ノルウェイの漁獲管理が注目されている。

どのような漁獲管理が行われているか、その内容を確認してみたいと思います。

ノルウェイの方法とは、個別漁獲割当(Individual Quota = IQ)方式と称されていて、漁獲可能量を漁業者又は漁船ごとに割り当て、割当量 を超える漁獲を禁止することによって漁獲可能量(TAC)の管理を行うというもの。漁獲量は毎年国際交渉を通 じて決定され、TACの管理が行われている。

ノルウェイの漁業管理が、資源量コントロールをうまくやっているということだけではない。驚くべきことに、漁業者は、収入がサラリーマン層より高いために、わざわざ都会に出て働かなくても地元で高収入を得て生活ができる仕組みができている。このため、高齢化・後継者不足と言った声が聞こえてこないという。漁業者(小型漁船含む)に仕事の満足度調査をしたところ実に99%が満足しているという結果が出ている。ノルウェーでは漁業・水産業は成長産業だというのです。

 

今日ここで取り上げるのは、「ノルウェイのサバ漁」についてです。

ノルウェイのサバの最大の輸出先は日本。日本は、サバが豊富に漁獲され、ほとんど輸入に頼っていないと思っていたが、そうではないのです。

日本と大西洋のサバ漁獲量の推移をみてみましょう。

日本では減少傾向にあるが、大西洋では増えている。大西洋では、漁獲枠と個別割当制度(IQ)が機能しているため、3歳未満のサバの幼魚を漁獲することはまずない。このため海には産卵親魚というサバの成魚が潤沢にいて、毎年増え続けるというのだ。

 

次に、サバの脂の乗りの季節変化を見てみましょう。(出典:雑誌Wedge)

春は脂の乗りが少なく、秋から冬によくなる。

魚の性質として、マサバに限らずサケやマグロなどでも同様で、産卵期になり卵や白子が大きくなると栄養分がどんどん取られていく。このため身がやせて脂肪分が減少する。

 

ノルウェーでは、漁獲の大半(約7割)を占める大型巻き網船の漁獲枠は、漁船ごとに漁獲量が割り当てられている。しかも、その漁獲枠は実際に漁獲できる数量より大幅に少ない割当量なので、魚の価値が高い秋から冬にかけて脂がのった大きなサバを漁獲して、水揚げ金額を上げようとする。これが資源的にも、経済的にも好循環を生んでいる。合理的な仕組み・機能が働いており、資源が確保されながら持続可能な漁業が営まれている、と言えそうだ。

 

日本の場合、食用にならない幼魚まで獲ってしまい、サバの食用比率は低い(2019年約6割)。また、国内で食用に向かないサバが大量に輸出されている(2021年約18万㌧・水揚げの4割)。

 

先日アジの不漁の一報があった(5月19日に投稿)。原因が特定されていない。

サンマは不漁が続く(4月13日、18日に投稿)。関係国が漁獲管理の話し合いのテーブルにつき漁獲管理しているが、回復の兆しが見えない状況。

瀬戸内海ではイカナゴが漁獲管理されているが、回復の兆しが見えない(3月26日記載)。曲がり角に差し掛かっている。

 

日本とノルウェイには根本的に大きな違いがある。日本には漁獲管理の有効な仕組みがないに等しい。それだけではない。漁業の単位、漁法も福祉などの社会システムも異なる。

さあ、どうする日本⁉ (じっくり考え、またここに投稿してみたい。)