入浴剤が好きである。
子供の頃、自由に入浴剤を入れることができなかったから、だろうか。
我が父君は、入浴剤を入れることを良しとしない人であった。
ゆえに、入浴剤を入れるチャンスは、父君が出張や泊まり勤務の際のみ。
父君には悪いが、「え?明日、お父さん出張!?ヤッター!!」と思ったことは、数知れず。
また、父君がいない朝ご飯には、トーストが許された(父君はご飯派だったため)。
加えて、夜ご飯には高確率で煮込みラーメンが出現した(父君は、夜に麺類を食べるのが好みではないため)。
味噌味の煮込みラーメンに、コーンをたっぷり乗せて。うーん、美味い!
最近、母君が入院していた時、晩御飯に煮込みラーメンを作って出した。
父君は、「こんな料理があるのかー」と美味しそうに食べていた。
良かったね、美味しいものを知ることができて。
一人暮らしを始め、仕事が忙しくてへろへろになった時、ふと思った。
「そうだ、入浴剤を入れよう」と。
どうして今まで気が付かなかったのか。今なら、好きなように好きなだけ入浴剤を入れることができる。
それからは、タブレット状の入浴剤や、粒子状のもの、粉末状、液体状、と、様々な入浴剤を入れ、お風呂タイムを楽しんできた。
お湯を入れる際、同時に入れて、映画のような泡風呂にするのもやってみた。
だが、ひとつだけチャレンジしていないものがあった。
それは、バスボールである。あの、中からおもちゃが出てくるやつ。
私が子供の頃には無かったと思う。あったとしても、贅沢には厳しかった両親のこと。多分買ってもらえなかったであろう。
それが買えるのですよ。大人って素晴らしいなあ。
バスボールを風呂に入れることにルンルンしている時点で、「これは大人なのか?」という疑問が浮かぶが、今は放っておくことにする。
ホームセンターの入浴剤コーナーをうろうろしていた時、バスボールの棚があることに気づいた。
これは、「今夜、バスボールを入れよ」という、何かからのお告げか?
お告げならば、仕方ないなあ。
ということで、どれを買おうかと吟味する。
かわいいキャラクターものもいいなあ。おお、ロボットもあるのか。
などと見ていくと、星のチャームが出てくるやつがあるじゃないですか。
おお、これこそが私が求めていたもの。
早速購入、である。
湯舟につかりながら包装を開けると、透明フィルムにぴっちり包まれた丸い入浴剤が出てきた。
このフィルムが、非常にむき辛い。
てゆーか、表の説明書きにちゃんと書いてあった。「透明フィルムをはがしてから、湯舟に入れてくださいよ」と。
あまりにも楽しみすぎて、何も読まずに風呂に持ち込んでしまった。
焦りすぎだ。
フィルムをはがし、「とう!」と投入。
プカプカ浮くのを予想していたのに、あっという間に沈んでいった。中に入っているおもちゃが重いから、かな?
ともあれ、入浴剤がブクブクと溶けていき、何か丸いものが見えてきた。
おお、色が黒いぞ。袋の写真を見ると、黒っぽいのは地球かな?
なんだか、わくわくするぞ~。
入浴剤が完全に溶け、小さく透明なカプセルに何かが入っているのが良く見えるようになった。
よおーく見ると…え?写真のどれにも当てはまりませんが?
どうやら、いきなりシークレットが当たってしまったようだ。なんて引きの強い。
木星とか地球とかを期待していたんだけど…。これはこれで、うーん、まあいいか。
こうして初めてのバスボール体験は、シークレットチャームが当たるという結果になったのでした。
余談だが、最近帰省した時は、父君が入浴した後で、私かきょうだいが入浴剤を入れている。
風呂掃除は父君の担当なので、気づいているとは思うのだが、何も言わない。
成長したのか、はたまた風呂水に色と香りが付いていることに気づいてないのか。
後者だと、困るんだがなあ。
バスボールデビューをシークレットで華々しく飾る。