違法建築物

広島のホテル火災で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

一般的に違反建築と言われますが実は二種類あります。

一つは建築の際に法令に違反しているもので違法建築。もうひとつが建築の際には法令に適合していたが、その後建築基準法など法令の変更により違法な状態になったもので「既存不適格物件」といいます。
基本的に既存不適格物件は仕方がありませんし、改築、取壊し等する必要はありません。それは消防法など一部を除き新しい法令が遡及して適用されることはないからです。
大きな地震や大火災があると耐震性能、防火性能は引き上げられる傾向にありますが、もう建てちゃったものは仕様が無いですからね。
既存不適格物件で困るのは売買の際に住宅ローン等が通らないことくらいですので、日常生活に支障はありません。

さて、今回は違法建築についてですが、行政が違法建築物を発見した場合には、建物の取り壊し、改築、修繕、使用禁止などの是正命令を出し、違反事実を公示できることになっています。また緊急の場合は、特定行政庁が任命した建築監視員が工事施工の停止を求めることができることにもなっています。しかし、実際の運用を見てみると違法建築に対して取り壊しはもちろん、使用禁止も聞いたことがありません。建築業者もそれを知っていますから、建築確認申請、完了検査を適法に済ませた後に、床面積や種類変更などの増改築を追加工事で行うことがあります。

表題登記は不動産の物理的現況を正しく公示することが目的ですが、同時に施主様のの住宅ローンが通ることも考えなくてはなりません。
追加工事の際には、着工前に相談していただければと思います。



さて、一部の変態さんを除き、閨房の秘め事は薄暗い中で行われるので、多くのラブホテルでは窓がベニヤ板等で塞がれ太陽光は遮断されています。お客様同士が顔を合わせないように部屋とエレベーターの配置は特殊で非常口がどこにあるのかわかりません。まぁ、2~3時間の滞在で火災に遭うとは思いませんから、避難経路を確認する人もいないでしょう。

今回のホテル火災でラブホテルの仕様が変わる可能性が高いです。既に全国の消防署では宿泊施設の臨時検査を行っていますし、現場から情報が上がっています。
今後、このようなラブホテルの特殊事情を汲みつつ、安全に配慮した規制が設けられることを期待します。

税理士法人レガシィ様が発売しているDVD・CDセミナー