近ごろ、マイワシが日本近海で異変を告げる動きをしている。

マイワシが増えている、死骸が海岸に打ち上げられるニュースが頻発している。

これが何を示唆するのか、探ってみた。

 

いくつかの記事をピックアップしてみました。

昨年(2023年)

11月16日(読売新聞)北海道東沖でマイワシの豊漁が続いている。

道東沖の最近の漁獲量の推移:

 

12月7日(NHK) 函館の海岸にイワシなどの魚が大量に打ち上げられる。

 

12月15日(読売新聞)三重・志摩の漁港でイワシ大量死、大型の魚に追われ迷い込み酸欠状態か…業者などが85トン分回収。

 

今年(2024年)

1月11日(UHB北海道ニュース)北海道南部せたな町の平浜漁港に6.7トンのイワシが漂着。

 

2月14日(チューリップテレビ)富山湾に異変:マイワシ豊漁の時代が続いている。尋常じゃない量のイワシに定置網が壊れた。

 

3月26日(HTB北海道ニュース)小樽市の海岸約7kmにわたる大量のイワシ。市職員による手作業での回収始まる。今後重機の導入も。

 

4月2日(HTB北海道ニュース)北海道の甘エビ漁がいまピンチに…押し寄せるイワシの大群と関係も。「エビも“イワシ”とかを食べるから、かごにつけている餌より、周りに食べるもの(イワシ)がいっぱいあるから」

 

4月4日、10日(HTB北海道ニュース)海に異変?北海道日本海側で相次ぐイワシの大群が、石狩からさらに北の留萌管内にも。市民は困惑「イワシが来たからニシンが来ない」

 

4月11日(テレ朝ニュース)富山湾に春の海で異変次々 大量「イワシ」「ホッキ貝」「ホタルイカ」…水面・海岸埋め尽くす。海面をホタルイカが覆いつくす。

 

4月2日&20日(北海道ニュースUHB) 北海道の海に“異変”が…石狩市に季節外れのイワシの大群が押し寄せ「入れ食い状態」…一方で春の風物詩“甘エビ”は8割減の記録的不漁。

 

 

一体、何が起きているか、 原因は?

マイワシは、日本沿岸に広く生息する魚。

マイワシは、春~夏に餌を求めて北上しながら黒潮と親潮の混合域でプランクトンを食べて成長し、さらに北上して大きく育つ。動物プランクトンを主食として成長し、成長が進むにつれて植物プランクトンを多く摂る。水温の低下に伴って南下する。

 

★ 大量死の原因は、イワシが急激な水温低下に対応できず体力を落とし、イルカやマグロやブリなどの捕食者に追われたことが考えられている。

 

★マイワシの大群が押し寄せ、他の漁に影響:北海道石狩市では、海底に沈んだその死骸を甘エビが餌にしている。甘エビがエビかごにかからず不漁となっている。

 

★ 死んだ大量の魚が分解される過程で海中の酸素濃度が低下し、海の生物に影響が出る可能性もあるという。

 

★ マイワシの資源量は数十年単位で増減を繰り返すレジームシフト】が知られ、1980年代は豊漁だったが、1990年代~2000年代には道東沖で全くとれない時期もあった。2011年から増加傾向に転じた

親潮と黒潮がぶつかる混合域では、海水の上下攪拌が激しくなり海底から上昇する栄養塩が増加し、プランクトンが増殖される。このため、稚魚が良く育つ。

 

親潮が活発な頃、カツオやビンナガなどの北上が遅れて、稚魚が生き残れたことが関係し、マイワシが豊漁であった。

 

★ レジームシフトと気候変動の関係

アリューシャン低気圧(北太平洋・アリューシャン列島付近で冬に発生する低気圧)が活発な頃、冬型気圧配置が強まる。この影響で親潮の南下が強まる。

近年、アリューシャン低気圧が弱く、親潮の南下が弱まっている状況とみられる。

つまり、「黒潮続流(黒潮の勢いがさらに北へ延びる暖流)」が三陸沖まで北上する異例の状態が続いているほか、近年は寒流の親潮の勢力も弱まっている」ことが、気候変動と関係していることがわかってきた。

 

マイワシの食用拡大へ

イワシは、傷みやすく調理がしにくいなどの理由で、食用の比率が少ないようだ。

また、小型化しており、水温の上昇が理由だと指摘されている。今年の道東沖の海面水温は、「海洋熱波」と呼ばれるほど、平年より5度以上高い。

北海道では、水揚げの95%以上が飼料・肥料に回る。道民には食習慣として定着していない。

道釧路総合振興局は、ハンバーグやつみれ汁など、家庭で調理できる24品のレシピ集を作成したという。

また、釧路水産試験場(釧路市)によれば、マイワシの体温を氷点下1・3度ほどに保って流通させれば、高鮮度を維持できることがわかったのだと。獲れた直後の船倉内の氷の量を調整したり、塩分を含むシャーベット氷で箱詰めして輸送したりすることで、道東から豊洲市場(東京)に着く3日後でも鮮度が保てるという。

 

 

温暖化・気候変動の影響を受けて、黒潮が熱を北へ運ぶ勢いが増し、親潮の勢いが弱まり日本沿岸から遠ざかっている

これが漁場を大きく揺さぶっており、サンマやサバなどの量が減り小型化していることに繋がっているようだ。人気のサンマとサバが食卓を豊かにするのは、親潮が勢いを増し、日本の沿岸に接近することだ!

 

海のレジームシフト、親潮の回復により、好漁場が回復すると期待したいが、地球温暖化が行く手を阻む、と諦めムードが半ば漂う。しかし、まだ諦めたくない気持ちを持ち続けたい!