「『あんぱん』観るのやめようかな」の声に、ちょっと待った!と言いたい僕の話
「もう『あんぱん』観るの、やめようかな…」
最近、ネットの海を泳いでいたら、そんな声がちらほらと聞こえてきて、思わず「え、マジで!?」と二度見してしまいました。何を隠そう、僕はこのNHK朝ドラ『あんぱん』を、毎週欠かさず、なんなら前のめりで楽しんでいる一人だからです。
確かに、物語は戦争の影が色濃くなり、目を覆いたくなるようなシーンも増えてきました。そんな中で、こんな記事も話題になっているようです。
「『あんぱん』観るのやめようかな」の声も。“視聴が辛い根本理由”は暴力じゃなかった
https://l.smartnews.com/m-lIyzQRO/uWa5uc
この記事によると、視聴者が「辛い」と感じる理由は、単に戦争の暴力的な描写そのものだけではない、とのこと。むしろ、登場人物たちが自分の意志とは無関係に、時代の大きなうねりに否応なく飲み込まれていく 「どうしようもなさ」 や 「無力感」 に、心をえぐられている人が多い、というのです。
なるほど、確かに…。理不尽な命令、抗えない運命、守りたいものを守れない悔しさ。そういった登場人物たちの「やるせなさ」が、じわじわと視聴者の心にも広がって、朝からズーンと重たい気持ちにさせてしまう…。うん、その気持ち、分からなくもありません。
でも、それこそが「生」じゃないか!
と、僕は思うのです。
もちろん、朝の15分間は、食パンをくわえたヒロインが「ちこく、ちこく~!」なんて言いながらイケメンと角でぶつかるような、キラキラした展開の方が胃には優しいかもしれません(笑)。でも、『あんぱん』が描いているのは、紛れもなくこの時代を生きた人々の「生(なま)の感情」なんだと思うんです。
キラキラも、ワクワクも、もちろん人生の一部。でも、思い通りにいかないこと、理不尽なこと、どうしようもないことに直面して、それでも歯を食いしばって前を向く。それもまた、リアルな人生の姿ですよね。このドラマは、その綺麗事じゃない部分から決して目を逸らさない。だからこそ、登場人物たちの喜びや、ささやかな幸せが、とてつもなく輝いて見えるんじゃないでしょうか。
まるで、よく煮込まれて味がシミッシミになった、おでんの大根のように。この「重さ」や「やるせなさ」が、後から人間ドラマの深い味わいとして、じわ~っと効いてくる。僕はそう信じています。
辛いだけじゃない、そこにあるユーモアと希望
そして何より、このドラマはただ重いだけじゃないのが素晴らしい。
どんなに過酷な状況でも、のぶ(今田美桜さん)は持ち前の明るさを失わないし、柳井夫婦(松嶋菜々子さん、阿部サダヲさん)のやり取りには思わずクスッとさせられます。特に、柳井嵩の父・平造の存在感たるや!彼の登場シーンは、重苦しい空気を一変させる、まさに一服の清涼剤。この絶妙なユーモアの配置が、視聴者の心を救ってくれているのは間違いありません。
現代の僕たちの「当たり前」が、いかに恵まれているか。そして、何もない時代でも、人々がいかに知恵を絞り、助け合い、たくましく生きていたか。その姿に、僕はむしろ「明日も頑張ろう」という元気をもらっています。
この「重さ」は、未来への壮大な「前フリ」だ!
やなせたかしさんと小松暢さんをモデルにしたこの物語。僕たちは、この夫婦が後に『アンパンマン』という、日本中の子どもたちに希望を与える不朽の名作を生み出すことを知っています。
だからこそ、今のこの「重さ」は、未来で生まれる大きな光を、より一層輝かせるための、壮大な「前フリ」なんだと僕は思うのです。この辛い時代を乗り越えた先に、どんな希望が描かれるのか。どうやって、あの心優しいヒーローが生まれるのか。それを見届けずして、「離脱」なんてできませんよ!
もし、「もう観るのが辛いな…」と感じている方がいたら、もう少しだけ一緒にこの物語を見届けてみませんか?このやるせない時代を登場人物たちと共に乗り越えた先には、きっと温かい光が待っているはずです。
というわけで、僕は来週もテレビの前で正座待機!『あんぱん』完走組として、最後まで力いっぱい応援する所存です!