安倍首相は、消費税増税の決定に伴い「経済政策パッケージの実行により、
消費税率を引き上げたとしても、その影響を極力緩和することができる」
と公言しました。
(経済政策パッケージの内容については、10月6日[消費税増税に伴う対応について]
に記しましたのでここでは省略します)

また、景気回復(デフレの脱却)の腰折れを防ぐ為、
5兆円規模の経済対策(法人税減税など)を表明しております。

まぁ、普通の国民から見れば、そもそも増税しておいて、「その分使いますから」
「減税しますから」と言っている事自体が、おかしな話であります。
一部の政治家や高級官僚にとっては、利権が増えて、私腹が肥えるから
歓迎なのでしょうが・・・

97年の消費税率3%→5%の増税で、確実に日本の景気は悪くなってきている
にも関わらず、財務省は、「増税した分は全て使いますから」と言って、これを
根拠に「不景気の始まりと消費税増税は関係ない」と言っております。
こんな馬鹿な論法を使って今回も丸め込もうとしているのでしょうか。

増税ループ発動中の「日本国」は大丈夫であろうか。

株価が、円安になれば自然と上昇するのは、外国人投資家が6~7割占める
現状では当たり前です。
円の供給で、円安に振れ、輸出関連企業の業績が上昇するのも予想出来ます。

拙者は、「失業率」と「自殺者数」の改善、国民平均給与額の増加が
成されなければならないと考えております。

より多くの方々が、声を上げなくてはならない時が来ている気がします。
(拙者は、次なる8%→10%に対しての「消費税増税延期希望メール」
 発信継続中であります)

以下、安倍首相のAPECサミットでの講演全文です。
やはり、グローバル経済・新自由主義 賛美な発言です。


平成25年10月7日
2013インドネシア APEC・CEO サミット安倍内閣総理大臣基調講演
(http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1007koen.html)

ウィシュヌー・ワルダナ議長、リチャード・アドカーソンさん、
ありがとうございます。
APECを支えるCEOの皆様大勢に、こうして、お目にかかる機会を、
待ち望んでおりました。

昨年暮れに総理となって以来、私は、日本経済の再生を、第一、第二、第三に、
優先すべき課題として、ひたぶるに、取り組んでまいりました。
大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する、成長戦略という、
私の呼ぶ「三本の矢」を相次いで放ち、この頃ではようやく、日本には
びこっていた停滞心理を、打ち破ることができました。
経済再生を、緒につけることができました。

そして、私にとっては重い決断をしてから、今日で6日です。いま私には、
日本経済が、見通しの利かない十字路を抜け、直進路へ入った、生々しい実感が
あります。

10月1日、私は、明年4月1日をもって、消費税の税率を、5%から、8%に上げる
決断をしました。経済再生と財政健全化は、両立しうる。その他に、道はない。
これが、私の結論です。

財政の健全化を図り、国の信認を維持することは、我が国が経済再生を進めて
いく上で不可欠です。財政再建は、私の成長戦略と車の両輪をなすものです。

同時に、消費税が上がったとしても、デフレ脱却のチャンスをより
確実なものとする。そのための大胆な経済対策を果断に実行します。
その規模は、5兆円。これは、一過性の対策ではありません。未来への投資です。

古いビジネスモデル、事業分野、設備は、集中して入れ替えが必要です。
そのテコに、税制を活用します。日本企業に革新を促すため、税を
インセンティブとして大胆に用いる。産業の新陳代謝による、成長力の強化。
それが、わたしの目指しているところです。

成長戦略という名の「三本目の矢」を、次々と放ちます。改革は、待ったなし。
もはや岩盤のように固まった規制を打ち破るには、強力なドリルと、強い刃(は)
が必要です。自分はその、「ドリルの刃」になるのだと、申し上げてきました。
電力や農業、医療分野で規制の改革を進め、新たなサービス、新しい産業を興し、
日本経済の活力を、そこから引き出します。

我が経済政策の信認は、ひとえに、実行力にかかっているのですから、
速やかに、実行します。

さて、このAPEC CEO サミットも、今日で3日目。
私は残念ながら昨夜到着したばかりなのですが、皆さんはすでに、このバリ島を
満喫されたことでありましょう。

バリ島をはじめ、この太平洋に、かつて、多くの欧米人が、世界最高の理想郷を
見出しました。

彼らは、正しかった。私は、この20年以上に及ぶAPECの歴史を振り返るとき、
そう思うのです。
APECは、単に貿易・投資の自由化を目指すだけの枠組みではありません。
その生い立ちから、自由で、開かれたものでありました。拘束的ではなく、
自発性を重んじ、そして何よりも、皆様方、ビジネス界との連携を
大切にしてきた。

自由で、チャレンジを重んじる精神。
それこそが、APEC精神であると私は考えます。

そうした精神は、極めてユニークな成果を生み出してきました。
例えば、APEC・ビジネス・トラベル・カード。皆様もお持ちかもしれません。
すべてのAPECエコノミーが参加しているわけではないし、強制するもの
でもありませんが、そこがいかにもAPEC精神です。

ビジネス界の提案でも何でも、良いものであれば、まずは、可能なエコノミーから
やってみる。メリットが大きければ、その輪が広がっていく。
そうした「APEC精神」を貫くことによって、この地域は力強く発展してきました。
1990年から2010年の20年間で、域内の名目GDPは3倍以上、域内の貿易額は6倍ほど
になりました。

世界人口の4割以上が集まり、発展のレベルが様々に異なる、
広いアジア・太平洋地域では、そうした「APEC精神」こそが、よりよい世界を
目指す近道であったと思います。

そのAPECが、昨年また、世界に先駆けて、新たなチャレンジを実現させました。
再生可能エネルギー、水処理、リサイクル対策に用いる機器など、
「環境物品」に対して、2015年末までに、関税を引き下げていくことで
合意しました。

環境にやさしい「グリーン成長」を、このアジア・太平洋で目指していこう。
そのコンセプトに合意し、それぞれのペースで、歩みを進めていく。まさに
「APECならでは」のチャレンジだと思います。
IMFの予測では、2017年には、2010年と比べて、APEC域内のGDPは、
さらに20兆ドル増えると見込まれています。
2000年当時、APEC全体のGDPがおおむね20兆ドルでしたから、その頃のAPECが、
この7年間でもう一つ生まれる計算になります。
その中心に、活力に満ち溢れたASEANの国々があります。

ただ、急速な成長には、道路を整備し、交通インフラを充実しなければなりません。
災害に強い都市づくり、廃棄物対策も不可欠です。水道も、電気も必要になります。

2020年までに、アジア地域で、8兆ドルものインフラ投資が必要になると
見込まれています。

私は提案したいと思います。この機会に、交通で、エネルギーで、世界を
超越する(リープフロッグする)インフラを、アジア・太平洋につくりあげよう
ではありませんか。

長く使用するインフラだからこそ、ライフサイクルコストをふまえた、信頼性の
高いものが必要です。グリーン成長に資する環境性能の高いインフラ。何よりも、
安全性が確保されたインフラでなければなりません。

さらには、そのインフラを、大きく、東西に、南北につないでいきましょう。
そのネットワークこそが、強靭なアジア・太平洋をつくりあげると考えます。

確かにコストは低い方がいい。ただし、「ただ安ければいい」はいけません。
そのような状況は、自由でダイナミックなAPECには似合いません。

世界の先端を目指して、良いものを皆で競い合い、そして、あらゆる技術や
ノウハウが融合する。そんな理想を追い求める姿が、アジア・太平洋には
ふさわしいと考えます。

ここで、少しだけ、日本の宣伝をさせてください。日本には、エネルギー不足や
公害など様々な制約を克服しながら、高度経済成長を成し遂げた経験があります。そして、そこから生まれた技術があります。私達には、こうした経験と技術を、惜しむことなく共有する意志があります。だから私は、日本の経験と技術、それらを共有する意志を、ASEANの未来へ大いに役立ててもらいたいと願っています。

一つの例をご紹介しましょう。
ここインドネシアでは、急速な成長にあわせて、電力需要が、10年間でおおむね
2倍に伸びる、と予想されています。
これに応じるため、インドネシアの石炭を使って、文字通り、世界最高の
火力発電所をつくろうとするプロジェクトが、中部ジャワ州で進んでいます。
世界発電量の4割を担う石炭火力発電。この技術で、日本には、皆さんに
使っていただけるものがあります。高温で石炭を燃焼する超々臨界圧(USC)
という技術によって、日本の発電所では、世界の平均を10%近く上回る、
43%の燃焼効率を実現しています。さらに、長期にわたって運転しても効率が
ほとんど下がらないのが、日本の技術の特徴です。

ちなみに、世界の石炭火力発電所を、この技術で置き換えることができれば、
地球温暖化問題への対応は大きく前進するでしょう。
わたしたちはその技術を、インドネシアに持ってきます。世界最高レベル、
100万kw級石炭火力発電所を2基、総事業費40億ドルで建設し、25年間にわたる
長期の売電契約を結びました。信頼性ある技術を持っているからこそ、
できることです。

ここに、インドネシア最大のエネルギー総合企業であるアダロ社の力が加わります。
国内最大の炭鉱を所有するアダロ社が、現地で、石炭の安定的な調達を担います。

日本の「技術」と、インドネシアのアダロ社の「現地の知見」、ここに外部からの
「資金」があわさる。総力を結集することで、世界最先端のプロジェクトが
実現するのです。

企業の皆さん。皆さんの国で、これから進むであろう、インフラ整備や都市開発。
日本は、技術と経験で貢献する意志があります。そのパートナーは、現地に根を
はっている「皆さん」です。一緒にやりましょう。そして、投資家の皆さん。
ここに投資のチャンスがあります。

「APEC精神」のもとに、地域の技術・知恵・資金を結集することで、世界最先端の
インフラづくりを進める。そのことが、地域の人々の生活水準を押し上げることで
「progress(進歩)」に寄与し、APEC地域全体に「prosperity(繁栄)」を
もたらすに違いありません。

その先には、経済的な相互依存を深め、切っても切れない関係が強まります。
peace(平和)の基盤も生まれてくると考えています。

APEC精神の先にある、3つの「P」。かつて西洋人たちがバリに見た
「The Last Paradise」を実現するポテンシャルが、APECにはある。
私は、そう信じています。

共に進歩し、繁栄する。そのための土俵づくりこそが、TPPであり、
RCEPであると考えます。その先にあるFTAAPは、もはや絵物語ではありません。
APECが築き上げた歴史と成功は、私たちを勇気づけてくれます。

私は、アジア・太平洋からインド洋へ広がるシースケープを、今世紀の、
富の大道と見ています。
人やモノが自由に行き交い、融合し、新たな価値を生み出す地域。
アジア・太平洋には、創造力に満ち溢れた、豊かな市場が日に日に姿を
現しています。日本は、APECエコノミーと深く結び合いながら、うねりをもっと
前へ進めるのに力を惜しまない覚悟です。

私の推し進める外交・安保の政策課題とは、これとまったく同じだということを
述べて締めくくりにします。
私は、規範に基づく国際社会のルールを重んじ、人類社会が獲得した基本的価値を
ともにする、国々の一員として、国際協調のもとで、世界に平和と、安定を
もたらす、積極的貢献者であろうとしています。
アジア・太平洋からインド洋へと連なる、ひろびろとした、繁栄する経済を
つくろうとする日本は、外交・安全保障でも、この地域をルールに基づく、
自由で風通しのいい場所にしようとしています。同じ意欲の、異なる表現に
過ぎない両方の道を、日本は進もうとしているのです。

皆さんと共に、その道を歩んで行きたいと考えています。
どうも、有難うございました。
[首相官邸 WEB]