昨日より環太平洋連携協定(TPP)交渉の第18回全体会合が始まり、
本月23日からは、3日間の予定で日本が交渉に初参加する。
これにより、ようやく「TPP」の詳細が、明かになって来るのだが、
23分野に及ぶ膨大な内容で、その書類は1000頁にもなるという。
これを実質2日で、読み解き交渉するというのは、至難の業だ。
しかも、ネガティブリスト方式なので、例外扱いや適用対象外にしたい品目や
項目はどんなに細かくなろうとも、一つ一つリストアップし、合意を得て
ネガティブリストに載せなければならないということである。
すなわち、ネガティブリストに載せることができなければ、その品目や項目には
TPPの原則=完全自由化が適用されることになる。
TPPは、原則「関税撤廃・自由で無制限の投資・内国民待遇のサービス交易」
である。これにより、地図上の国境は存在し続けても、実際は、参加国が同一国
になる様なモノである。
日本は国内法の上に条約がくる。
平気で条約を否定し判決を出す様なお隣の国とは違うのである。
「関税」は自国の産業を守る為に必要であるし「投資の制限」も自国の企業の
乗っ取り防止や雇用形態などなど、自国、国柄を存続させていく為には、絶対に
必要な事である。
そして、「内国民待遇」=他国民なのに自国民と同じ待遇にする。という
訳の分からない事までついている。
それ以外にも「ISD条項」と呼ばれる「投資家が受けた損害を金銭等により
賠償する手続を定めた条項」がある。
これは、国内法で禁止している事も、TPP参加により相手国の一企業が、
「損害が出た」「非関税障壁」だと日本国を訴える事が出来る。
その裁判が行われる法廷は、アメリカの息のかかる世界銀行の中の
「国際投資紛争解決裁判所」で、裁かれる事になります。
現にTPPとほぼ同じ内容の条約「北米自由貿易協定(NAFTA)」を結んでいる米国と
カナダの間で米企業がカナダ政府を訴え、「国際投資紛争解決裁判所」は、
カナダ政府に「内国民待遇を犯している」という判決を下し、
賠償金の支払いと法律の改正をを命じています。
メキシコも同じような目に遭ってます。
2010年までの20年間に、このISD条項によって訴えられたのは、カナダが28件、
メキシコが19件、アメリカが19件。
敗訴して支払った賠償金はカナダがおよそ118億円、メキシコが143億円に対して
アメリカは0円との調べもあります。
そして、カナダでは10年も経たずに食品加工の7~8割をアメリカ系企業に
乗っ取られ、メキシコでは特産であるトウモロコシ農家が壊滅してしまい、
アメリカからの輸入に頼らざるを得なくなってしまった。
これらは、「ラチェット規定」により、何らかの事情により問題が発生しても
規制を強化することも、許されていない。
という恐ろしいオマケも付いている。
現状の日本は、番犬様(米国)に守ってもらっている状態なので、回避する事は、
難しいであろう。
戦後のツケが、回って来ているのだ。
しかし、諦めてはいけない。
やれる事から始めていかないと、子の世代、孫の世代、未来の世代の
日本人に申し訳が立たない。