向田邦子さん最後のエッセイ集です。
今年、没後40年ということで、
各出版社が特集をしてまして、
店頭で作品をよく見かけます。
著者である向田邦子さんの紹介を簡単に。
1929年東京生まれ。
脚本家、エッセイスト、作家。
映画雑誌の編集者を経て放送作家になり、
テレビ・ラジオで活躍。
代表作は「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」「あ・うん」など
短編小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で
第83回直木賞を受賞。
1981年8月飛行機事故により急逝。
多くの作家さんや芸能人、著名人などが
影響を受けた人物としてお名前を上げていることが多く
気になっていた方でしたが、
今までテレビや映画を含め、
作品を拝見したことがありませんでした。
今回縁があって手に取ってみましたが、
その感性に驚きました。
自分に似合う、自分を引き立てるセーターや
口紅を選ぶように、ことばも選んでみたらどうだろう。
ことばのお洒落は、
ファッションのように遠目で人を引きつけはしない。
無料で手に入る最高のアクセサリーである。流行もなく、一生使えるお得な「品」である。
(中略)
長い人生でここ一番というときにモノを言うのは、
ファッションでなくて、ことばではないのかな。
「ことばのお洒落」より引用
40年以上も前に描かれたということを
全く感じさせません。
もちろん時代背景が違うので、
現代にはないような描写があったりはしますが、
古臭さのようなものは感じませんでした。
それは何故なのか。
時代がどうのこうの、とかではなく
彼女の一貫とした『自分に嘘をつかない』という潔さが
現代でもとても魅了的で、
取り込まれてしまうからなのかもしれません。
いくつかのエッセイの中で、
私が特に印象に残ったのが「手袋をさがす」です。
有名なエッセイなので、ご存知の方も多いかもしれません。
このエッセイは気に入った手袋が見つからなかったから、
ひと冬を手袋なしで過ごし、
挙句に風邪を引いてしまった、というエピソードから
彼女が自分を内省し、自己分析をしていきます。
自分の気性から考えて、あのときー
二十二歳のあの晩、かりそめに妥協していたら、やはりその私は自分の生き方に不平不満を持ったのではないか。
(中略)
でも、たったひとつ私の財産といえるのは、
いまだに「手袋をさがしている」ということなのです。
「手袋をさがす」より引用
もし、向田邦子さんが生きておられたら
どんな作品を世に送り出していたんだろう。
もし、向田邦子さんが今生きていたら
どうやって社会と向き合っているんだろう。
そんなことを思った一冊でした。
他の作品も読んでみます。
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