第20回:羽生選手が語る「表現について」
羽生選手は技術もさることながら、豊かで美しい表現力も魅力です。観ている側の、目を奪い感情を揺さぶるような豊かな表現力はどこから生まれるのでしょうか。羽生選手に、インタビューでお伺いしました。

感受性の豊かさは
子供の頃からです
子供の頃から感受性が豊かだったと思います。音楽を聴いていてもすごく入り込んでしまい、身体が自然に動いてしまいますし、そもそも感情の量が大きいです。思いっきり感情を自分の内側にためて氷上で爆発させるような感覚のときもあります。
感受性は豊かなところは、ある意味フィギュア向きだと思うので、フィギュアに出会えてよかったなと思います。
表現する時には、
全てを受けとめようとします
表現するときには、その曲が持つ感情やテーマのようなものを自分の内側に受けとめようとしてしまいます。それこそ溢れるくらいに、自分の内側に感情を膨らませます。 例えば演技する曲が、苦しみや悲しみのような重いテーマだと、そういった感情を全部受けとめようとしまうので、入り込みすぎて辛くなることもありますね。でも僕は人の内側にある感情を表現することは嫌いじゃないんですよね。
フィギュアは自分の感情を
表現しきれる場所
話すときの言葉ってある程度制約があって、これは言えないとか、言ってはダメとか、いろいろあるじゃないですか。それにすべての感情は言葉にできるわけではありません。氷上は自分の言葉にならない感情も含めて「表現しきれる場所」だと思います。自分にとって氷上は一番自分らしくいられる場所だなと思いますし、フィギュアをできて幸せだなと思います。

羽生選手は、取材の際に、丁寧な言葉遣いでときにはスタッフを和ませてくれながら気を使って接してくださるのが印象的でした。その礼儀正しさはどこからくるのでしょうか?
言葉遣いは、両親や姉に子供のころから気をつけるように言われてきました。あと僕が大切にしているのは、礼儀です。氷に対しもそうですけど、自分の体にもそうだし、選手同士はもちろん、周りのお世話になっている方に、礼儀を大切にしたいなと思います。そんなに大げさなことではないんですよ。例えば、目上の人との接するときに、言葉遣いもそうですし、道を「どうぞ」と先に譲るなども当たり前のことですが、日ごろから意識しています。



