「平和と安全を考えるエコノミストの会(EPS)」は、単なる守銭奴ではないか。
ここ数年飛躍的に知名度を上げた上念 司氏が「私の師匠である」とよく言う、
「浜田宏一内閣官房参与・エール大名誉教授」がメンバーである事は、今後も
注意していかなくてはならないだろう。
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・アングル:浜田・河合教授らが日中韓関係改善を提言、首相官邸は受け取らず
(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EV06V20140620)
[東京 20日 ロイター] - 安倍晋三首相の有力な経済ブレーンである浜田宏一・イェール大学名誉教授ら18人が、日中韓3カ国の関係改善を求める報告書をまとめ、首相官邸などに提出しようとしたところ、受け取りを断られていたことがロイターの取材で明らかになった。
アベノミクスの発案者らによる外交面での提言は安倍首相の目指す方向性と異なるため、事実上、門前払いされた格好となっている。
提言は、浜田氏や河合正弘・東京大学教授、著名エコノミスト、全国紙論説委員OBを含む18人が参加する「平和と安全を考えるエコノミストの会」が作成した。
この中で、日本と中国、韓国との外交関係の悪化が日本経済の成長を妨げることを懸念し、政治・外交関係まで踏み込んだ政策を主張している。
具体的には、1)日本政府が「河野談話」「村山談話」を明確に踏襲する、2)首相・主要閣僚による靖国神社参拝を控え、国民全体が戦没者の慰霊を行える無宗教の慰霊施設を設置する、3)尖閣諸島(中国名:釣魚島)や竹島(韓国名:独島)の領有権問題解決に向け、日中韓は領有権に関して当面は事実上の棚上げを行い、実力・武力で問題解決を図らないことに合意する──などを実行するよう提案した。
また、日中の軍事衝突が起これば、日本の国内総生産(GDP)を0.8%押し下げ、中国にとっても同様に0.9%のマイナス効果が生じると試算。
その結果、アジア全体の経済成長も損なわれ、アベノミクスが目指す日本経済の再生が行き詰まるとしている。
その上で、アジア諸国との経済連携を日本の成長戦略の中心にとらえるべきとして、
1)日中韓は東アジア地域包括協定(RCEP)協定の構築を目指す、2)中国による環太平洋連携協定(TPP)への参加とそれに必要な国内経済改革を歓迎・支援する、3)日中韓3カ国の自由貿易協定の早期締結を図る、4)円・元・ウォンの通貨金融協力を活性化させる──などを提言した。
同会関係者によると、5月22日にこの提言を取りまとめ、直後に安倍首相に提出し面会することを試みたが、首相は受け取らないとの感触を得たため、菅義偉官房長官への提出に手法を切り替えることにしたという。
だが、首相官邸の事務方から、この内容では提出を見合わせるべきとの意向が同会関係者に伝えられ、最終的に官房長官への取次ぎや面会も事実上、拒否されたとしている。
同報告書をめぐる対応に関し、首相官邸では「公式な日程にないことにコメントはできない」(報道担当)と回答している。
同会は、岸田文雄外相宛てにこの提言を提出できないか外務省関係者と接触したが、こちらも直接の提出・面会を断られた。ただ、間接的に岸田外相に手渡すことは可能ということは、外務省からの連絡でわかったという。
この経緯に関し、外務省は「事務方から大臣に(報告書を)渡した」(外務省報道室)としている。河合東大教授らはその後も、岸田外相への提言内容の説明のための面会を求めているが、外務省では面会の予定については「承知していない」(報道室)としている。
今回の提言が、外交面も含めて踏み込んだ内容となっていることに関し、参加した学者メンバーの1人は「官邸の不興を買うことを承知でサインした」と明かす。
別の関係者は、官邸の対応姿勢について「安倍首相の周囲の人々の中には、かなり保守的な人もいるようだ」と漏らす。さらに別の関係者は、安倍首相の周囲には、首相の意見と違う提案を拒絶する人々がいて情報が制約されているとし、首相の判断に影響が出かねないと懸念を示している。
(中川泉 竹本能文 編集:田巻一彦)
・日中軍事衝突起きれば「アジアの世紀」破局へ、アベノミクスにも大打撃、
=尖閣係争棚上げを―エコノミストの会
2014年5月22日、「平和と安全を考えるエコノミストの会(EPS)」(理事長・河合正弘東京大特任教授、前アジア開発銀行研究所長)は「東アジアの安定と繁栄のために―日中韓の共存共栄をめざして」と題する提言を発表した。日中間で尖閣諸島をめぐり軍事衝突が起きれば、日中両国のGDP(国内総生産)を1%近く押し下げると警告。係争は棚上げし、東シナ海を「平和・友好・協力の海」として共同管理すべきだとしている。日中韓3カ国政府に提言される。EPSメンバーは鈴木淑夫・元参院議員・元日銀理事、浜田宏一内閣官房参与・エール大名誉教授、原田泰早稲田大教授、宮崎勇元経済企画庁長官ら18人。筆者(八牧浩行)もメンバーとなっている。
この提言は2013年7月~2014年3月にかけて開かれた計5回の研究会合を踏まえて作成された。元中国大使の佐藤嘉恭、宮本雄二各氏、駐日中国大使館筆頭公使の韓志強氏ら外部講師との意見交換会も参考にされた。
▼提言の要旨は次の通り
日本政府による尖閣諸島の国有化以降、日中関係は極めて不安定化しつつある。中国は周辺海域に公船を派遣するだけでなく、海軍の艦船による海上自衛隊の護衛艦への射撃用のレーザー照射を行ったり、東シナ海上空に防空識別圏を設定するなど事態を緊迫化させている。中国はまた、南沙諸島や西沙諸島など南シナ海でも強硬な姿勢を示し、ベトナムやフィリピンとの間で緊張を高めている。日韓関係も竹島の領有権や歴史認識の問題で、二国間関係が近年になく悪化している。
日本と中国・韓国との間の2国間対立が深まる中で、北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射成功に続き、第3回目の核実験を実施し、朝鮮半島のみならず、東アジア全体の平和と安全を脅かしつつある。北朝鮮の核兵器が米国本土を射程に入れただけでなく、韓国と日本は直接的な脅威にさらされており、韓国に向けた局地的な紛争から朝鮮半島有事という事態に発展する可能性も否定できない状況だ。日本と中国・韓国は、米国などと協調して共同で北朝鮮の核・ミサイル問題に対処しなくてはならない立場にある。
朝鮮半島有事にまで至らなくとも、尖閣諸島の領有権をめぐって日中間の対立が軍事衝突に発展することになれば、北東アジア地域だけでなく、アジア全体の平和と安定の基盤が脅かされよう。そしてそれは世界経済にも大きな不安定化要因となる。21世紀はアジアの経済的繁栄を約束するものだという「アジアの世紀」を実現させ、世界経済に成長と発展をもたらすためには、破局的な事態はなんとしても回避する必要がある。アジアにおける経済大国であり、域内に広がるサプライチェーンで重要な役割を果たす日中韓の協力は、東アジア、アジア太平洋地域だけでなく、世界全体にとって大きな利益を生み出すのである。
日本と中国・韓国との二国間の政治・外交関係が悪化するなか、尖閣諸島・竹島の領有権問題や歴史認識の違いなど一部の問題がお互いの経済発展全体を阻害しないようにするために、様々な分野で戦略的な互恵関係・協調関係を重層的に作りだしていくことが重要だ。日中韓がお互いに利益になる関係を強化するだけでなく、東アジア全体の経済発展・統合に向けた各種の経済協調が必要である。
◆領土は国際司法裁判所に委ねよ
尖閣諸島めぐる問題については、事実上の「棚上げ」を行い、実力・武力で問題の解決を図ることを避ける。日本と中国は偶発的な軍事衝突を避けるためのホットラインや危機管理メカニズムを設定する。そして、尖閣諸島周辺の海域・漁場を含む東シナ海全体を「平和・友好・協力の海」として共同管理していくことも視野に入れるべきだろう。最終的には、領土の帰属は国際司法裁判所(ICJ)の裁定に委ねて解決することを模索すべきだ。
日本と中国・韓国との間では歴史認識や歴史観の上で違いがあるが、歴史認識の共通化の作業を歴史学者など研究者に委ねる一方で、政治家はナショナリズムをあおる解釈を示すべきでない。日本は従来の歴史問題の認識で後戻りせず、真摯なかたちで取り組み、中国・韓国と未来志向的な関係を築くことが必要だ。「村山談話」「河野談話」を踏襲し、首相や主要閣僚による靖国神社参拝を避けるべきだ。靖国神社に代わって、国民全体が戦没者の慰霊を行える新たな施設を設置することも必要だろう。
北朝鮮による核・弾道ミサイル開発や、中国の海洋(東シナ海・南シナ海など)での行動に対しては、バランスのとれた安全保障体制を確立させていく必要がある。そのためには、「日米同盟の強化」、「中国との互恵関係の重視」、「アジア諸国との連携」を中心に考えることが現実的だ。日本は政治と軍事では米国と連携し、経済では中国と戦略的な互恵関係を深めるという複数の軸足をもつことを確認する必要がある。
日本と中国が尖閣諸島の領有をめぐる軍事紛争を引き起こさないこと、日本と韓国が友好関係を回復させることが重要だ。東アジア、アジア太平洋地域だけでなく、世界全体にとって大きな利益につながる。軍事衝突が起きればアベノミクスに大きな打撃となり日本経済の再生も行き詰まる。
日中韓の間で様々な経済協力を進めて共通の利益を高めることが重要だ。日中韓FTA(自由貿易協定)やRCEP(東アジア経済連携協定)の交渉が極めて重要だ。また、韓国や中国のTPP(アジア太平洋経済連携)交渉への参加を支持する。
北朝鮮による核・弾道ミサイル開発や、中国の海洋(東シナ海・南シナ海など)での行動に対しては、バランスのとれた安全保障体制を確立させていく必要がある。そのためには、「日米同盟の強化」、「中国との互恵関係の重視」、「アジア諸国との連携」を中心に考えることが現実的だ。日本は政治と軍事では米国と連携し、経済では中国と戦略的な互恵関係を深めるという複数の軸足をもつことを確認する必要がある。
◆2050年のアジアGDP、世界全体の過半占める!?
アジアの将来シナリオとしては、ベストな「アジアの世紀」、「中所得国の罠」、ワーストな「アジアの破局」という3つのシナリオが考えられる。
第一の「アジアの世紀」のシナリオの下では、アジア諸国のダイナミックな成長パターンが今後も持続し、中国を含む多くの中所得国が2050年までには高所得国に移行するとされる。アジアの経済規模は欧米のそれを上回り、アジアは現在の欧米に匹敵する富裕地域としての地位を占めるようになる。2050年までにアジアのGDPは174兆ドルに達し(世界経済に占めるウェイトは52%)、約30億人が新たに富裕層に加わり、一人当たりGDPは40,800ドル(購買力平価)に上る。これはアジアにとってベストなシナリオだといえる。
こうした「アジアの世紀」が実現するには、中国をはじめとするアジアの中所得国が、(1)技術革新のための研究開発や人的資本への投資を通じて、生産性を上昇させること、(2)所得格差を是正し公正な所得分配をするための「包摂的な成長」を追及すること、(3)エネルギーや資源を効率的に利用し、環境問題に適切に対処していくこと、(4)金融・経済危機に効果的に対応できるシステムを構築すること、(5)公的部門の機能を効率化させ、公務員の腐敗を抑制するための制度改革を進めること、(6)人々の意思決定への「参加」と「法の支配」に基づく透明性と説明責任の高い社会・政治体制をつくること、(7)アジア域内での経済統合を進め、域外諸国とも経済連携を強化すること、(8)各種の国際公共財を提供し、世界全体との共存共栄を図ることが欠かせない。その基本的な前提条件は、アジア域内の平和と安定であり、欧米諸国とも良好な政治・外交関係を維持していくことだ。
第二の「中所得国の罠」のシナリオの下では、中国をはじめ、これまでダイナミックな経済成長を果たしてきた新興諸国といえども、今後5年から10年で成長が鈍化して、地域全体の経済パフォーマンスはその潜在力ほどには改善しない。新興アジア諸国が中所得国の状況から脱却できないという「中所得国の罠」に陥った場合、2050年のアジアのGDPは65兆ドルにとどまり(世界経済に占めるウェイトは27%)、一人当りGDPは20,800ドルになる。
このことは、中国をはじめとする中所得国は、「中所得国の罠」から抜け出すために、いくつかの重要な国内的な課題に取り組まなくてはならないことを意味している。すなわち、既に挙げたように、生産性の向上、包摂的な成長、環境持続型の成長、ガバナンスの改革などが必要だ。とりわけ中国の場合は、国有企業改革、格差問題や公害問題への対応、シャドーバンキングなど金融システムの強化、公務員の腐敗の抑制などが喫緊の課題だ。また政治改革も必要になろう。これらの改革に遅れると高所得国入りが難しくなる。
第三の「アジアの破局」のシナリオは、ここで考察するワーストなシナリオである。東アジアにおいて深刻な紛争(朝鮮半島有事や日中の軍事衝突や戦争など)が起きることになると、アジアの経済成長は大きく損なわれ、「中所得国の罠」のシナリオでさえ実現できなくなる可能性がある。こうした破局的なシナリオの下では、アジアのGDPは大きく成長せず、一人当たり所得も伸びない。中国が目標としている、2010年から2020年までのGDP総額や一人当たり所得の倍増は夢に終わろう。日本でもアベノミクスが目的とする日本経済の再生が行き詰ることになる。
日本・中国・韓国は、最悪の「アジアの破局」のシナリオを避け、「アジアの世紀」を実現させることがすべての関係諸国にとって最大の利益をもたらすという確固たる認識を持つべきだ。
◆日中韓の経済相互依存大きく
日中韓3か国の間の貿易上の相互依存関係は極めて大きい。日本の輸出相手国としてのアメリカのシェアが急激に下がり、それに代わって中国のシェアが急激に上がっている。日本の輸入相手国・地域のシェアを見ても同じ事がより明確なかたちで起きている。日本は中国への輸入依存度を高めており、中国からの輸入が途絶すれば経済的な損失を蒙るという構造になりつつある。
日中間で尖閣問題を巡り軍事衝突が起きれば、経済に与える影響は甚大で、日本で0.77%、中国で0.92%それぞれGDPを押し下げる。日本・中国が軍事衝突を回避し、朝鮮半島の安定化をめざして、平和裏に経済成長・発展を図る必要がある。加えて、中国は「中所得国の罠」に陥らないようにするために、生産性の向上、所得格差の是正、環境改善に取り組み、「法の支配」に基づく透明性と説明責任の高い社会・政治体制をつくりだしていく必要がある。
[Record Chinaの代表取締役社長 八牧 浩行]
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国を売ってまで「私利私欲」「保身」に走る、政治家・官僚・財界人・活動家…
そして、それに操られる無知・無関心な人々。
日本が、単なる地名になってもいいのですか?