あれはいつだったろうか……
10年前の肌風が少し寒い10月の事だったと思う
私は持病のためその日も診察を受けた
年輩の医師で上から目線で語るのがなんとも嫌なじじいだった。
医師「はぁ~……万歩計貸したのに90歩も歩いてないなんて異常だね。散歩でもすりゃ~いいのに」
今考えると自分でも少なすぎると思うけど、鬱でしんどくって歩けなかったのだ。
私は散々医師の嫌味を聞いて言った
じゃ~出かけてやるよ!お前がビックリするくらいにな!!!
と、心の中では思っていた。
それから何日も経たないある日私はふと小樽運河に来ていた。
風が気持ちよかったのを覚えている。
なぜその時運河に行ったのかは分からないけど私はぷらぷらと運河を歩いていた。
すると見渡すと、ところどころで絵や作品を販売している人達が結構いる。
私はその中で似顔絵を描いているおじさんに聞いた
「わ~凄いな!この作品はおじさんが描いたんですか?」
おじさん「そうだよ。良かったら見て行って」
私はしばらく作品を見る事にした。
どれも忠実に人物の肖像画を描いた物だった。
見ていたらなんだか私の封印していた絵心が呼び覚まされて聞いた
「ここに出るには何か資格とかいりますか?」
おじさん「いや」
それから少しの間の後おじさんは言った
「お姉さんも出てみたら?」
これが私の運河デビューの幕開けだった。
後に聞いた話ではまさか本当に出るとは思わなかったらしい。
ここから私の物語は始まった。