先日、大阪高裁で興味深い決定がだされました。

非嫡出子と嫡出子とで法定相続分に差があるのは憲法違反だとの決定です。


非嫡出子とは婚姻関係にない男女間に生まれた子のことを言います。
ですから、婚姻関係にある男女間に生まれた子は嫡出子となります。

法律婚を尊重する日本では、嫡出子と非嫡出子とでは法定相続分の規定に違いがあります。簡単にいうと「非嫡出子は嫡出子の半分しか相続できない」という規定です。

二十歳のころ、フランスに留学していたのですが、彼の地では事実婚が非常に多かったです。担当の教授も事実婚でしたが、法的に結婚していなくても福祉制度が充分に整っているのでしょう。ちなみにフランスは少子化問題を克服しています。



さて、「非嫡出子は嫡出子の半分しか相続できない」という規定は憲法に定める法の下の平等に反するのではないか、という議論が長く続いていました。平成7年に最高裁で合憲判断(10対5)が下されたときも反対意見・補足意見等が付されており、平成16年の最高裁小法廷では3対2の僅差になっているのです。
「相続制度は伝統、社会事情、国民感情、さらに、婚姻や親子関係に対する規律等を総合的に考慮しなければならない。」と判示されてますが、社会事情や国民感情の変化は大きなものがあります。

そして、今回の大阪高裁の決定は最高裁大法廷に回付されることが決まっていました。
今までの判決を変えるときに最高裁大法廷が開かれますので、違憲判断が出る可能性が非常に高かったといえるのです。


この様な事情を考えると、いつ判断が変わるかわかりません。

遺産分割を巡る争いを予防する意味でも遺言書の作成が重要になってくると言えます。