親愛なるあなたへ
あなたを憎む者がいて
あなたを信じる者がいて
あなたを甘やかす者がいて
あなたはあなたでいられない
こんなとこにいちゃだめだ
こんなとこにいちゃだめだ
言葉に操られているんだね
そして本質を見失ってゆく
あなたは心の痛みに震え
あなたは悲しみを持てあまし
あなたは誰かの威力にすがる
あなたはあなたでしかないのに
傷つくことはたやすいこと
傷つくことはたやすいこと
畏れを抱いているんだね
そして正義を見失ってゆく
親愛なるあなたへ
あなたはあなたを信じればいい
No.0184
050228
時の人
彼の悲痛な叫びは
デジタルに変換された
世界中に発された救助信号は
端末にヒットしなかった
彼はもうなすすべもなく
孤独を受け入れた
部屋に寝そべったまま
ゆっくりと狂っていった
手のひらにすくった水が
わずかずつこぼれてゆく
喪失感と絶望感と心の闇の全部は
誰にも伝わらなかった
彼の心臓は動かなくなった
そうするしかなかったから
自らの意志で
そうするしかなかったから
評論家は孤独を語った
彼のすべてを知っていたかのように
重々しい表情を軽々しい口調で
昼下がりの電波に乗せた
彼は時の人になり
家族は記号になり
もはや彼の理由など
真実である必要がなかった
No.0183
050227
僕は壊れてゆく
期待に押し潰され
僕は壊れてゆく
不透明な未来を畏れ
僕は壊れてゆく
秘密だらけの関係性に
僕は壊れてゆく
燃え上がる嫉妬で
僕は壊れてゆく
善と悪の葛藤で
僕は壊れてゆく
壊れてゆく恐怖が
僕を壊してゆく
No.0182
050226
Rain
もう愛せないって
君に告げた
受話器からかすかに聴こえる
雨の音が遠ざかる
君だけが
いつも濡れてた
傷つけてたね
知らずに
my girl
Love was rained out, what's wrong.
I can't kill love.
Love was rained out.
電話が鳴り響く
まだ鳴り続けている
ふたりはつながっていたんだ
愛とわがままで
雨は僕の未練を拒んで
君を遠ざけてしまう
ふたりが縛られてた約束
忘れてしまった
失くしてしまった
I can't kill love.
Love was rained out, what's wrong.
oh All my sad.
Love was rained out, what's wrong.
I can't feel my heart. no no no.
Love was rained out, what's wrong.
I wing to fly in the rain.
Love was rained out.
na na na......
na na na......
na na na......
No.0181
050225
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あなたの純度
あなたの粉々の骨を
海に撒いてしまおう
わたしはこうべを垂れて
ここであなたを精製しよう
あなたの肉体は
濾過されて浄化されて
罪の混じりの少ない
粉々の骨になり
あなたは魂を失い
存在の形も失って
完全な連鎖の環の中で
プランクトンの糞になる
あなたの純度は
あなたの体積と反比例していて
そしてわたしの悲しみは
あなたの純度に反比例している
No.0180
050224
消費者
活字や電波を鵜呑みして
なりふり構わず
危険から逃れたつもりでも
そんなものは
表面的な安心でしかないんだ
だってわかるだろ
ほら呼吸してごらん
はたして“安全な空気”だろうか
そんなことすら
まったく怪しいもんだからね
No.0179
050223
記憶の箱
薄手の白いコート
君とそっくりの後ろ姿を見かけたんだ
午後は仕事にならなかったよ
君のこと考えてしまったから
記憶の箱は罠のように
いたるところに仕掛けてあって
僕はほとんどあっけなく
箱の中に捕われてしまう
傷の癒える間もなく
また捕われてしまう
そして記憶はたどりつく
君を失った街の景色に
いったいどれだけ傷つけば
僕は自由になれるんだろう
No.0178
050222
依存症
一緒にいる時間が
ふたりを麻痺させた
純粋だった心は
純粋なままねじれた
ドラッグの量が増えるように
愛情も憎悪もエスカレートした
満たされるために
互いの想いを乱用した
思い通りにならない問題の解決を
暴言とセックスに依存した
もう誰の手にも負えないくらい
深刻なことに気づかなかった
底無しにもがくふたりは
でも恋愛をやめられず
傷ついても傷ついても
ただ孤独が怖かった
No.0177
050221
さよならいわなくちゃ
いつもとかわらない
時に流されて
こんなにもそばにいた
君のこと知らなかった
始まりは突然
僕に訪れて
駆けるようなスピードで
恋が育ってゆく
ねぇ 僕ら少しだけ
チグハグな感じ
ねぇ キスした数だけ
不安に包まれてしまう
さよならいわなくちゃ
君を きっと傷つけてしまう
死ぬ程恐いから
きつく 抱きしめてて
夜過ぎて止まれない
孤独なメリーゴーラウンド
もてあますほどの愛が
僕のこと苦しめる
ねぇ 君の過去にまで
やきもちを妬いてる
ねぇ 愛と悲しみは
おんなじ気持ちでできてる
さよならいわなくちゃ
君を もっと傷つけてしまう
涙が痛いから
強く 抱きしめてて
さよならいわなくちゃ
君を もっと好きになってしまう
静かに目を閉じて
この手 握りしめて
No.0175
050219
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