数年前の庭での写真

 

 

 

5月の初めころ、「玄関に何かの赤ちゃんがいる!」とちびっ子が私を呼んだ。

それは、ハゲ散らかした生まれたてのツバメの子だった。割れた卵の殻も見つかった。巣から落ちたのか、いや、孵らなかった卵を親が落としたのじゃないかと思う。

この3日ほど前、雛が孵った形跡があったけど、親鳥の様子から、孵らなかった卵もあるように思えた。きっとその残りの卵なのだろう。

 

 

アリにたかられているけど、ヒクヒク動く様子は、アリが動かしているのではなく、まだ息があるからだった。

 

 

自然のままにするなら、手を出してはいけない。人間が手出しをしたところで、親鳥は受け入れないだろう。落ちた子が生きたためしがないし、どのみち死ぬ。

 

 

が、私はまだ息のあるその子を巣に戻した。

 

 

ツバメは毎年、この玄関の巣で卵を産み子育てをする。一昨年、子育て中のツバメの一家惨殺事件が起こり、親鳥以外の子供7匹が全滅した。ネコかカラスか、スズメなのか、どれも心当たりがあるけど、結局わからず、私は心を殺しながら子供たちの死骸を片付けた。

 

 

一度こういうことがあると、しばらくは、もう戻ってこないのだが、昨年も戻ってきて家庭を作り、無事に巣立ちをしたのだ。

 

 

さて、戻したツバメは、親に追い出されることもなく、今、生きのびて兄弟たちと仲良く成長している。あと数日で巣立ちが来るはず。

 

 

 

4匹は確認できた

 

 

食事を与える瞬間が撮れた

 

 

 

 

奇跡の庭

 

 

この庭は奇跡の庭だ。砂利だらけの、掘ればガラス片やタイル、乾電池などゴミが出てくるような硬い地面を、私が何年もかけて植物が育つ土地にした。庭の生態系を復活させる目的だった。そこは今では、たくさんの植物が育ち、たくさんの生きものが生活する場になった。そこで目にする命のやりとり。

 

 

昨日、ゆずの木の幼虫がヒヨドリに食べられた。2日前に幼虫はこのブログで紹介した。(食べられたのはそれとは別の幼虫)ヒヨドリは、幼虫が大きく育つまで待ち、青く丸々した頃にそれを食べる。

 

 

生態系を復活させたのは、人間が愚かで傲慢な生き物であることを、忘れないため。