[昭和の侍たち・其ノ伍~神風(しんぷう)特別攻撃隊/敷島隊②~のつづき]
昭和19年(1944年)10月24日水曜日深夜(25日未明)マニラにて指揮を取る
「大西中将」より、
「栗田艦隊のレイテ湾突入に呼応して、すでに編成されている特別攻撃隊、
全機を発進させよ」
の命が下ります。
特攻部隊各隊は、この命令を展開しているそれぞれの基地で聞きます。
各隊は、栗田艦隊のレイテ湾突入(早朝)に合わせて出撃する事になってました。
まず、ダバオに進出していた「朝日隊」爆装2機/直掩1機、
「山桜隊」爆装3機/直掩2機(両隊共第一基地)、独立隊「菊水隊」爆装3機/
直掩2機(第二基地)が、それぞれ命令を受け出撃いたします。(午前6時半ごろ)
「敷島隊」は新たに大黒上飛曹を迎え、爆装6機となり、直掩4機の合計10機
となっており、201航空部隊本部のあるマバラカットにて命令を受けました。
午前7時25分、マバラカット西飛行場を後にします。
途中エンジン不調のために山下一飛曹機は戦列を離れ、爆装5機、直掩4機と
なりますが、レイテ湾方面に飛行を続け、10時40分、敵米空母艦隊を発見、
約9分後に突入し、多大なる損害(空母/撃沈1・大破1・小破2)をあたえます。
敷島隊発進後、複座(搭乗員2名)の艦上攻撃機1機「彗星隊」が、単独で
発進します。未帰還、単機により詳細不明。
目標予測地域に一番近いセブ基地からは、午前9時頃、
「大和隊」爆装2機/直掩1機が離陸。
夕方になり大和隊が戻らないので「若桜隊」が出撃、敵未発見で帰投しています。
この日だけでも、爆装(特攻機)21機が出撃しました。
=昭和19年(1944年)10月25日出撃 詳細=
*敷島隊
爆装6機・直掩4機
隊長:関行男大尉(海軍兵学校70期、大正10年生、23歳)
谷暢夫一飛曹(甲10期、大正13年生、20歳)
中野磐雄一飛曹(甲10期、大正14年生、19歳)
永峰肇飛行兵長(丙飛15期、大正14年生、19歳)
大黒繁男上等飛行兵(丙飛17期、大正14年生、19歳)
山下憲行一飛曹(甲10期、大正14年生、19歳)
*途中エンジン不調のためにレガスピー基地に不時着
*その後、葉桜隊に編入、同年10月30日に比国セブ飛行場より、
爆装6・直掩5にて出撃。特攻(爆装)の任に就き、
敵空母ベロー・ウッドとフランクリンを大破させた。
この攻撃により、米海軍第38高速機動部隊は戦力が半減、11月11日に
予定されていた東京空襲を中止に追い込んだ。(米国海軍発表)
=戦果=
一番機(関大尉)、
護衛空母「キトカン・ベイ」艦の飛行甲板外側の通路に体当たり。
隔壁、扉、ガソリン導管破損させたが、ガソリンに引火せず小破。
二番機、三番機、
護衛空母「カリニン・ベイ」艦の前部エレベーターの後方、及び後部エレベーター
の前方に体当たり。
爆弾の破裂によって船体にいくつかの破孔をあけ大破。
四番機、
護衛空母「ホワイト・プレーンズ」艦をかすめ墜落、爆弾が飛行甲板より下、約
6メートルの空中で爆発。船体小破。
五番機、
護衛空母「セント・ロー」艦の飛行甲板に体当たり、爆弾は飛行甲板に落下、
甲板を貫通して格納庫で大爆発、ガソリン満載の格納機が誘爆。
機体は飛行甲板に沿って回転しながら、火の着いたたガソリンを撒き散らした。
11時30分八回目の爆発で、セント・ローは沈没。
尚、この時に直掩1機が、被弾撃墜され特攻死扱いとなってます。
=10月25日その他特攻隊=
*朝日隊(ダバオ第一基地)
爆装2機・直掩1機
指揮官:上野敬一一飛曹
未帰還(直掩機が途中から不在のため詳細不明、但し連合国側の記録により
体当たり戦死の可能性大。大型空母・サンティ又はスワニー)
磯川質男一飛曹
不時着(約1ヵ月後徒歩にてマバラカット帰投、翌年5月大村湾上空夜戦で戦死)
直掩1機、故障のため途中不時着
*山桜隊(ダバオ第一基地)
爆装3機・直掩2機
指揮官:宮原田賢一飛曹
瀧澤光雄一飛曹
2名共に未帰還(直掩機が途中から不在のため詳細不明、但し連合国側の記録に
より体当たり戦死の可能性大。大型空母・サンティ又はスワニー)
爆装1機 故障により基地に戻る
直掩2機は、悪天候のため爆装機を見失い基地に戻る
*菊水隊(ダバオ第二基地)
爆装3機・直掩2機
指揮官:加藤豊文一飛曹
特攻死
宮川正一飛曹
特攻死
大型空母(サンティ又はスワニー)船尾に2機のうち1機命中
(直掩機1機により菊水隊の戦果報告がなされた。突入時刻 午前7時40分頃)
*これが神風特攻隊の初戦果であります。しかし、諸事情により初戦果の名誉は、
「敷島隊」にゆずる形となりました。
高橋保男一飛曹
発進直後、脚故障で引き返すが、山桜隊の4番機扱いで再出撃。
しかし、悪天候のため敵発見できず再び引き返す
*彗星隊1機(マバラカット)
浅尾弘・上飛曹
消息不明、特攻(撃墜)死
須内則男・二飛曹
消息不明、特攻(撃墜)死
*大和隊(セブ)
爆装2機・直掩1機(彗星1機・複座)
指揮官:大坪一男一飛曹
消息不明、特攻(撃墜)死
荒木外義飛長
消息不明、特攻(撃墜)死
直掩機(二人乗り)國原千里少尉・大西春雄飛曹長
未帰投、特攻(撃墜)死扱い2名
*若桜隊(セブ)
爆装4機・直掩2機
指揮官:木村繁一飛曹
敵を発見できずセブへ帰還
他2機も同様に帰還
中瀬清久一飛曹
詳細不明、特攻(撃墜)死
[参考:特別攻撃隊の記録-海軍編-/押尾一彦著]
全ての兵者に敬意を表しますと共に、英霊の御霊に感謝の誠を捧げます。