7月25日夜に妻が下血して ちょっと体調を崩した。
その夜は「明日は俺が休みで丁度いるので 一度診て貰ったがいいよ」
と言って就寝した。
翌朝 長男がドアをノックして 私に言った。
「父ちゃん 今日 母ちゃんを病院へ連れて行ってくれん
何か体調が悪かごたるけん」
私は翌日(26日)は 妻を病院に連れて行くつもりでいたので
「ああ よかよ」と言った。
そして階下へ下りて妻と話す。
「気分はどげん?」
「うんちょっと眩暈がする」
そこへ 長男が2階から下りて来て「父ちゃん 母ちゃんば頼んどくね」
と言って 仕事に出掛けた。
私は予め クリニックに電話して「昨晩 下血して少し戻して 今も眩暈が
治まらない状態で 待合室で待つのが辛いと言ってます」と言うと
「直ぐにお越しください、直ぐににお呼びしますので」と言われた。
開院時間はちょっと過ぎていて駐車場は満杯だった。
他車両の前に停めて 取り敢えず受付だけ済ませて
直ぐに車に戻るつもりだったが 受付に何人か並んでいて
少し時間が掛かってしまった。
慌てて車に戻ると 少々怒ってる様子の女性が
クリニックの玄関の方へ歩いて来るのが見えた。
私が車に乗ろうとしたら「これお宅の車ですか?」
「ああ ハイどうもすみません」と謝る。
私が車を移動させると 憮然とした感じで車を発進させた。
彼女の気持ちは分かるので申し訳なく思ったが
お陰で場所が空いたので良かった。
間もなく妻が呼ばれて診察室に入る。
出て来た妻に結果を訊くと「今から浣腸して検査があるよ」と言う。
その間 何度か呼ばれて浣腸されてカメラを入れて検査が終わった。
暫く待ってると担当医の説明があるので 私も妻と室内に入る。
担当医「何かの原因で腸内が荒れています、腸に負担を掛けない為
安静が必要です。家で様子見てもいいし入院されてもいいですよ、
この場で選択をしてください。入院の場合は着替えなどを
取りに帰られてもいいです。」と言われ迷う。
妻は出来る限り 入院はしたくない様子。
でも もし夜中にでも具合が悪くなったら大変である。
妻とじっくり話し合って入院する事になった。
2~3日は点滴のみで検査次第でお粥などの柔らかい食事になるそう。
妻の入院で我が家は男ばかりとなり 料理 洗濯 買い物と大変。
3人で手分けしながら難局を乗り切るしかない。
そして7月30日に妻から電話があって 7月31日に退院の知らせ。
明日退院だから 30日は病院に来なくてもいいよ と連絡を受けたが
どうせ買い物とかあるしと言う理由で妻の病室を訪ねた。
談話室で家族4人で話していると 何かの話から
妻が「おとうさん 私の健康保険証はちゃんと持ってるよね」と言う。
その瞬間 私の頭の中が空っぽになった。
「えええ 俺?全然憶えとらん、俺に渡した?」 記憶が飛んだ。
「も~~ しっかりしてよね、あなたが看護師さんから受け取って胸ポケットに
しまったよ、大丈夫?」
そう言われて見ると 確かに貰って自分の免許証入れに入れようとしたのを思い出す。
妻の保険証はビニールケースに入れている為 免許証入れには入らず
そのまま免許証に挟んだのを思い出した。
でもその後が完全に思い出せない。
一度家に着替えを取りに帰ったので 妻が持ってる筈、、、いや違うか、、、
「本当に俺に預けたのか?」と再度妻に訊く。
「呆れた、もうボケが始まったみたいね、一度頭を診て貰ったがいいよ」とほざく。
息子達も「お父さん やばいバイ 記憶を辿っていっったら思い出すバイ」
あれれ? もし本当に俺だったら何処に置いたんだろう、思い出せん。
家族の会話は完全に保険証の事になってしまった。
妻が「あんた達 まだ食事も済んでないんでしょ、買い物もあるなら
もう帰っていいよ、おとうさんは保険証を探してよね」と念を押される。
少しずつ入院当日を思い出す。
すると 保険証を受け取ったのは再度病院へ来て
入院の手続きを済ませた後だった事を思い出す。
じゃあ やっぱり犯人は俺になる。
我が家に着いて 息子達二人は食事の準備、
私は自分の部屋や 収納ボックスの中を隈なく探すが見つからない。
車の中も免許証入れも何回見ても無い。
食事を終わって洗濯物を干して 息子達も探して加勢するが
全く見つからない。
その時 ネットを見ていた長男が
「これ落としてたら最悪バイ、悪用される事例が一杯あってる」と脅す。
かなりの時間 探したが出て来ない。
これだけ探して見つからないなら警察に紛失届を出すしかなかバイ」と言う。
そして早急に再発行してもらうしかない。
私は抽斗を開けながら(もう警察に行くしかないか、、、
明日は忙しくなるな)と思いながら ふとある事に気付く。
確か 買い物レシートは後で妻が見やすいように妻の指定席横に置いたな。
でもレシートだけで 保険証は無いだろうなと諦め半分で調べる。
小さな箱に畳んで置いたレシートを確認する。
すると 箱の隅に立てて置かれた長方形の紙に気付く。
「あった~~~ お~~い あったぞ ここにあった」と叫ぶ。
息子達も「よかった よかった」と安心顔。
でも俺が置いた筈なのに何で思い出せなかったのか。
何でレシートの記憶だけで 保険証を置いた記憶が無いのか。
おそらく置くときは 大事な物なのでと思ったに違いない。
しかし無事に見つかって良かったよ。
心の中の半分は警察に行く事を覚悟してたもんね。
長男が「かあちゃんが心配しとろうけん電話しとくたい」と電話してた。
数日前の出来事を忘れるのはやばいね。
俺もそろそろかな。
妻はまだ良くなった訳では無いので 早く元の元気を取り戻せる様に
みんなで協力していくしかない。
一週間は病院から貰った食事メニューに基づいて 妻の分だけは別に
調理していく必要がある。