[Part1]


目の前がブレた。
世界が崩れた。
気づくと私は机の下にいた。

『百合ちゃん、机の下にいるよー!』
聞きなれた声が遠くで呼んでる気がした。


大地が震えたらしい。

真っ青な空が見えた。

(大地には...何も..ない?)


『病院行くからね!』

何がなんだか分からない。
私はタイムスリップでもしたのだろうか。
ここは教科書の白黒写真で見た広島なのではないか。
だとしたら原爆ドームは?被爆者は?
この目に見えるのは瓦礫の山だけだ。


飛び交う人々の声。
泣き叫ぶような声。

意識が遠のいた。


『行くよ。』
私は生きていたのか。
その声を聞いてベットから起き上がった。

病室の角に仕切りが作られていた。
白いカーテンを開ける。
老人が横たわっている。

『ゆりちゃん...』

目が覚めた。

(あなたは誰...?)

目が見えない。
体も動かない。
全身が管で機械と繋がっているその人は、まぎれもなく私の大好きなおばあちゃんだった。


『おばあちゃん。』


笑ったように見えたんだ。
私側の腕がほんの一瞬、淡く差しのべるかのように起き上がって伏せた。