漢検挑戦と 今も忘れない親切な人の事 | 気ままおやじの独り言

気ままおやじの独り言

日々、気ままに暮らしていますが ちょっと気付いた事や感じた事などを書いています。拙い文章ですが読んでいただけたら嬉しいです。

もう15年以上も前の話になるが ある親切な男性のお陰で凄く助かった事がある。

 

今も感謝しているし 忘れられないのだ。

 

それは ある検定試験に臨もうとしていた時の事だった。

 

 

 

 

私は小学生の頃から 割と漢字だけは得意で社会人になってからも

 

同僚達から訊かれたりする事が多くて いつしか『漢字博士』なんて

 

実にありがたい異名で呼ばれる事があった。

 

(今なら簡単にスマホで検索出来るから あんまり訊かれないだろうが、、)

 

当時は他人に訊かれて知らなかったり 知ったかぶりして嘘は付けないので

 

難読漢字なども割と読めたり書けるようになっていたと思う。

 

今は歳の所為で 忘れて書けなくなってしまった漢字も大分増えた気がする。

 

 

まあ そんな経緯があって自分も頭が達者な内に漢検の資格に挑戦したいなと

 

思ったのが始まりだった。

 

また それとは別に会社内で年に一回 自分の目標や自己評価などに付いて

 

提出しなければならない書類があって その中に

 

※あなたは自分を高める為に日頃から心掛けている自己啓発は何かありますか?

 

と言う項目があり 特に何もしてない自分が恥ずかしいのと

 

いい加減な事は答えたくないので そういう事も手伝って

 

漢字に挑戦しようと思ったのだった。

 

 

既に60歳に手が届きそうだったが 年齢は関係ないと自分に言い聞かせ

 

『漢検2級』に目標を定めた。

 

先ず数冊の漢検2級問題集を購入して やってみると意外と難しい。

 

点数も合格ラインすれすれなので 下手すりゃ不合格だなと自分を戒める。

 

それもその筈で 漢検は読み書きだけではなく 四字熟語、 対義語類義語、 同音同訓異字

 

部首、誤字訂正、熟語の構成、送り仮名 など実に多彩である。

 

こりゃ肝を据えて挑まないと このままでは無理だなと悟った。

 

それからは猛勉強だった。学生時代にこれ位頑張っていたならと思うがそれは時既に遅し。

 

会社勤めの合間に暇さえあれば問題集に目を通す毎日。

 

いや暇さえあればじゃなく 時間を割いたと言った方が適切だろう。

 

間違えた漢字や部首 四字熟語などを何度も書く 書く 書く、、、書いて覚える。

 

何か月か猛勉強の末 使った大学ノートは4冊ほど びっしり隙間なく書き潰していた。

 

その頃の問題集テストは常に高得点で もう大丈夫と言うレベルに到達していた。

 

 

 

そして 申し込みも済ませて いよいよ漢検2級に挑戦する日が来た。

 

開始時間は日曜日の午前10時なので 比較的ゆっくり出来そう。

 

だが試験会場は我が家からはかなり遠くて 付近の地理には疎いのである。

 

ただ試験会場となるF大の横の大通りは何度か通った記憶があるので 多分大丈夫だろう。

 

会場に30分~45分位前には着きたい。そしてちょっとでも問題集などに目を通したい。

 

それに何よりも ギリギリ着くより余裕を持ってた方が精神的にも落ち着くし。

 

もしも早く着き過ぎたら駐車場の車の中で待機してたらいい。

 

そんな事を考慮して 早目に家を出た。

 

仕事が休みだった次男にも付いて来て貰った。

 

日曜日と言う事で 車の通りも少なくて順調だった。

 

予定時刻より早く着きそうであった。

 

だがそう思ったのは束の間だった。

 

もうF大の近くまで来ている筈なのに 道に迷ってしまった。

 

あのF大前の大通りに出ないのである。 判らない。

 

私がF大前の通りを通ったのは 次男が別のS大学の学生時代に下宿先からの帰り道に

 

通った記憶のみであった。

 

そして それも逆方向から来たので雰囲気も景色も全然違うのである。

 

狭い路地をあちこち回るが一向に あの大通りに出れない。

 

余裕のあった時間がどんどん過ぎていく。焦る。

 

狭い路地は どこでもそうだが交通規制時間帯や一方通行などがあって 

 

その付近に余程詳しい地元民しか知らない抜け道とかあるのだろうけど

 

よそ者の私に分かる訳がない。

 

余裕のあった時間も35分位になっていた。

 

誰かに尋ねようと思うが日曜日の朝とあって なかなか人がいない。

 

次男が 「あそこのコンビニで聞いたら?」と言うので

 

「そうだな 取り敢えず店員さんに聞いてみよう」

 

と コンビニの前の駐車場に車を停めた。

 

と、その時一台の乗用車が私達の横に停まった。

 

50代前後の男性だった。

 

「あの~すみません、F大へ行く道が分からなくて困っています、

 

教えていただけないでしょうか」と頭を下げる。

 

すると男性は 「ああ ちょっと待って下さい タバコを買ってきますので」

 

と言って 店の中へ消えた。

 

程なくして出て来た男性は「じゃあ私の後に付いて来て下さい」と

 

自分の車に乗り込む。

 

私達も慌てて車に乗り 男性の車の後を追った。

 

小さい路地を抜けて無事大通りに出る。

 

F大は直ぐ近くにあったのに分からなかったよ。

 

男性はわざわざ 大学の駐車場までも案内してくれた。

 

「助かりました、今日漢字検定の為に来たんですけど道に迷ってしまって、、

 

本当にありがとうございました。」と何度も頭を下げた。

 

「ああ そうだったんですか  じゃあ試験頑張ってください」と爽やかな笑顔。

 

そして今来た道を引き返し去って行った。

 

そう 彼は自分の家とは逆方向なのに わざわざ親切に道案内してくれたのだ。

 

申し訳けなかった。

 

 

 

その時 試験開始まで後20分位だったが 助かったなと思った。

 

もう予習する時間は殆ど無いが少しは落ち着ける。

 

もし あの男性に出会ってなかったら もっとギリギリか

 

最悪間に合わなかったかも知れないのだ。

 

 

親切にされて気分も良かったし 精神的に落ち着く事が出来て

 

最高の気分で試験に臨めたと思う。

 

 

 

試験会場は殆どが高校生や大学生 一般受験者は少なくて

 

高齢者に至っては ほんの数名だった。

 

いよいよ試験開始。

 

テスト用紙を開く。

 

うんうん 漢字は比較的優しい問題、ほぼ全問正解だろう。

 

部首も四字熟語も大体分かる。

 

誤字訂正がちょっと首をひねったかな。

 

対義語 類義語も大体大丈夫そう。

 

うーん 多分合格、大丈夫だろうと思う。

 

ただ漢検の難しい所は トメやハネを厳しくチェックされるので油断は出来ない。

 

 

 

試験が終わった。

 

自己採点してみたら 何問か勘違いしている箇所があったが合格は大丈夫そう。

 

 

 

 

後日 結果が郵送されてきた。

 

200点満点で190点 凄い 上出来だった。

 

試験の結果も嬉しい限りだが あの男性のお陰があった事も決して忘れてはいない。

 

2度と会う事は無いだろうけど この場を借りてお礼を言いたい。

 

 

あの日の朝 見ず知らずの私達に親切にして頂きありがとうございました。

 

お陰で試験に無事合格出来ました。