映画館で観る映画は心を掴む力がある。

最近、映画館へ行くことはほとんどなくなってしまった。映画館ではなくテレビで放映される映画を観ることで満足している、そんなテレビ派である。

果たしてそれで満足していていいのだろうかとぼんやり思いに耽っていると、ふと、懐かしい思い出が蘇ってきた。

 

中学時代に、映画に嵌っていた友人に誘われて、煙をもくもく立てながら走る汽車に乗って映画を観に行った。

〈マカロニウエスタン〉、なかでも〈夕陽のガンマン〉が強く印象に残っている。

それを思い出しながら、改めてビデオ鑑賞した。当時の映画の迫力が蘇ってくる。

 

幕が開き、山がかすれるほどにしか見えない広大な荒野が画面全体に映し出される。はるか彼方をゆらりゆらりと、一人のガンマンが馬に乗ってやってくる。

ドキューンと銃声が響く、と同時に馬上のガンマンがドタッと倒れる。エンニオ・モリコーネの音楽――口笛、ワイルドなドスの効いた擬声、エレキギターの伸びのある旋律が荒野に響き渡る。映画館の音響効果が迫力を生み、グーンと身体を突き抜け、一気に吸い込まれる。

マントを羽織った鋭い目つきのガンマンが酒場にやってくる。葉巻を咥え、薄目で周りの様子を鋭く見通すニヒルな主役の賞金稼ぎ(クリントイーストウッド)が登場。悪党一味が強盗を企て成功させ、彼らに掛けられた賞金額が跳ね上がったところを捕えようと様子を窺う……。

(クライマックス)――激しい銃撃戦が繰り広げられ、一人、また一人、ついに賞金稼ぎが悪党一味を全滅させる。圧巻だ! モリコーネの旋律が響き、悪党全員の屍を馬車に乗せて(クリントイーストウッド)が去って行く。(The End)

 

マカロニウエスタンとは分りやすく面白い命名だ。西部劇の舞台はアメリカだが、それをイタリア出身の映画監督セルジオ・レオーネが制作したものなので、一風変わっている。アメリカ製西部劇は、ジョンウェインなどが出演する映画だが、まったく異なるタッチだ。無法時代に賞金稼ぎが悪人を退治するストーリー。その緊張する場面で、異色の音楽が鳴り響く画面は「音のある絵」である。

映画館の大音響による迫力が、今も目と耳に焼き付いている。

少年時代に観たのだが、今観てもガンマンの渋さと音楽は全身に迫ってくる。懐かしく、時々ユーチューブでモリコーネの音楽を聴くのが楽しみだ。

友人はガキ大将のスポーツマンで、私とは不思議と馬が合い、お互い刺激しあったことも脳裏に浮かぶ。

 

まったく違う味の、あの映画も忘れられない。

それはいつも2本立てだった。ゴジラなどの〈怪獣映画〉と〈若大将シリーズ〉だ。

スポーツ万能の若大将(加山雄三)とスポーツカーを乗り回す富豪の御曹司・青大将(田中邦衛)が、マドンナ(星由里子)を奪い合う。が、勝負はいつも決まっていた。ヨットに乗る若大将が憧れだった。私は自分でヨットを操作できず、妻にも約束を果たせないままだ。

 

怪獣映画は、ゴジラが主役で、キングコング、モスラ、キングギドラなどの脇役が次々登場していた。

そして、ハリウッドがゴジラ映画を出し、日本でも〈シン・ゴジラ〉として復活。

最新では〈ゴジラー1.0〉〈ゴジラxコング 新たなる帝国〉と続く。

テクノロジーがリアルさ・迫力を爆発させている。映画館で大音響の中で観るのが最高だろう。

ゴジラ旋風が、世界に巻き起こっている‼

 

札幌雪まつりでゴジラの雪像を懐かしく観たことを思い出した。

 

ゴジラ像のリアルさと、ゴジラの縫いぐるみを纏った子供の像が、何ともユーモアがあった。