『ムーンナイト・ダイバー』 天童荒太

--内容紹介--

ダイビングのインストラクターをつとめる舟作は、
秘密の依頼者グループの命をうけて、
亡父の親友である文平とともに
立入禁止の海域で引き揚げを行っていた。
光源は月光だけ――
ふたりが《光のエリア》と呼ぶ、建屋周辺地域を抜けた先の海底には
「あの日」がまだそのまま残されていた。
依頼者グループの会が決めたルールにそむき、
直接舟作とコンタクトをとった眞部透子は、
行方不明者である夫のしていた指輪を
探さないでほしいと告げるのだが…
311後のフクシマを舞台に、
鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作誕生。

3.11後、遺された人々の思い。
一瞬で大事な人や、日常を失ってしまった人の気持ちは、
その人たちにしかわからないだろうけど。
自分にできること。
忘れないこと。
少しずつでも、できる支援を続けること。


『戦場のコックたち』 深緑野分

--内容紹介--

1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が僕らの初陣だった。
特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。
新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエド、お調子者のディエゴ、
調達の名人ライナスらとともに、
度々戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。
不思議な謎を見事に解き明かすのは、普段はおとなしいエドだった。
忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、
オランダの民家で起きた夫婦怪死事件など、
戦場の「日常の謎」を連作形式で描く、青春ミステリ長編。

料理がいっぱい出てくるか、と思ってたら、
謎解きミステリと、史実に基づいた第二次大戦。

戦争、友情、謎解き、人種差別、料理、家族愛。
いろんなテーマが盛り込まれているけど、
反戦小説として読んだ。


『ボス・イズ・バック』 笹本陵平

--内容紹介--

どこか抜けていてにくめない極道たちに囲まれて、
今日も探偵稼業は綱渡り。

泣く子も黙る組長と、飼い主より凶暴な組長の愛犬、
そしてなぜか愛犬に懐かれている探偵事務所の電話番。
彼らが持ち込む、組の解散騒ぎ、失踪、
そしてまさかの殺人事件に、探偵は振り回されっぱなし!
果たして事件の真相は!?

ハードボイルド、じゃない探偵もの。
かるーく気楽に読む。


『ユートピア』湊 かなえ

--内容紹介--

善意は、悪意より恐ろしい。

足の不自由な小学生・久美香の存在をきっかけに、
母親たちがボランティア基金「クララの翼」を設立。
しかし些細な価値観のズレから連帯が軋みはじめ、
やがて不穏な事件が姿を表わす――。
湊かなえが放つ、心理サスペンスの決定版。

地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・菜々子と、
夫の転勤がきっかけで社宅住まいをしている妻・光稀、
移住してきた陶芸家・すみれ。
美しい海辺の町で、立場の違う3人の女性たちが出会う。
「誰かのために役に立ちたい」という思いを抱え、
それぞれの理想郷を探すが――。

それぞれの女性たちの心理が“ある、ある”。
最後まで読んで「え?」となって、読みなおし。
子供って、ほんとに無垢なのか?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あの家に暮らす四人の女』三浦しをん 

今年は文豪谷崎潤一郎の没後50年。
文学館や文芸誌で特集が組まれるなど、
大々的な盛り上りを見せている。
そんな中、全集を刊行している中央公論新社から、
「谷崎潤一郎メモリアル特別小説」と銘打たれた作品が発売された。
直木賞作家、三浦しをんさんの新作『あの家に暮らす四人の女』だ。

―週刊文春webより―

杉並区の善福寺川沿いにある古びた洋館・牧田家で暮らすのは、
母鶴代と娘の佐知、居候の雪乃と多恵美。
そして、敷地内の守衛小屋には山田老人が住んでいる。
女4人のかしましくも平穏な日常を描きながら、
物語後半では、ストーカー男や屋敷への闖入者が出現。
開かずの間の謎、さらにはときめく恋の予感も!? 


谷崎潤一メモリアルという、現代版“細雪”て事だけど、
名前をもじってるくらいで。
ストーカーや水漏れ事件、日常を描く、と思いきや、
カラスの語り、カッパ、亡くなった父まで登場。
離れに住む謎の老人・山田氏も不思議。

刺繍にちょっと興味出る。


『はだれ雪』 葉室 麟

内容(「BOOK」データベースより)

扇野藩に流罪となった幕府の目付役・永井勘解由。
若くして扇野藩士中川家の後家となった紗英は、
勘解由の接待役兼監視役を命じられた。
この年、江戸城内で藩州赤穂の大名浅野内匠頭が
高家筆頭吉良上野介を斬りつける事件が起きていた。
浅野内匠頭は即日切腹。
だが勘解由は老中に切腹見合わせを進言し、
切腹直前、ひそかに浅野内匠頭の“最期の言葉”を聞いたという。
その行いが、将軍徳川綱吉の機嫌を損ねたのだった。
雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、
役目を全うしようとするが―。
身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪人。
勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。
扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。時代長編!

勘解由と紗英がすがすがしい。
改めて確認すると、30歳過ぎの武士と24歳の寡婦。
こんなにしっかり自分を持って生きられるなんて、
武家社会ってすごい。
忠臣蔵の人々も心惹かれる。

最後に勘解由を助ける手伝いをするのが、
吉良上野介の家臣と、浅野家旧臣の家来。
粋なストーリー。
勧善懲悪、すっきりして気持ちいい。


『我が家のヒミツ』 奥田 英朗

内容紹介

笑って泣いて、人生が愛おしくなる家族小説。

結婚して数年。どうやら自分たち夫婦には子どもが出来そうにないことに気づいてしまった妻の葛藤(「虫歯とピアニスト」)。
16歳の誕生日を機に、自分の実の父親に会いに行こうと決意する女子高生(「アンナの十二月」)。
53歳で同期のライバルとの長年の昇進レースに敗れ、これからの人生に戸惑う会社員(「正雄の秋」)。
ロハスやマラソンにはまった過去を持つ妻が、今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出した(「妻と選挙」)ほか、全六編を収録。
どこにでもいる平凡な家族のもとに訪れる、かけがえのない瞬間を描いた『家日和』『我が家の問題』に続くシリーズ最新作

自分的には「ヒミツ」というほどでもないかなー、
と思ったりもするのだけど。

家族の、日常。
平凡だったり、ちょっと平凡じゃなかったり。
「手紙に乗せて」が胸にじわっと。

どれもほっこりする短編集。


『炎の塔』

内容(「BOOK」データベースより)

銀座のランドマーク「ファルコンタワー」。
高さ450メートルを誇る日本一の超高層ビルが完成した。
オープンの初日、タワーには震災を生き抜いた親子、
重病を克服した夫婦、禁断の恋に落ちた教師と女子高生、
離婚問題に直面する夫婦など、様々な事情を抱える人たちが訪れていた。
そんな彼らに未曾有の大火災が襲いかかった。
通称“ギンイチ”銀座第一消防署の若き女性消防士・神谷夏美は
猛威をふるう炎の中、死を賭した任務に出動するが―。
完璧だったはずの防火設備はなぜ破綻したのか?
最上階に取り残された人々の運命は?
想像を絶する焔と人間の戦いを描く極上エンターテインメント

パニック映画「タワーリング・インフェルノ」へのオマージュだという。
昔、観たっけなー。

こちらもハラハラドキドキ、テンポの良さと緊迫感で一気読み。
設定やら展開に「そんなんあり?」とか思うけど、
そこはまぁ小説ですから。

社長の最期があっさりしすぎてたのが、ちょと不満。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そーいや読んでた「羊と鋼の森」。

本屋大賞、おめでとございます。

静かな。きれいな。あったかいものがたり。

その他、3月に読んだ本。

「たんぽぽ団地」重松清

取り壊しの決まった昭和の団地を舞台に現在と過去が交錯するファンタジー。
現代と過去、それぞれの子供たち、多くの視点から描かれる。
それが、自分にはあまり響いてこず、ちょともやもや。

「王とサーカス」米澤穂信

タイトルからの想像と全然違った・・・

王族殺害事件の後、軍人の死。
真実を取材する、太刀洗万智のキャラクターが、今いち好きになれず。

「当確師」真山仁

当確師。当選確実請負人。
一気読みで面白くはあったけど、
あっさり勝負がついた、というか、自爆?
もうちょいヘヴィなエピソードとか、
選挙戦のドロドロが欲しかった。

「ラオスに一体何があるというんですか」村上春樹

めっちゃ久しぶりの村上春樹、紀行文集。
JALのファーストクラス機内誌に掲載されてた、て事で、
なるほどねー、て感じ。

自分の“旅行”とはかけ離れているから、ただ羨ましいつか。

「ラオス」
たぶん行くことのない国。
ラオスに何があるというのか?
旅は「それ」を探しに行くこと?

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
中国の威信を賭けた北京五輪の開幕直前――。
開会式に併せて運転開始予定の世界最大規模の原子力発電所では、
日本人技術顧問の田嶋が、若き中国共産党幹部・鄧(ドン)に拘束されていた。
このままでは未曾有の大惨事になりかねない。
最大の危機に田嶋はどう立ち向かうのか。
世界の経済成長を牽引する大国となろうとしている中国の素顔と、
原子力発電建設の現場から浮かび上がってくる“今そこにある危機”。
それぞれの〝希望〟のために、どんな困難も乗り越えようとする男たちは、
北京に光を届けられるのか?


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3.11以前、2008年に書かれた小説。
リアリティがすごい。

原発については、あまり賛成ではないけれど、
日本の技術、そして現場の技術者の人たちは信頼したい。


上巻は、中国名がなかなか入ってこず、時間かかった。
下巻は一気読み、残り少なくなるページに、
怒涛のラストがどうなるか、どきどきはらはら。

きっとみんなで麻婆豆腐食べたんだと思いたい。

ちなみに、「ベイジン」は北京。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
虚栄】  久坂部羊

  凶悪化がん治療国家プロジェクト「G4」の発足に、
  外科医・雪野は期待を抱いた。
  手術、抗がん剤、放射線治療、免疫療法。
  四グループの邂逅は陰謀に満ちた覇権争いに発展。
  がん医療の最先端をサスペンスフルに描く!


現役の医師が描く、がん治療の現実・・・?
リアリティありすぎて、医療の現場ではこうなってんのか、と。

さて。

検診、受ける?スマホ、どーする??


藪医 ふらここ堂】  朝井まかて

  天野三哲は「面倒臭ぇ」が口癖の江戸の小児医。
  朝寝坊する、患者を選り好みする、
  面倒になると患者を置いて逃げ出しちまう出鱈目っぷりで、
  近所でも有名な藪医者だ。
  ところが、ひょんなことから患者が押し寄せてくるようになり、
  三哲の娘・おゆん、押しかけ弟子の次郎助、
  凄腕産婆のお亀婆さんなど、
  周囲の面々を巻き込んで、ふらここ堂の先行きは、
  いったいいかなることに──。


こちらは江戸のお医者さまの話。

『藪医』と言われる三哲さん、実は名医で。

周囲の人々が魅力的。

ちなみに、『ふらここ』とは『ぶらんこ』だそーな。


金魚姫】  荻原浩

  勤め先の仏壇仏具販売会社はブラック企業。
  同棲していた彼女は出て行った。
  うつうつと暮らす潤は、日曜日、明日からの地獄の日々を思い、
  憂鬱なまま、近所の夏祭りに立ち寄った。
  目に留まった金魚の琉金を持ち帰り、
  入手した『金魚傳』で飼育法を学んでいると、
  ふいに濡れ髪から水を滴らせた妖しい美女が目の前に現れた。
  幽霊、それとも金魚の化身!?漆黒の髪、黒目がちの目。
  えびせんをほしがり、テレビで覚えた日本語を喋るヘンな奴。
  素性を忘れた女をリュウと名付けると、
  なぜか死んだ人の姿が見えるようになり、
  そして潤のもとに次々と大口契約が舞い込み始める―。
  だがリュウの記憶の底には、遠き時代の、
  深く鋭い悲しみが横たわっていた。


好きな1冊。

金魚姫・リュウが、可愛くて、妖しくて、切なくて、哀しい。

ラストも切ないけれど、ココロあったまります。

えびせん、食べたくなる。


ふなふな船橋】 吉本ばなな

  借金を作って逃げた父。新しい恋人と結婚することになった母。
  12歳の私は、独りぼっちだった


タイトルとライトな装丁からは想像できず。

梨の妖精ふなっしーに心慰められる、花ちゃんと花子さんのお話。

気持ちが優しくなれる1冊。




伏 贋作・里見八犬伝】 桜庭一樹

  伏―人であって人でなく、犬の血が流れる異形の者―による凶悪事件が頻発し、
  幕府はその首に懸賞金をかけた。
  ちっちゃな女の子の猟師・浜路は兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。
  伏をめぐる、世にも不思議な因果の輪。
  光と影、背中あわせにあるものたちを色鮮やかに描く傑作エンターテインメント


曲亭馬琴の里見八犬伝をモチーフにした、
まったく別のエンタメ物語。

『江戸でのお話』『信乃の語り』 の間にはさまれた、
滝沢冥土の 『贋作里見八犬伝』が面白かった。

本家『南総里見八犬伝』また読んでみなくては。


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