皆しゃま 超ご無沙汰でございます
放置して1年ちょっと
あと二話やのに どないしたん?
ここで辞めるかァ?普通
ええ歳こいたおばはんが
人生のやり残しあきまへん
いくら史劇が好きで
現代モンがイマイチ好きになられへんでも
だってホンチョンギの方が好きやもん
後ちょっと頑張れよ
てなことで
皆さん もう待ってはらへんかもしれへんけど
最後まで頑張ります
久しぶりに読んだら ちょっと好きかもでした
ヨンウォンの使者たち
第 八 章 X使者の復活
第 七 節
6月6日
0時になると同時に、甲1がヨンウォンのリビングに現れた。黒よりももっと深い黒髪のせいで彼の美貌は一層際立った。もっともっと愛するようになったが故に、カッコ良く見えているのかもしれない。
相変わらず服も靴も脱ぐことが出来ない甲1なりに、楽そうなパジャマを着ていた。前もって約束をしていたので、ヨンウォンも綺麗に洗って待っていた。だからチャイムは必要なかった。彼らは抱き合い長いキスを交わした。それから些細な会話を楽しみ、眠りについた。二人は深い眠りに落ち、だがその間もしっかりと握った手は離さなかった。
朝から午後まで、ミナとギョンミンと一緒に溜まった仕事を片付けるために忙しく過ごした。甲1は無体化状態で、ヨンウォンの側にずっと居てくれた。ミナとギョンミンに内緒で、二人だけの会話も交した。理由もなくクスクス笑っていると、変な目で見られたりもした。
甲21から、安否確認の電話が掛かってきた。ただ元気なの?という簡単な言葉が全てだった。甲3からも電話があった。幸いにも国科捜をクビにならなかったという自分の様子だけを伝えるものだった。ただそれだけなのに、気持ちが暖かくなった。
ニュースでは、コ・ガンスの連続殺人事件について、終日放送されていた。コ・ガンスが最後に潜伏していた家から、これまでの犯行が記録された手帳が見つかった。そこには、バラバラにした遺体のうち、大きな部位は主に海に、小さな部位は様々な野山に遺棄したが、頭だけは全て山の中の1箇所に埋めたという記録が残されていた。手帳に記されていた山の中からたくさんの頭蓋骨が発掘された。ヨンウォンは、おそらくその中にイ・ジョンヒもいるのだろうと推測した。だが今、彼女のDNAで調べても同一人物は出てこないだろうと思うと、少し涙も出た。甲1の前だったから、少し甘えも混ざった涙だった。コ・ガンスが死んだからといって、彼が残酷に殺した被害者達は、生きて帰ることは無い。イ・ジョンヒの人生が二度と戻らないように。
夕方には、甲1と一緒に歩いて病院に行った。パジャマ姿が人の目に見えないのは、何より幸いな事に違いなかった。その一方で、彼がその姿で歩いていると街中がランウェイになったようで、それも悪くないと思った。最近ではパジャマファッションというのもあるというではないか。まあ雑誌でしか見たことがないけどね。
病院の職員達の誤解は依然として解けてはいないが、シモとヨンウォンは気にしないことにした。シモは全ての患者に親切な医者であった。ヨンウォンにはそれより少し親切だっただけだ。そんな医者に出会ったことは、今世のヨンウォンにとって幸運だった。ヨンウォンの尿と血液から、正常濃度を少し外れたホルモン値が検出された。さほど深刻な状態では無かったので、きっちり日数分だけ薬が処方された。急性ストレスにはこの程度の治療で良いだろうとのシモの見解だった。
夕食は、甲1が食べられなかったと聞いてヨンウォンを悲しませたチキンを注文し、分け合って食べた。まだナトリウムの影響で涙は流れ出たが、いつかは平気になるだろうと互いを慰め合った。二人は長い時間、他愛もないお喋りにふけった。普通の人達の会話のネタとは多少の違いはあるものの、愛し合う恋人達が醸し出すラブラブな感じは同じだった。互いにトキメキ、声を出して笑うこともあった。そして6月7日は、甲1のキスと共に迎えた。そんなに特別なこともない、それゆえもっと幸せな6月6日が暮れた。
********
1ヶ月後
金浦空港は行き交う多くの人でごった返していた。ヨンウォンと甲1は、国内出発ゲートの前で向かい合って立っていた。耳にイヤフォンを挿したヨンウォンが、透明な甲1に挨拶をした。
「直ぐにまた、会いましょう。」
甲1が、触れてもいない彼女の頭を撫でるように動かしながらささやいた。
「うん、待ってるよ。頑張って。きっと出来るよ。」
ヨンウォンは、感触は無くても彼の柔らかい手の温もりを感じられた。
「モチベーションが上がって、頑張らずにはいられないわね。」
「君のアシスタント達が来た。僕は行くよ。」
甲1が消えると同時に、ミナとギョンミンが重いカバンを抱えるように持って走ってきた。
「先生!私達、来ましたよ!」
「何をそんなに重そうに持ってきたの?手荷物で預ければよかったのに。」
ミナがキッパリと首を振った。
「この神聖な漫画本を、どうして貨物室などに載せられましょうか。神様にサインしていただく本なのに、うほほほほ。あっ!すみません。近頃、笑いが止まらなくて。神様と他の伝説の方々とも一緒にお目にかかれると思うと。私は本当に幸せに生まれ、祝福を受けながら生きている気がします。先生のアシスタントで幸せです。」
ミナの笑い声に、ヨンウォンもつられて笑った。笑いは伝染性が強いと言う話を実感する今日この頃だった。
「私もあなた達の先生で幸せだわ、ははは。」
ギョンミンが横から咎めた。
「確実に神様のサイン狙いで入ってきたに決まってます。じゃないと、あんなに口が裂けるほど笑えるはずないし。何日も正気じゃない女のようだったんですよ。」
ヨンウォンも大きく頷きながら笑った。
「私もそう思うわ。それでも仕事は完璧だったから構わないわ。」
ミナが横目で睨みながら言った。
「おい、アシ2!あんたも人の事言えた立場じゃないでしょ?あんたのそのカバンは何なのよ?」
ギョンミンも大きなカバンを後ろに担いでいた。そのカバンをミナが手でトントンと叩くと、ギョンミンが素早くてかわして手を遮った。
「タッチお断り!近頃入手しにくい漫画本だから、プレミアム本を買ったんです。」
「サインを貰うために買ったって、バレバレじゃない?私のはずっと前から持ってたものよ。」
ヨンウォンが言い争う二人を置いて、出発ゲートに入った。
「私、先に行くね。飛行機に乗り遅れたら、次のチケットは無いわよ。」
ミナとギョンミンが彼女の後を追いかけた。
「先生、一緒に行きましょう。」
「先生、大丈夫そうですよね?僕達よりもずっと元気そうです。まさか、薬を飲まれたんじゃないですよね?」
「飲んでないわ。それでも持ち堪えられると思うわ。」
彼らが出発ゲートに入る姿を、半袖シャツ姿のシモが見守っていた。彼のそばには甲3が立っていた。
「さぁ!俺達も入るとするか?」
2人のそばに甲21がやってきた。彼女は赤い髪を、つばの広いフェドラー帽子で隠していた。
「オッパたち!私を置いていっちゃダメでしょ。」
「お前は何でまた来たんだ?」
甲3の文句に続き、シモも2人まとめて文句を言った。
「お前たちこそ、どうして来たんだ?僕は担当医師として来てるんだよ。」
甲3が堂々と出発ゲートに入りながら言った。
「俺は済州島旅行さ。自分で金を払って飛行機のチケットを買ったんだ。たまたま偶然、行き先が重なっだけだ。」
シモが追って、歩きながら言った。
「へぇ、偶然とはねぇ。何故、そこにお金を遣うんだ?そのまま空間移動すればいいじゃないか。」
甲21も一緒に出発ゲートに入りながら言った。
「気をつけて。セキュリティチェックを通過する際に、エラーを起こすかもしれないから。」
甲3が、大したことは無いという口ぶりで応酬した。
「エラーが起きたら、チェック台を壊せばいいんだよ。心配するな。前にアメリカでのセミナーに行った時、1度使った手口だ。」
「どうか、この世で罪は犯してくれるなよ。特に甲3使者。ヨンウォンさんが僕達に、二人以上では一緒に来ないでって止めたのに。これはまずいよ。」
「大丈夫だって。人間たちは群れをなすくせに、俺たちにだけやめろなんて、お話にならないね。」
ヨンウォンの警告はお話になったのだ。この三人が、空港の全ての視線を集めていたからだ。
ヨンウォン一行は搭乗口の前で、搭乗時間を待っていた。ところがその時、人々の視線が後方に集まっているのが見えた。この不明瞭なざわめきが、ヨンウォンの足元から毛を逆撫でた。不吉な予感がヨンウォンを襲った。この不吉さは、この前、遊園地で経験した感じに似ていた。後ろを振り返ったミナが叫んだ。
「い、院長先生だわ!先生、イ・シモ院長先生です!ん?他の人も……」
ギョンミンも後ろを振り向いて、魂が抜けたように言った。
「ありえない!アレは本当に桁外れの美貌だ。この世にあれ程の美人が……」
ヨンウォンは振り向かなかった。代わりにカバンを抱きしめて、思い切り体を縮めて身を隠した。けれど、無体化することの出来ない人間を隠せるはずはなかった。
「おいっ!ナ・ヨンウォン!」
甲3の声だった。ヨンウォンが無理やり笑顔を作って振り向いた。三人の月職たちが無体化もしないで、人間たちの目に堂々と見える形で立っていた。ミナとギョンミンが、ヨンウォンと彼らを代わる代わる見つめた。ヨンウォンが立ち上がりながら言った。
「ここにどうして……」
「俺たちも旅行だ。済州島の黒豚を食べに。」
シモがヨンウォンに近づいてきて、申し訳なさそうに言った。
「すまないことをした。ヨンウォンさんにとって大事な挑戦なのに、コイツらを止められなかった。」
「院長先生は何故いらっしゃったのですか?」
「僕は……、ぼくも旅行なんだ。ははは。」
ヨンウォンは、にっこり笑っている甲21を見た。自分なりに赤い髪を隠そうと帽子をかぶったようだが、つば広ハットで余計に目立っていた。ヨンウォンが首を横に振った。
「この団体ショットは良くありません。誰が見ても、芸能人とスタッフたちです。」
「僕たちは芸能人じゃないんだから、関係ないよ。」
「そういう意味じゃなくて……。まぁ、いいわ。ところで飛行機に乗るんですか?」
「もちろん。そのために手続きの複雑なセキュリティチェックまで通過したんだから。これを通過するためには、僕たちもあれこれ準備しなければならない装置がたくさんいるんだ。」
「いやいや、何故そこまでして?」
「僕たちの身分証はこういう時に使おうと、苦労して作ったものだからね。」
これは驚く程に的はずれな答えだった。ミナが好奇心を抑えられずに割り込んできた。彼らの姿は、シモばかりか甲3までも神の恵であった。
「先生!私たちにも紹介して下さい。」
甲3が早速財布から名刺を取りだして、ミナとギョンミンに渡した。名刺の文字を読んだギョンミンの瞳から、光が輝き出てきた。
「お会いできて嬉しいです!推理漫画を志望するキム・ギョンミンと申します。ヒョン(兄貴)と呼ばせてください。」
ミナが彼を押し退けて、甲3の前に立った。
「どこで詐欺を働いてるのよ。あんたのは武侠漫画じゃない!こんにちは。ファン・ミナと申します。私こそ、推理サスペンス少女漫画を志望しています。気になることがあったら、ご連絡してもいいですか?」
「頭の痛い創作職業群だな。ナ・ヨンウォンの顔を立てて、質問ぐらいは受けてやろう。」
語り口から感じられる傲慢さといったら。それでもミナとギョンミンは、法医官という職業に魅入って浮かれていた。将来とても大切に使える人脈と言わざるを得なかった。ミナが両手を合わせて尋ねた。
「もしかして、ウチの先生とお付き合いされてる方で……」
「違うわ!」
ヨンウォンの叫びとほぼ同時に、甲3も反論した。
「くっつけるなよ!とかく人間共は、すぐ様くっつけようとする。」
ギョンミンがミナの腕を引っ張って耳打ちした。だが、決して小さい声ではなかった。
「目がついてるなら、隣の女性を見て下さい、ほらっ!ウチの先生がかなうはずがっ!世の中にあれ程狂おしい美貌を差し置いて、ウチの先生が目に入りますか?今、世の中全ての女性がイカに変わったんですよ。」
「あんた、今、自分はイカじゃないと思ってんの?いえ、あんたは完璧にイイダコよ!」
ヨンウォンが淡々と言った。
「ギョンミン、全部聞こえてるわよ。」
「うっ!すみません。僕は今、興奮し過ぎて……」
「大丈夫よ、分かってるから。でも、この人達を人間と比べる必要は無いわ。ただの宇宙人だと思って。その方がもっと近いから。」
ギョンミンの耳に、ヨンウォンの声は届いていなかった。素早く椅子を手で払って、甲21を見ながらそこに招いた。
「どうぞこちらにお座りください。」
ヨンウォンも言った。
「そうね。皆さん、ちょっと座りましょう。そうじゃなくても皆さん背が高くて目立ってるんだから。」
甲21が座りながら、ギョンミンに微笑みかけた。
「親切なオッパなのね。ありがと。」
「い、いえ、光栄です。僕の生涯で、こんな美人を直接出迎える機会が与えられるなんて。死んでもこの瞬間は忘れません。」
「死んでも?ははは、本当に?」
シモがヨンウォンに言った。
「ヨンウォンさん、他人の視線を怖がらないで。これにも打ち勝って!」
「はぁ?私が乗り越えなければならない恐怖が、まだ残っていたんですね。でも、私一人だったらこんな視線はありませんから。」
甲3とシモが椅子に並んで座った。ヨンウォンは一緒に座るのを拒んだ。顔を並べたくないからだった。この様な心理はミナとギョンミンにも強く作用し、彼らもやはり一緒に座ることは出来なかった。ヨンウォンが深いため息をついた。
「まったく、この団体ショットはないわ。」
これは、羞恥心でも自虐心でもなかった。ただ羨ましかったのだ。彼らは甲1と同じ死神にもかかわらず、人間に混じって一緒に生活していた。彼女の知人達と初対面で名乗り合い、挨拶を交わすことも出来た。人がいればいつも無体化しなければならないし、二人きりでいる時でさえ服を脱いではいけない甲1とは天と地ほどに違っていた。ヨンウォンは甲1ともこんな風に過ごしたかった。芸能人のそばにいるマネージャーに見られてもいいし、イカじゃなくて別のものに見えても構わなかった。彼と一緒に撮った全ての写真が、屈辱ショットだとしても関係なかった。ヨンウォンが首を振った。また欲張ってしまった。過ぎた欲が招いた事態を経験しても、またこんな気持ちを抱いてしまった。彼女は、やっぱり人間という存在はどうしようもないんだと自らを責めながら、欲望を静めた。
********
ヨンウォンの足取りが、次第に速くなった。済州空港の到着ゲートを出てからは、さらに速まった。叔母に向かった足取りだった。ヨンウォンは、大勢の人並みの中に心配そうに立っている叔母さんを、一目で見つけた。飛行機に乗って済州島までやってきたヨンウォンに対面した叔母さんは、しばらく言葉を発することができなかった。ただただ背中だけをずっと撫でてやるだけだった。
一行とも挨拶を交わした。感激に打ち震えるアシスタントたちとは違い、叔母さんの関心はあたかも一行のように立ちはだかった月職たちに注がれた。彼らは当たり前のようにヨンウォンの一行として、到着ゲートを出た。飛行機というトラウマに無事耐えて降り立った済州島は、目の眩むような強烈な陽射しでヨンウォンを迎えてくれた。
ヨンウォンは、ずっとキョロキョロしていた。ここで、懐かしい死神たちが待っているだろうという甲1の話のせいだ。駐車場に向かって歩き始めた時だった。夏服を着て忙しなく行き来する人の間に、透明な人たちが現れた。季節外れの長い黒のコートを着た甲2と庁長、そしてセンター長だった。普通の人の目には見えない彼らに向かって、ヨンファが、そしてヨンウォンが近寄った。外出忌避症の人間と、この世忌避症の三人の月職が一堂に会した。互いを分かり合ったからこそ癒された傷であった。彼らは皆、慈愛に満ちた死神たちだった。ヨンファに、より慈しみ深かっただけだ。ヨンファが、そしてヨンウォンが、とうの昔にすべきだった挨拶をした。
「皆さん、ありがとうございます。お陰様で私は無事大人になり、ずっと幸せでした。」
甲2が、爽やかな口の端を上げて言った。
「私たちこそ、あなたのお陰で楽しかったんだ。その楽しみまで忘れていたんだけど。」
ヨンウォンが、センター長の髪に挿してあったかんざしを見ながら言った。
「甲5使者様は髪にそれ、ちゃんと挿してくださってたんですね?」
「礼が遅くなったな。とても気に入ってるんだ。だから片時も離さなかったよ。」
庁長がきょろきょろ辺りを見回しながら言った。
「ところで、甲1使者は何故未だに来ないんだ?CCTVの無い所を探しに行くと言っていたが。」
「えっ?CCTVがどうして……」
「あっ!あそこにいる。」
ヨンウォンは、透明な月職たちの向こうに、こちらに歩いて来る甲1を見つけた。彼は透明ではなかった。自分の短い影を足で踏みながら、長い脚でつかつかと歩いて来ていた。風に短い黒髪をなびかせながら。そして、黒いコート姿ではなかった。腕があらわになったTシャツと、ジーンズを履いていた。全てこの世の服だった。甲1が、有体化した甲1が、人々の視線を一身に受けながら、ヨンウォンに向かって歩いて来た。明るく微笑みながら、彼がやって来た。明るい光のように。
ヨンウォンが走った。甲1に向かって走った。大切にしていた靴を履いて、玄関の外に出て、熱い陽射しを浴びながら走っていた。そして彼の胸に飛び込んだ。甲1が白い両腕で、ヨンウォンの体を抱きとめた。
「カ、カビル、ど、どうしたの?」
「休暇を貰ったんだ。我があの世からの、君の輪廻に対する謝罪の意味でね。」
「どれくらい?」
「俺たちには短いが、人間にはもしかすると長いかもしれないほど。まだ身分証とか指紋のようなものは作ってないけど、休暇は今日からだ。」
「じゃあ、院長先生や法医官様のように、この世で暮らせるの?」
「君のそばで暮らすよ。」
二人は短いくちづけをした。ここは韓国で、人の視線も多かったので、このくらいで物足りなさをなだめた。彼らを見守っていたミナが、興奮して叫んだ。
「先生が付き合ってる方が現れました!向こうが本物ですよ。わぁ!わぁ!すごい!」
「僕も今回は止めません。これは本当に言葉にはなりませんが。」
叔母さんの口から感嘆の声が漏れた。
「あらまっ!あの子ったら、前世で国を救ったのみならず、全人類を救ったのね。」
ヨンウォンと甲1を見つめていた甲3が言った。
「俺はこの場面を見るために、ここまで来たんだ。」
シモも甲21も同じ気持ちだったから、同時に頷いた。甲3がシモに言った。
「おまえもご苦労さん。あの厄介なこの世忌避症の三人の奴らを全員、現職に復帰させてくれたお陰で、甲1使者も休暇を取ることが出来たんだ。おまえ、まさか、終わったからといって、地獄庁へ直ぐに復帰するんじゃないだろうな?」
「どうせ苦労ついでにもう少しとどまって、勉強するつもりだ。人間たちとの相性も、そう悪くはないしね。君は復帰しなくてはならないんだろ?」
「三人も復帰したのに、俺までする必要はないだろ。甲1使者がこの世に慣れるまで、メンターの役割が必要だ。だから身分証をもう一つ申請したぜ。もうこの外見で粘るには限界があるからな。」
「国科捜は辞めるのか?」
「いや、それもやりながら。だから俺も、あれこれ準備することが多いんだ。」
甲21が驚いて言った。
「法医官オッパ!また何かとんでもない事をしようとしてるんじゃないでしょうね?」
甲3は答えを避けて、話題をそらせた。
「俺の事よりもっと大事なことがある。甲1使者に、この世でどんな仕事をさせるんだ?身分証は、在米韓国人として設定することにしたらしいが。」
甲21が両こぶしをぐっと握った。
「何がなんでも勉強させなきゃ。休暇を口実にした留学にしてしまうのよ!甲1オッパなら、何でもちゃんと学ぶはずだから。」
シモが心配そうに言った。
「最近はグローバルな時代だから、外国人として入ってきたと設定しても、色々問題が多いはずだ。まあ、外務庁で上手くやってくれるだろうが。」
甲21が言った。
「外務庁、近頃忙しいのよ。玉皇国の電算システムを再整備するのに、うちの方から技術移転してあげることに協約したの。その代金の一部をこの世の貨幣でもらうことにしたの。ウチの甲1オッパのために、この世のお金がたくさん必要だとか言ってね。」
甲1がもう一度、短いくちづけをしてヨンウォンを軽く抱き上げた。彼女の両足が地面から離れた。ヨンウォンの笑い声と甲1の笑い声がひとつに混ざりあった。地面に刻まれた二人の影も、ぴったりひとつになった。ヨンウォンは彼の首を抱きしめて、彼の冷たい頬に自分の頬をくっつけた。そして、心の奥底から祈った。
『カビルと共にする今世は、最期まで無事でありますように……。最期の瞬間に訪れる死が、今世だけはどうか平和でありますように……。』
何やギョェーからの
恐ろしいまでにハッピーエンディング
めでたしやんかいさ
けどね
もう一話ありますねんよ
オマケみたいなやつやけどね
てなことで
今日も読んでくれはって
おおきにさんどした