろん、「財政再建のためには増税ではなく増収」が正しいことを、本コラムで取り上げているものの、依然としてこの種の間違いは著名人にもみられるので、この程度では驚かない。
先日末のハロウィーン緩和についてである。あの緩和を、安倍総理の10%への再増税に対する“後押し”と、増田さんも田原さんも考えていたというのだ。
■日銀の追加緩和は 判断ミスのカバーショット
筆者は追加緩和の中身(規模)とタイミングについては、以下のように考えている。現時点の経済状況は、4月の8%への消費増税によって需給ギャップ(需要と供給の差)が十数兆円にまで拡大している(図1)。今回の追加緩和は、中期的にこの需給ギャップを埋めるような有効需要(消費、投資等)を創出するうえで、まずまずの規模である。

一方、タイミングには問題がある。需給ギャップの拡大は4月の8%への消費増税によってもたらされたのだが、増税の悪影響について、日銀はその見積もりでミスをしている。例えば、昨年4月の日銀展望レポートでは、2014年度の成長率・インフレ率はともに1.4%という見通しだったが、今回は実質成長率0.5%、インフレ率1.2%と下方修正されている(図2)

本コラムの読者であればご存じだろうが、筆者は1年前に4月の8%への消費増税の悪影響を予測し、金融緩和も予防的に早期に行うべきだと指摘していた。この観点からみれば、金融緩和は遅すぎたと言わざるをえない。また、日銀は、消費増税の影響を見誤ったので、その埋め合わせとして、遅ればせながら金融緩和を行ったわけで、それが、来年10月の10%への再増税の後押しになるはずない。
増田さんや田原さんなど多くの人が、安倍総理が再増税を決断するという前提に立っていた。おそらく、財務省のレクが十分に効いているのだろう。だれも、財務省が間違ったことをいわないと思い込んでいるかのようだ。
しかし、今回、増税派(財務省と財務省からレクを受けた応援団の人たち、それに賛同するエア御用人ら)は消費増税の影響を大きく間違った。これは、黒田日銀総裁も例外ではない。ある官邸の関係者は、「黒田さんは、金融政策の理解など、消費増税にかかわらない部分はいいのだが、消費増税になると財務省のDNAが出て、困る」といっていた。
■財務官僚が大好きな「リカードの中立命題」とは
実は財務省官僚は、「リカードの中立命題」といわれる考え方を都合良く使うのだ。例えば、財務省が国債発行で景気刺激を求められる場合、国債発行は将来の増税につなり消費を減少させるはずで、景気刺激効果はなくなるから、景気刺激は意味がないという具合に使うのだ。
このリカーディアンの前提には、人々は経済合理性によって行動することがある。実際には、人々は必ずしも合理的に行動するとは限らず、「リカードの中立命題」は理論的な話で、実際には妥当しないという考え方が有力だ。ノーベル賞経済学者であるクルーグマン・プリンストン大教授も、リカーディアンの考え方に疑問を持っている。実証研究でも否定的なものが多い。
しかし、黒田日銀総裁は、財務官僚のように都合よく、リカーディアンの考え方を利用しているようだ。例えば、消費増税はいつかはやらなければならないと国民も分かっているので、増税のタイミングは消費には影響しないと考えている。
増税派は、消費増税の影響は軽微と言い切ったが、その背景にはやはりリカーディアンの考え方がある。今回の消費増税は、前回、前々回と異なって緩和措置なしで行ったから、そのように判断せざるを得ない。
つづく