移民受け入れ問題といい、自然(再生可能は嘘)エネルギーといい、
なにゆゑ、他国で失敗している事を導入するのだろう。

「利権」「私利私欲」いいかげんにしてもらいたい。

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ドイツがプーチンより恐れる電気料金上昇 再エネ政策見直しに舵を切るEU
  山本隆三 (常葉大学経営学部教授)

ウクライナでは依然緊迫した状況が続いている。ロシアからウクライナへのガス供給についても不安定な状況に変わりはない。ウクライナに未使用分のガス料金を請求したロシアに不安を覚えた欧州(EU)諸国は、ガス供給遮断に備えウクライナにガスを送り込めるように逆流設備を整えている。

 そんな状況の中、4月8日にドイツ政府は再生可能エネルギー政策を見直し、導入スピードを大きく減速することを決めた。太陽光、風力発電などの再エネ導入の目的の一つは、エネルギー自給率向上、即ち、天然ガス、石油の約30%を供給するロシアへの依存度低減にあったが、当面自給率向上を諦め電気料金の上昇を抑える策にドイツ政府は舵を切ったのだ。ロシアより産業に影響を与える電気料金上昇に、より恐怖を感じたということだ。

 ドイツ政府に続きEU委員会も、エネルギー・環境政策に関する各国の補助・支援制度のガイドラインを見直し、再エネの固定価格買い取り制度(FIT)の原則廃止と、市場価格に基づく新たな制度の導入を各国政府に求めることを発表した。EUでの電気料金上昇が産業の競争力に大きな影響を与えることが懸念されるからだ。

=拡大を続けるドイツの再エネ発電量=

ドイツ政府は、世界で最も早くFITを導入した国の一つだった。1990年から太陽光、風力発電などの導入促進政策を開始したものの、当初は市場価格を元にした買い取り価格であったために、設備の導入は進まなかった。98年に成立した社会民主党と緑の党の連立政権は2000年に再生可能エネルギー法を定め、再エネから発電された電力を20年間に亘り固定価格で優先的に買い取ることを決めた。

 この制度により、再エネ設備を導入する投資家は20年間に亘り収益が保障されることとなり、一挙に設備導入が進むことになった。90年には風力と太陽光の設備量はほとんどなかったが、2000年末には風力610万kW、太陽光11万kW、10年末には風力2716万kW、太陽光1732万kW、13年末には風力3380万kW、太陽光3600万kWと急速に拡大した。合わせるとドイツの設備量の40%に達する。

 再エネによる発電量も図が示す通り拡大を続けているが、風が吹かなければ、あるいは、太陽が照らなければ発電できないために、設備量との比較では発電量のシェアは小さくなる。13年の発電量のシェアは風力7.5%、太陽光4.7%だが、水力などの他の再エネと合わせると、再エネによる発電量のシェアは25%に達した。

=高騰するドイツの電気料金に高まる不満の声=

再エネによる発電量の増加は、当然ながらFITに基づく消費者の買い取り価格の負担を増加させることになる。ドイツ政府は買い取り価格の減額を進めているが、負担額は20年間続くことから、減少に転じるのはかなり先のことだ。このため消費者の買い取り価格の負担は上昇を続け、14年の負担額は1kW時当たり6.24ユーロセント、標準家庭の年間の負担額は220ユーロ、日本円では3万円に達している。13年後半のドイツの家庭用電気料金も、欧州平均を50%上回り1kW時当たり29.21ユーロセント、日本円では40円に達し、デンマークに次ぐ2位の高さになっている。

 ドイツ国内でもFITの負担額が高すぎるとの声が、産業界あるいは旧東ドイツ地区の住民を中心に高まってきたことから、13年9月の総選挙前から、当時のレスラー経済技術大臣、アルトマイヤー環境大臣が、電気料金抑制のために再生可能エネルギー法の見直しに言及するようになった。

 総選挙後、メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟とガブリエル党首が率いる社会民主党が大連立し政権を担うことになり、ガブリエル党首が副首相と経済・エネルギー大臣を兼務することになった。連立政権の最大の課題は再エネ法の見直しにあるとされ、検討が始まった。

=電気料金と産業の競争力=

再エネ法の下では、ドイツの全ての電気の消費者がFITに基づく負担を行っているわけではない。電気料金の上昇が国際競争力に影響を与えると判断される約2100社の企業はFITの負担額の大半を免除されている。対象となっているのは鉄鋼、化学、金属精錬など電力多消費型業種だ。免除額は他の需要家の負担額に上乗せされている。

 ドイツは国内総生産(GDP)に占める製造業の比率が約20%と、先進国の中では日本と同じく高い。関連産業を含めるとGDPの3分の1に達する。輸出額では、ドイツは中国、米国に次ぐ世界3位だが、1兆4000億ドルを超え、4位の日本のほぼ2倍ある。ドイツ経済にとっては、製造業と輸出の維持は死活問題になる。

 この免除に対し、EU委員会の競争戦略担当のアルムニア委員は、産業界に対する不当な補助金であり、競争力を歪めているとして調査を行う意向を13年12月に明らかにした。ドイツ政府は、「国の競争力を維持するために必要な政策である。免除規定がなければドイツは脱製造業にならざるを得ないが、ドイツの産業を傷つけることはEUにとっても損失だ」と主張し、EU委員会と交渉を行うことになったが、ドイツ政府による再エネ法の見直しのなかで、この免除規定も再検討されることになった。
[WEDGE Infinity]

                                    つづく