スルメイカ漁獲量が激減し、危機を迎えている!

 

函館で水揚げされるスルメイカは減少傾向が続いている。現地では悲鳴を上げるほど深刻になっている。

ピークだった2008年度は8924トン。2018年度には初めて1000トンを下回って838トン、2020年度には500トンを下回って436トンと減少を続け、昨年度は最低の317トン。

価格はどうか?

最も安かった2008年度は1キロあたり225円、昨年度は1344円とおよそ6倍に高騰、とNHKで報じられた。

 

スルメイカの国別漁獲量は、国の水産資源研究所の推定によれば、下図のように減少を続けている。

日本の食文化に影響を与えている。

 

雑誌Wedgeによれば、漁獲管理に問題があるようです。

TAC(漁獲可能量)が、下図のように実際の漁獲量を上回っており、管理効果がまるで実効していない。

しかも中国は、正確な漁獲量を報告せず、違法操業が繰り返されている可能性が高い。(ここに北朝鮮のデータが加わるはずだが・・・)

 

イカの産卵期と漁獲時期は、下図のようになっている。

イカの資源評価と管理が必要であるが、日本海で関係国が協議する取り組みが不十分な状況、つまり水産資源管理体制が未整備のままとなっている。

 

 

海は、温暖期と寒冷期が数十年のサイクルで繰り返され、魚種が交代することが海のレジームシフトとして知られている。温暖期にはスルメイカやカタクチイワシが増えるとされてきた。しかし、マイワシが増えておりスルメイカが減少している今の状況は、寒冷期に移行している可能性を示唆している。

温暖期でもスルメイカが減少傾向にあったことから、獲りすぎと産卵保護が機能しない漁獲行為が引き起こしている可能性が高いと考えられ、さらに寒冷期に入れば回復が遠のくことが危惧される。

 

一方、太平洋のイカ類の漁獲量は、FAO(国連食糧農業機関)のデータによれば、下図のように、増加後安定している。アメリカオオアカイカと呼ばれる。

太平洋南東部(ペルー沖)では、図のようにイカの漁獲量は急増している。

 

 

さて、日本近海でイカの漁獲量が減少している現状ではあるが、日本の消費者にとってイカが今後どうなるのか?

日本の漁獲量が少ないため、冷凍イカを輸入に頼っているのが現状のようです。

驚くのは、日本の輸入先1位は、何と、中国なのである。(50%以上が中国。2位のペルーと合わせて75%。)

中国は、日本海の資源量が減少しているのに、なぜ日本に大量に輸出できるのか?

中国が、ペルー沖で漁獲していると言われている。イカは領海、EEZ内、公海に跨って生息する中で国際ルールがどのように守られているか、疑問は尽きない。

イカ類のIUU漁業(違法・無報告・無規制)漁業がしばしば問題になっており、中国から輸入されるイカ類の35~55%はIUU漁業由来と推定する調査結果が報告されている。

 

★中国の行為は、今起きている結果から見て、日本海のスルメイカ漁場を壊滅させ、大型漁船をペルー沖に送り込みアカイカを大量に漁獲し、それをスルメイカが獲れなくなった日本に売りつける形となっている。日本は、それを知ってか知らずか、中国から冷凍イカを大量に輸入している。南米の資源は、南米から輸入するのが常道ではないのか、と首をかしげたくなる。

 

 

これらの事から今後のことを推定すると、日本海でスルメイカの漁獲量が回復するのは当面期待できそうにない。

新鮮なスルメイカが店頭に豊富に並ぶのは、もはや夢物語かもしれない。

しかし、太平洋東部のイカを輸入する道は開かれており、冷凍イカが食材として今後も食べられそうだ。

 

また、イカの養殖は困難とされているが、アオリイカの養殖が、日本の研究室で進められているという。こちらにも期待を寄せたい!