ロシアのRussian Medical Academyの研究グループは、脱毛症の治療用として開発されたペプチドローションの休止期脱毛症に対する効果を検証するとともに、その作用メカニズムを解析しました。同研究成果は以下の論文で発表されています。

 

Journal of Applied Pharmaceutical Science Vol. 8(04), pp 015-022
『A Randomized Study of Biomimetic Peptides Efficacy and Impact on the Growth Factors Expression in the Hair Follicles of Patients with Telogen Effluvium(休止期脱毛症患者の毛包における、生体模倣ペプチドの有効性と成長因子発現への影響に関する無作為化研究)』

 

ペプチドローションは、有効成分として7種類のペプチド(Decapeptide-18, Oligopeptide-54, Decapeptide-10, Octapeptide-2, Decapeptide-19, Oligopeptide-71, Decapeptide-28)を含みます。同研究との関連は明確ではありませんが、同一成分の発毛ローションとして「Hair Filler(韓国CAREGEN社製)」が開発されており、日本、韓国、欧州、米国にて特許を取得しています。極細の針(マイクロニードル)を用いて頭皮に注入して使用します。

 

権利化特許:発毛及び/又は育毛促進活性を示すペプチド及びその用途(JP6672482B2)

画像出典:CAREGEN社ウェブサイト

 

同研究では、20歳から56歳の休止期脱毛症の女性患者30名を無作為に2つのグループに分け、ペプチドローション若しくは生理食塩水で、3~4日間隔で合計16回の治療を行いました。ペプチドローション群では、頭頂部および後頭部において、治療開始2か月後に有意な発毛の増加が認められ、同効果は治療終了後も維持されました。また、頭皮の組織解析により、複数の発毛に寄与する成長因子(VEGF、EGF)が増加していることが分かりました

画像出典:Journal of Applied Pharmaceutical Science Vol. 8(04), pp 015-022

(A)治療前(B)治療開始2か月後(C)治療終了2か月後(D)治療終了6か月後