平成16年に閣議決定された大綱で「集中的な取り組み」とした5年程度を
大幅に過ぎて、今年の6月に「少子化危機突破のための緊急対策」が、
少子化社会対策会議決定として出されているようだ。

少子化危機突破のための緊急対策
(http://www8.cao.go.jp/shoushi/01about/pdf/kinkyu.pdf)

Ⅰ. はじめに

1.我が国は、社会経済の根幹を揺るがしかねない「少子化危機」とも言うべき
 状況に直面している。
*社会的課題であるということを念頭に置いた対策が必要である。

2.少子化対策を「新たなステージ」へ高める観点から、
『少子化危機突破のための緊急対策』に早急に取り組む必要がある。
*現在も多くの若者が、将来家庭を持つことを望み、希望する子どもの数は
平均2人以上となっている。しかし、晩婚化が進むとともに、生涯未婚率が上昇
しており、また、合計特殊出生率も 1.41(2012)と、結婚や妊娠・出産に対する
国民の希望を叶えることができていない。こうした国民の希望を叶える観点から、
少子化対策は、政府をはじめ関係者あげて取り組まなければならない国民的な
課題である。
*一方で、政府はこれまでも少子化対策に継続的に取り組んできたが、
少子化の進行に十分に歯止めがかかっているとはいえない。
*フランスやスウェーデンの例のように、総合的な政策の充実・強化によって、
個人の価値観や選択を前提としながら出生率を反転させ、少子化傾向に歯止めを
かけることも可能であると考えられる。

Ⅱ. 基本方針

*これまでの少子化対策は、「子育て支援」と「働き方改革」を中心に
取り組んできており、『子ども・子育て関連3法』の成立や
『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章』の策定などを進めてきたが、
待機児童解消や、長時間労働の抑制等をはじめとして更なる強化が必要と
なっている。
一方、個人の希望の実現という点で政策ニーズが高く、出生率への影響も
大きいとされている「結婚・妊娠・出産」に係る課題については、
これまでの取組は弱いのが現状である。

緊急対策の柱
*このため、『少子化危機突破のための緊急対策』として、
・①「子育て支援」と②「働き方改革」をより一層強化するとともに、
・③「結婚・妊娠・出産支援」を対策の柱として打ち出すことにより、
これらを『3本の矢』として推進する。

対策の狙いー支援を「新たなステージ」に
*こうした対策をパッケージとして進めることにより、
①結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」、
②「第1子・2子・3子以降」のそれぞれに対応した支援
の総合的な政策の充実・強化を目指す。

対策成功のカギ
①国民への情報発信と政府による着実な施策実行、
②地域や職場の取組に対する社会的な支援、
③子どもたちやシニア世代の「祖父母力」など幅広い年齢層の
参加促進

Ⅲ.緊急対策の柱

1.「子育て支援」の強化
(1)「子ども・子育て支援新制度」の円滑な施行
(2)「待機児童解消加速化プラン」の推進
(3)多子世帯への支援
(4)地域・職場の「子育て支援ネットワーク」

2.「働き方改革」の強化
(1)子育てと仕事の「両立支援」
(2)中小企業の両立支援促進
(3)企業による「女性登用」の促進
(4)ロールモデル等の普及
(5)男性の働き方の見直し

3.結婚・妊娠・出産支援
(1)結婚・妊娠・出産支援の「全国展開」
(2)妊娠・出産等に関する情報提供、啓発普及
(3)地域の「相談・支援拠点」づくり
(4)「産後ケア」の強化
(5)地域医療体制(産科・小児医療)の整備
(6)不妊治療に対する支援

4.国民的な認識醸成と地域プランへの支援
(1)国民への情報発信と政府による着実な施策実行
(2)「地域・少子化危機突破プラン」の推進

5.制度・財源面の対応
(1)子ども・子育て支援新制度等の財源確保
(2)「次世代育成支援対策推進法」の延長・強化の検討
(一部抜粋)
[少子化社会対策会議]


当たり前だが、立派なものである。
しかし、大枠としては「大綱」とあまり変わっていない気がします。
「結婚・妊娠・出産支援」として「結婚」も着目した事は、
良い事ではないでしょうか。

既婚者の出生率は、2人以上をキープし続けているので、既婚者人口が
減っていることが、問題であるのは明らかである。

しかし、平成22年の税制改正で「年少扶養親族に対する扶養控除を廃止」
している。こんなバラバラな政策を行なっていたら一方で出生率を上げようと
血税を使い、他の政策では、子供を持つ事に対してのインセンティブを
廃止している。(扶養控除廃止の理由は子供手当ての財源の為)
租税の簡素化という観点からは「○○控除」は少ないほうが良いとは思うが、
子供手当てが廃止され、児童手当に戻った今でも、
扶養控除は、廃止されたままである。