とある事件をリアル報告します その3
あまりくわしくは明記できないのだが、某地方拘置支所内にある第2面会室でのこと。
容疑者との対面に際しては、朝、支所にて申し込みをする。申し込みは難なくクリアできるのだが、ここで重要なのは、容疑者がその対面に応じてくれるかどうか・・・ということだ。
おおよそにして、俺らのような報道の部類に入る連中は、面会を拒否されることが非常に多いというわけ。
今回の申し込みも、自爆覚悟だったのだが、ラッキーにも取材接見に応じてくれることになったのだ!
しかし、今回の容疑者は、あまりに多くの謎を抱えた人物・・・にしては、あまりにスムーズな事の運びときた。
正直、「何か罠もありじゃないか」と思ってしまう。
とある事件をリアル報告します その2
警視庁内の特別組織とだけ聞くと、とてもおおげさで小説なんかの作り話みたいに思えるが、これが実は存在する。・・・ということを今回はじめて知ってしまった。
びっくりした。
極秘ですって。
組織コードってのがあって、「SQS(スキュース)」と呼ばれているってとこまでは調べがついたところだ。しかし、それがどんな目的で、どんな活動をしているのかなどは、今現在調査中だ。
さて、ここではっきりと言えることが、ひとつある。
それは、今回の痛ましい殺人事件について、その容疑者は「SQS(スキュース)」のメンバーであり、また、その事件自体、とても大きな力の元で、闇雲にされようとしている事実が存在するってことだ。
世間がどう考えるかは知らねぇが、先生のポリシーはこうだ。
「ひとつの事件とは、少数の加害者と大多数の被害者で構成されているものだ」
俺は、この一言で先生の虜になっちまった。
今回の事件も、どんなでかい権力が操作しようとしているのか知らねぇが、俺は真正面からぶつかる予定だ。
この事件で悲しい想いをしている人々がいる限り。
世の中、負けていいことと悪いことがあるっちゅうこっちゃ。
そんな俺に、願ってもないチャンスが訪れた。
実は、先日この容疑者との接見に成功してしまったのだ。
とある事件のリアル報告いたします
俺は、ウメヨシ。
周囲からは「兄貴」と呼ばれている。かといってそっちの世界の人間ではない。
幼きころから、他人の悩み解決に特別尽力しているからだろう。
職業は、とあるノンフィクション作家の助手。とっても有名な先生だ。得意分野はズバリ「殺人事件」。
先生の特徴は、事件の取材をわれわれ助手(事務所内に正規3名、臨時1名)にすべて任せている。
助手たちが調べ上げた各事件から年1本だけピックアップし、本を起こす。
俺の取材した事件を先生がピックアップしてくれたのは、過去1本のみ。ちなみに俺は勤務暦8年になる最古株。
後輩助手は、軒並み威力を発揮し、瞬く間に俺を追い抜いていった。なかなかのエリートたちだ。
そんなわけで今回、俺が調査に入ったとある事件があるのだが、この事件についてはこれまでにない意気込みをかけている。
進退をかけている。
しかも、この事件はものすごい。
取材を始めてまだ間もないが、これがまた、えらい展開になってきた。
そして今回、取材メモがてら、状況をブログ公開することにした。
この事件、ネタ探しに地方紙に目をやっていたとき、偶然目にした小さな記事が発端だった。
「病院の入院個室内で瀕死の実父を殺害。同室の伯父にも重傷を負わせる」
見出しだけでもかなりショッキングだと思うのだが、不思議とテレビ等の報道がまったく無かったこの事件。
この地方紙にも掲載はこの1回のみ。
何かクサいと感じた俺は取材に乗り出したってわけ。
すると、とんでもない事実が判明した。
この容疑者、現役の警察関係者。しかも世間的にはまったく公表されていない警視庁内の特別組織の人間だったから二度驚いた。