伊藤園株式会社は、緑茶カテキン入り飲料の体脂肪や高脂血症に対する有効性を検証しています。


緑茶カテキン類には、化学構造の異なる複数の種類があり、ガロイル基を持つカテキン類は、持たないものに比べて生理活性が高いことが報告されています。同社はガロイルカテキンを配合したトクホ飲料「お~いお茶 カテキン緑茶」を販売しています。

PETカテキン緑茶500m

画像出典:伊藤園株式会社ウェブサイト

 

ガロイルカテキン入り飲料の有効性を評価した3つの論文を紹介します。

 

①体脂肪への効果
『Green tea beverages enriched with catechins with a galloyl moiety reduce body fat in moderately obese adults: a randomized double-blind placebo-controlled trial(カテキンを豊富に含む緑茶飲料は、中等度の肥満の成人の体脂肪を減らす:無作為化二重盲検プラセボ対照試験)』
Food Funct. 2016 Jan;7 (1):498-507. 
同研究では、軽度肥満の男女被験者126名(BMI値:25~30、年齢:20歳~65歳)を3つのグループに分け、ガロイルカテキン含有量が異なる2種類の緑茶飲料(高用量および低用量)、もしくはガロイルカテキンを含まない通常の緑茶飲料(プラセボ飲料)500mlを、食事と一緒に12週間摂取し、体脂肪の変化をX線CTで評価しました。


ガロイルカテキンを摂取したグループは、用量を問わず、通常の緑茶飲料群と比較して、内臓脂肪と皮下脂肪の有意な減少が認められました。本結果より、ガロイルカテキンの食事中の摂取は、軽度肥満の成人の体脂肪減少に有用と結論付けられています。

 

②脂肪の排出促進効果
『Effect of consumption of tea beverage containing catechins with a galloyl moiety on lipid excretion into feces(ガロイル基を有するカテキン含有茶飲料の摂取が糞便中への脂質排泄に及ぼす影響)』
Jpn. Pharmacol. Ther., 2013, 41, 919 - 927


同研究では、健康な成人被験者15名が、ガロイルカテキン 190.9 mgを含む飲料もしくはプラセボ飲料(いずれも 340 mlボトル)を1日3本、10日間摂取するサイクルを、ランダムな順序で行いました。サイクルの間には11日間の間隔を空けています。試験期間中、被験者は毎食指定の食事(男性:2244土35.6 kcal、脂質84土0.6 g、女性:1944土35.6 kcal、脂質 66土0.6 g)を摂取し、各試験期間の最終3日間に、便中に排出された脂質量を測定しました。

 

ガロイルカテキン飲料を摂取した場合、便中への脂質排泄は最終日に有意に増加しました。また、血中の総コレステロールとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)は有意に低下しました。本果より、ガロイルカテキンの摂取が体内からの脂質排出を促進することが示唆されました。

 

③食後の血中脂質の抑制効果
『Effect of tea catechins on postprandial plasma lipid responses in human subjects(ヒト被験者の食後血漿脂質に及ぼす茶カテキンの効果)』

Clinical Trial Br J Nutr. 2005 Apr;93 (4):543-7.4←


同研究では、軽度または境界性の高脂血症の男性被験者9名が三種類の飲料(茶カテキン含有量10 mg(コントロール)、224 mg(中用量)、674 mg(高用量))を摂取した後、軽食(20 gのバター付きパン)を摂取しました。軽食摂取前および摂取後の血中脂質を測定しました。


中用量および高用量の茶カテキン飲料は、血中中性脂肪の濃度(曲線下面積:AUC)をそれぞれ15.1%および28.7%減少させました。また、軽食摂取後2時間の段階で、高用量の茶カテキン飲料は、RLP(レムナント様リポタンパク質)コレステロール(高脂血症に特徴的な脂質結合タンパク質)の急速な上昇を有意に抑制しました(P<0.01)。


同結果より、茶カテキンが脂肪食摂取後の血中中性脂肪の増加を抑制し、心血管疾患などの抑制につながりうると述べられています。