山梨を拠点とする大手穀物メーカーの株式会社はくばくは、大麦摂取による耐糖能(血糖値を正常に保つ生理機能)の改善を示すとともに、その作用機序が腸内細菌の改善に起因することを明らかにしました。同研究成果は以下の論文に掲載されています。


『Metabologenomic Approach Reveals Intestinal Environmental Features Associated with Barley-Induced Glucose Tolerance Improvements in Japanese: A Randomized Controlled Trial (メタボロゲノミクスアプローチによる大麦誘発性耐糖能改善に伴う腸内環境の特徴解明:ランダム化比較試験)』
Nutrients 2022, 14(17),3468


大麦は可溶性食物繊維の一種であるβグルカンを大量に含み、耐糖能や血中コレステロールの改善効果が報告されています。βグルカンは、ヒトの胃腸で糖や脂質と結合して消化・吸収を直接阻害するとともに、腸内細菌をコントロールして間接的に血糖値を制御する可能性も示唆されています。


同研究では、日本人男女被験者24名(50歳~69歳、BMI値:18~25)について、大麦食品(大麦22 g+多粒米138 g:465 kcal)もしくはコントロール食品(多粒米150 g:468 kcal)を1日2回、4週間摂取するサイクルを、ランダムな順序で実施しました。サイクルの間には4週間のウォッシュアウト期間を設け、各サイクルの開始前および開始後2週間、4週間の段階で、血糖値と腸内細菌組成を評価しました。


全被験者の統合解析では、大麦摂取は血糖値や血中インスリン量への有意な効果を示しませんでしたが、もともと耐糖能が低い一部の被験者において改善効果が認められました。腸内細菌解析の結果、これらの被験者ではブラウティア菌やアナエロスティペス菌といった善玉細菌の増加が認められ、大麦の作用機序に関与する可能性があると考察されています。

 

株式会社はくばくは、大麦を含む多くの食品・加工食品、機能性表示食品を販売しています。