
その昔
ワタシは海を仕事場とする
底引き船の漁師をしていました
底引き船の漁は
夏場の7月8月はお休み期間なので
その時期は
船員たちはそれぞれ
個人で仕事をする
ワタシは
もっぱら
潜り漁師(潜水士)
でサザエ、岩牡蠣などを獲っていました
そのとき
小さな漁船も所有していました
それから
底引き船を降り今にいたるのですが
その間十数年
この船は港に放置したままになっていたのです
その船の
撤去命令の御達しがきました
ワタシ自身も久々に
船を見に行きました
見事に朽ち果てた我が船
少しの備品を引き上げてきました
ブイ
アンカー
錘
救命具
などなど・・・数点
頭から波をかぶり
荒れた海へ漁に出る
冬は蟹の時期
決して嫌な仕事ではない
きつい時はきついけど
やりがいのある仕事だと思う
男は一度は経験するといいと思う
ワタシもこの経験によって
当たり前の生活
地面に足を付いて歩けるありがたさ
普段思ってもいなかったことの嬉しさ
がすごく感じることができたはず
確かに感じていたあの感覚
あの時感じていた
忘れていたそういったものが
また蘇ってくる
あの過酷さに比べれば
丘でのなんとやらは
大したことないよ
って思えてくるよ