目次
1.筆者について
2.都立大法学部の就活について
3.就活のスケジュール感について
4.IT業界について
5.心構えについて
6.【技術派遣】ITを受けるならこれだけは気を付けて
1.筆者について
うめねりです。ご無沙汰してます。入学後、ただでさえ世の中に出回っていない都立法の受験情報を発信しようと始めた本ブログも早3年、ついに就活回になりました。この3年間ブログを見て色んな方からご連絡を頂きました。その節はありがとうございました。
筆者は3年夏からインフラ、不動産の早期選考に参加後、IT業界を中心に本選考を受験。最終的には金融大手に入社することになりました。(←ブレすぎ)
今回は、就活のスケジュール感やIT業界志望者への激励(技術派遣への警鐘)をちょっと書き連ねてみました。
2.都立大法学部の就活について
法学部は正直民間就職にはあまり強くないです。学歴フィルターで弾かれるとか、評価されないとかそういう意味ではなくて、公務員志望が多いので民間のOBが他大と比較しても、都立大の中で見ても、圧倒的に少ないというのが実情です。
体感ですが4-5割は公務員か公的団体を志向しており、ゼミによっては周りが公務員志望しかいないみたいなこともあったりします。
とはいえ、そうした事情を踏まえても生々しい話ですが法学部は他学部と比してあまり民間(大手)への就活には強くないです。
金融、ITあたりは特に大手本体よりも大手子会社やグループ会社が中心です。まあ就活のボリュームゾーンが大手子会社やグループ会社になるのは、Marchでもそうだったりするのですが、人社や理系は名だたる大手本体への就職が明らかに多いので、法学部には分が悪いです。
引用元:都立大キャリア支援課HP『2022年度卒業・修了生 進路データ』
ただ、大手に通らないかと言えばIT大手やインフラ、金融、不動産大手あたりはインターンや本選考でESを出した限り(ES"だけ"は)全通だったので、学歴フィルターで落とされることはないです。(SCSKとかアクセンチュアとか三井不動産とか)
ゴールドマンサックスみたいな外資大手だったり、大手総合商社とかにES出さなければ、中身がまともなら普通に通ります。フィルターは足切りなので、面接までこぎつけたらあとは実力勝負なので、そこから先は自分の力でのし上がるしかありません。OBの数が多くてOB訪問して志望度を示しやすいとか、リクルーター付きだと選考ルートが違うとかそういうのも実力のうちではあるので、そういう意味ではこの大手OBが名簿にいなくて不利じゃねとか思ったことは何度かありましたね。
とはいえ、普通の日系大手なら学歴で弾かれることはないので迷わずガンガン受けまくりましょう。
3.就活のスケジュール感について
<スケジュール>
⓪自己分析(2年春休み)
①ES内容7割くらい固めておく・Webテかじっとく(3年5-6月くらい)
②夏インターンエントリー(3年6-7月くらい)
③夏インターン(3年8-9月)
(④超早期選考)
⑤秋冬インターンエントリー(3年9-12月)
⑥秋冬インターン(3年10月~3年1月くらい)
⑦早期選考(3年11月~3年2月くらい)
⑧本選考(3年3月~4年6月くらい)
⓪自己分析
正直、就活終わってから考えても「自己分析は茶番」だと冷めた見方をしていますが、これをしないと①のESに書く内容がないので頑張りましょう。
2年終わりの春休みくらいに一度やってみることをおすすめします。
▼軽いものだと
▼ガチのやつだと
最終形としては、①のESがかければOKなのであまり気負いせずにやりましょう。
「~~~に惹かれ貴社を志望する」とかよりは、『人生の目的論』で作る「~~という自身の目標を実現したく貴社を志望する」の方が強いです。
①ES・Webテかじっとく(3年春・夏)
▪ES
ESは、次のような内容をある程度かじっておくとよいです。また、ES用の他に、面接用の回答も作っておくと尚よいです。それぞれの質問に大体「きっかけは?」と聞かれるので、そうした背景にあるエピソードも深堀できると良いです。
・強み弱み
・ガクチカ(200/300/400字)
・チームで目標を実現した経験
・挫折経験
・なぜこの業界?、なぜこの職種?
・なぜその大学、専攻?
・就活の軸
就活軸は、本音はだめですよ 「ワークライフバランスが取れる」とか「転勤がない」とか。
建前の価値観を共有するための質問なので、例えば「顧客に最前線で向き合って、感謝や信頼をやりがいにできるような仕事がしたいと思っています。IT業界でいえば、上流の顧客折衝やITコンサル領域で顧客の課題を直接受け止め、要件定義や企画に落とし込んでいくような仕事を志向します。」みたいな。もちろんそのきっかけになるエピソードも話せるようにしましょう。また、「もし内定が複数出たらどのような基準で最後の一社を決めるのか」という最後の軸もよく聞かれます。なおこの質問が出ると合格フラグです。「この合格候補者の選社軸、自社に当てはまってるけど他社にも当てはまりそうだし、もうちょっと自社に親和性のある軸を探りたい」状態なので。
▪適性検査
適性検査は、WEBテスト(オンライン自宅受験)・テストセンター(対面orオンライン監視付)の2種類があります。WEBテは毎回受けなおしが必要ですが、テストセンターは受験後1年間結果を使いまわせます。
3年夏くらいにインターン選考でテストセンターを受験できる企業を調べ、一度テストセンターを受けて、その後も何度か受けて点数を上げていくと良いです。
②③夏インターン(3年夏)
インターンは1day/2-3day/1-2weekの3種類におおむね大別されます。夏の1dayはほぼ説明会。建前も実態もただの説明会です。(対して冬の1dayの実態は選考直結です)2-3day以上になると後に早期選考案内を受ける確率が高まります。ただ「早期選考の案内を目的に興味度の低い企業の2-3day以上のインターンに参加して、いざ早期選考につながらなかった」では時間の無駄なので、事前に早期選考につながるインターンなのかリサーチが必要です。
④超早期選考(3年夏)
②③の夏インターンに付随して8.9月に最終面接を実施する、外資顔負けのとんでもない企業もあったりします。もし内定が出るようなことがあれば迷わず承諾しましょう。なお就活は継続して結構です。
⑤⑥秋冬インターン(3年秋・冬)
秋というよりは冬インターンが早期選考・内定に直結します。
内容は2-3時間くらいで、1時間の企業説明と1-2時間のグループワーク(GW/GD)というような内容が多いです。なお人事が監視しているので選考要素大です。大手だと役割に率先して手を挙げる者が多くついていくのがやっとなGDも稀にありますが、中堅や大手子会社だと消極的な学生が多いため、リーダー経験を積みやすいです。ほかのGW・GDの練習にもなるのでリーダーや発表役は無理しない程度に買って出ると良いでしょう。意外と何とかなります。あんま話せてない子に意見聞いたりして協調性アピールを忘れずに。
⑦早期選考(3年秋・冬)
秋冬インターン参加者限定で案内される選考。(インターン参加者に限定せずに説明会をこの時期にスタートする企業もある)基本的には、インターンの最後に「今後の案内」として社員座談会や面談(実質一次面接)といった次のイベントの案内がなされるが、インターン参加者のうち優秀者のみに次のイベントの案内をする企業も少なくない。また、”早期選考への招待”を明示している企業もあるので、インターンの募集要項を要チェック。
⑧本選考(3年春休・4年春以降)
大手の一次募集は4月くらいでいったん締め切り。内定のピークは「早期選考の3月末まで」「GW前」「5月末」の3回が山場と言われている。枠がなくなるわけではないが6月に入ると大手・中堅はエントリーすらできない求人も多い。稀に面接解禁日(6/1)を守る企業もあるが、基本的には6月頭には大手の総合職の枠は大幅に減っている。GW終わった時点で二次・三次募集みたいなイメージ。
4.IT業界について
本当は、ソフトウェア、Web、ハードウェア、インフラなど多岐にわたるのですが、ここでは文系学生の受験が多いSIerや自社開発についてかじっておきます。
自分で勉強した方が早いし性格だと思うので読み飛ばして結構です。
【自社開発】
▪企業例
メルカリ、サイバーエージェント、スマートニュース、ラクス、ジョブカン会計など
▪仕事内容
自社で開発したプロダクトを他社や一般ユーザーに使ってもらう。
ストック収益(サブスク、年間契約など)が多い企業ほど、収益の予測可能性が高まり安定性が高いと言えるので企業選びの際の参考に。新卒でも即戦力を求める企業も多く、敷居は高いと言える。
▪メリット
・自社オフィスで落ち着いて働くことができる。
・納期に余裕がある企業が多い
・安定したキャリアパスを築くことができる
▪デメリット
・携わる領域やスキルが偏ってしまい、飽きることも。
・新卒でも即戦力を求められることも。文系枠はSIerより少ない。
【メーカー系】
▪企業例
日立ソリューションズ、東芝情報システム、NECネッツエスアイ など
▪仕事内容
ハードウェアを製造・販売するメーカーの情報システム部門から分社・独立したIT企業として、親会社から受注した開発に従事(内販)。独立系のように外から仕事をとる外販を中心にする企業もある。
▪メリット
・親会社との資本関係に裏打ちされた安定性
・ハードの手触りのある開発ができる
・上司が親会社からの出向の可能性大
▪デメリット
・親会社に縛られる
・上流一辺倒の企業も(下流は全部協力会社に丸投げ)
【ユーザ系】
▪企業例
電通総研、伊藤忠テクノソリューションズ、みずほリサーチ&テクノロジーズなど
▪仕事内容
企業の情報システム部門が独立した子会社、いわゆる情シス子会社。ユー子とも呼ばれる。親会社のITサービスに関する上流工程を主に担う。
▪メリット
・親会社との資本関係に裏打ちされた安定性
・納期に余裕がある企業が多い
・上司が親会社からの出向の可能性大
▪デメリット
・親会社に縛られる
・上流一辺倒の企業も(下流は全部協力会社に丸投げ)
【独立系】
▪企業例
SCSK、IIJ、オービック、大塚商会 など
▪仕事内容
メーカー系やユーザー系に属さず、また親会社やグループも持たずに独立してSI事業を行う。
▪メリット
・業界や領域に縛られず幅広い開発に携わることができる
・キャリアパスが幅広い
▪デメリット
・客先常駐が多い(PJの取りまとめ)
・納期が厳しい
・ユー子やメー子に比べた安定性の欠如
⚠️SES/アウトソーシング/技術派遣
▪企業例
個人的な経験から、記事の中でかなりネガティブに偏ったことを書きますので伏せます。大体「企業名 SES/派遣」などで調べてクチコミが大量にヒットすれば確定です。見分け方は下述します。
▪仕事内容
SES/技術派遣
雇用主との雇用形態に関わらず、労働者派遣契約に基づき、派遣先に常駐してその指揮命令下で開発に従事。
アウトソーシング
事業会社から外注(アウトソース)された事業を請け負い、客先において*自社スタッフと業務に従事。
*持ち帰りの場合は自社だが基本客先
▪注意点
SES、アウトソーシング企業は、システムインテグレーション事業を主たる事業として行っていません。にもかかわらず、説明会においては「SIerとしての当社」という視点で独立系やユーザ系を自称し、「SIerから内定をもらったつもりが技術派遣だった」というケースが多くあります。
派遣会社が正社員として派遣スタッフを雇用し、派遣社員として派遣先に送り込む「常用型派遣(正社員型派遣)」というものであり、派遣先から切られれば就業先がなくなります。また、面談と称した派遣先面接(違法)に合格しなければ仕事にありつけません。(正社員なので休業手当が6割出るようですが大きなリスクです)こうした常用型派遣、正社員型派遣を行う派遣会社にとって、新卒の安い人材は格好の餌食なので、新卒1000人、2000人取るような派遣会社が多くあります。
どこまでが派遣でどこからが正社員かという線引きは法律上明確ではないものの、政府答弁によれば、正社員型派遣も派遣労働者として政策上定義されます。求人票に正社員と書いてあっても実態は派遣です。(内閣衆質一八九第六四号/平成二十七年二月二十日)
アウトソーシング企業はよく「ただの下請けではなく業務改善、効率化ができる」「業務コンサルになれる」等自称しますが、結局業務効率化の駒は自分たちになるので、する側ではありません。また、「請け負った業務に忙殺される中で業務効率化に手が回らず、時間外労働が発生する」「業務時間外に半強制の自社仕事をやらされる」「業務効率化を志向しても派遣先から”○○社さんの仕事はここまで”と言われる」など、あまりいい噂は聞きません。業務効率化がやりたいなら「自社の人間」として生産管理とかDX推進とかでやればいい話であって、アウトソーシング業界に行くべき理由にはなりません。
また、企業がなぜ仕事をアウトソーシングするのかと言えば一部の例外を除き、基本的には自社の正社員にやらせるより外注した方が安くて楽できるからであり、アウトソーシングとして携わるのはそういう単純労働です。
▪見分け方の一例(絶対ではありません)
💡採用ページに、「派遣許可番号(派-123456)」の記載がある
💡労働条件に「プロジェクト先による」との記載がある
💡SIerを自称するのに、謳い文句が「大手SIerを”支援”」(取引先が大手SIerだけ)
*技術派遣については、記事の最後でも触れますが、技術派遣としての働き方を全否定するわけではありませんし、自らがそのキャリアを志向するなら行ってもいいと思います。ただし、SIerとしての働き方ができると勘違いして不本意な就職をすることは絶対に避けるべきです。私も説明会で「SIerである」と聞き、面接でも「SIerである貴社で・・・」という志望動機を述べて内定をもらったので、「まさかこの会社がSES、技術派遣なわけないだろう」と勘違いして時間を浪費してしまいました。後輩に同じ思いをしてほしくはありません。
5.心構えについて
・自信をもって最初から大手を受けまくりましょう
最初からバンバン大手を受けましょう。超一流企業とか受けない限りは、まともなこと書いていればESで落とされることはまずないのでインターンも本選考もバンバン大手を受けましょう。(ただし第一志望が明確なら、インターンや早期選考で場数を踏んでから本選考で第一志望を受けるというような回避はありです)
正直、個人的な経験として自己肯定感が低すぎてあまり大手を受けずに中堅ばかり狙い撃ちしていたので10数社受けて8割方内定出ていましたが満足のいく結果ではありませんでした。最終的には4-5月の大手本選考最終盤に乗り込んで、6月内定で大手に滑り込みましたが「最初から大手も手数増やして受けておけばよかった」というのは非常に後悔しています。
・IT業界受けるなら基本情報くらいはとりましょう
IT業界を受けるなら基本情報くらいは取っておきましょう。「なぜITか」が浅くても意欲を示せますし、単純にSIer志望なのに無資格が多いので差がつきます。長期休みに1か月、150-200時間くらい勉強すれば普通に受かります。正直、基本情報があるから即有利とはなりませんが、最終面接で他の学生と比較される最後の瞬間に「まあこいつは基本情報あるから採っとくか」っていう一要素になるかもしれませんし、最終面接の役員クラスのお偉いさんは、特に技術者上がりだと基本情報を評価して「大変だったでしょ」とか言ってくれる方が多いので終盤に効きます。
また、午後科目(現在のB科目)のアルゴリズムが解けないなら業界に向いていないという適性診断にもなりますので暇なうちに取ることを強くお勧めします。
・新卒エージェントに手を出すのはやめましょう
エージェントなんて使う必要ありません。ESや面接対策はキャリア支援課に頼みましょう。ある程度学歴あると工場やSESにぶち込まれることはないですが、とはいえ紹介してくるのは子会社中心です。1人会社にぶち込むと100万くらい入りますから、ノルマ達成の道具として見られますよ。お客様は学生じゃなくて会社なので。
そもそも使う必要がないですが、どうしても…どうしても使いたい場合はDoda新卒エージェントとか一番でかいところだけはマシだと思います。Twitterとかでお勧めされてる中堅以下は絶対に使わないほうがいいです。
大手はエージェント使わなくても人が集まるので大手の紹介なんてほどんどないですよ。
・内定(6月以前)は即承諾してホールドしてOK
「内定」は労働契約の締結と同視され就活生は保護されますが、「最終面接合格」は無かったことにできます。これを利用して、内定承諾を渋る学生に「枠がなくなっちゃった」と内定を出さない企業も多いです。就活ルールを無視して早期に内定を出す企業のせいで内定ホールドをせざるを得ないのですから、6月以前に内定が出た企業はガンガン承諾してホールドしましょう。ただし、就活ルールを遵守して6/1以降に選考をし、内定を出す企業に対しては慎重に対応しましょう。
・最後まであきらめない
就活は最後まで何が起こるか分かりません。最終面接ズタボロすぎて10日間連絡がなかった会社から内定の電話が来たり、最初はIT志望だったのに最終的には全く畑違いの業界に就職することになったり。就活は最後は縁です。何が起こるか分かりません。
6.技術派遣について
<参考>
(※元請SIerの客先常駐は除く)
技術派遣としてのキャリアは全く否定しませんが、なぜこのような動画が就活コンテンツとして発信されているのかという背景についてはご自身の責任で調べて、就活に活かしてほしいと切に願います。
なお、先に掲載した進路実績にもちらほらありましたよ。上場もしてたりして、説明会でSIerを名乗られちゃうとちゃんと調べないと分からないですから。
見分け方ですが、
・「企業名 SES/派遣」で検索してヒットするか
・ 求人票の労働条件に「プロジェクト/取引先による」という記載があるか
・採用ページやマイナビの説明欄に派遣登録番号の記載があるかどうか
などが挙げられます。
なお、SESやアウトソーシングへの批判において「客先常駐」自体が否定されがちですが、独立系の元請けSIerでもプロジェクトマネージャーが現場で指揮をとることがあり、その意味での客先常駐はこれにあたりません。ここら辺はご自身で勉強してください。
最後に
「面接でうまく話せないかもしれない」とか、「全落ちしたらどうしよう」とか就活前に色々不安になることもあるかと思いますが、ESや面接の対策をある程度真面目にやって、普通に3年の夏(遅くとも冬)インターンの頃から人並みに就活して流れに乗っていれば、倍率の高い大手は選考終盤は運要素もあるので何とも言えないですが、この売り手のまま26・27卒の就活シーズンが進むなら、都立なら少なくとも大手子会社や中堅(売上数百億)にはどこかしら引っ掛かるのであまり気負いせずに頑張ってください。SIer中堅の穴場や現場ウケの良い想定質問への回答例は聞いてくれればこっそり教えます。
26卒夏インターンはもう応募締め切りのところもあるので乗り遅れないように気を付けましょう。(2024/6/21)