「心ある」という古い日本語の表現が好きなサラマです
「あなたは心ある人ですね」とか。
「それは心ない行為だ」とか。
日本語において 〈心〉 というのは「心が良い」とか「心が悪い」とか善し悪しでは語られません。
「心がある」か「心がない」か、有無で話されるものです。
これは、日本文化圏において〈心〉 ってものが絶対的な善、それ自体が “善きもの” として取り扱われることを示していると思うのですね。
古代日本人の世界観
という観点を普段からサラマが持っているっていう前提で話していきますが、
『モアナと伝説の海』めちゃくちゃいい映画じゃないですか?
Little fearless leader! #MoanaMondays pic.twitter.com/s3HtBiLOZG
— Moana (@DisneyMoana) 2017年3月27日
これからの時代を生きていくであろうケニ子世代にはジブリと同じくらい刷り込んでおいていいじゃないと思う映画
性別が重要ではない!
ディズニー映画ってのは古くは社会においてあるべきとされる女性像が投影されていたのは否めないし、
アナ雪はいろいろと従来のディズニーにおける女性像からの脱却を試みた革新的な作品だとか言われるけれども、
もしもエルサとアナが男兄弟で<ドレスを着ている>プリンセス要素が抜けてしまったら、
物語の本質をつかむには幼過ぎるガールズたちの心を今ほどにつかまなかったのではないかと思う私
『モアナと伝説の海』は、登場人物の性別を変えてしまっても、
例えば、モアナを少年に、マウイを女性に、女神テ・フィティを男神にかえて描いていたとしても同じくらいのインパクトを残せるという点で、今後の世界のジェンダーフリーの流れに合致する、長く残っていける作品だと思うのです。
ジブリは意外とそういう映画多い。例えばさつきとめいが男兄弟として描かれていたとしても展開に影響なかったはずで、だからこそ時代を超えて愛されるのだと思うのです。
シンプルなストーリーがいい!
近年たまにみるいろんな要素がゴチャっと凝縮して詰め込まれたような感じがない。
恋愛要素がゼロのもいい。
男と女がカップルになる展開は、欧米文化にちょっとお腹いっぱいなサラマとしては、正直、もう結構なのだわ
「お姫様が王子様に救われるのを必ずしも待っている必要はない」ってのが近年言われているけれども、私に言わせりゃ「出てくる男女が必ずしも恋仲にならなくてもいい」しさ。
男女を一対にする方向性ってどうしても根底に宗教のにおいを感じてしまって、子供向けのコンテンツに埋め込まれちゃうと途端に気持ちが低空飛行する私よ。
有色人種のモアナ!
私が子育てで意識しているのが、どこにいても容姿的にマイノリティになる我が子たちが(マイノリティであるという理由で)常に無意識に一歩ひいた態度を身につけてしまわないように、ということです
「たまたま自分たちが今住んでいる場所ではマイノリティ側になっているけれども、世界にはいろんな姿かたちの人がいるのだ」という事実を早く知ったところでデメリットはなく、そういうわけで見せるコンテンツのヒーローやヒロインの人種が偏らないよう配慮しているサラマ
この映画はポリネシア諸島が舞台とされていると言われるだけあって、モアナは黒髪に褐色の肌。
ヒーローのマウイも、細身でシュッとしていて男前、みたいな、典型的な美しさを基準に設定されていないのがいい。
溶岩の悪魔テ・カァの正体
私が「クゥ!」と唸った予想外の設定、
溶岩の悪魔テ・カアが実は〈心〉を失ったテ・フィティだったっていうオチ
そうなのよ!
心ってのは善し悪しじゃないんだ!有るか無いかなんだよ!
物語のベースの価値観に〈心〉の重要性があるんですが、
万物の創造神が〈心〉を所有していないとけっこうとっちらかった状態になってしまっているというのは、
なんというか意味深だと思いませんか!?
もしかしたら〈心〉というものに理性の役割をかぶせているのかもしれない。
けど、ここまで重要な役割を担わせる〈心〉ってものについて、余計な説明が入ってこないところがこれまたニクいっ
「ご想像におまかせします」的な。
6歳が推奨年齢となっているけれども、親の解説があれば4歳頃から観れる映画だと思います
ちなみに、
ケニ子には、マウイがテ・カアに立ち向かっていくシーンのマウイの踊りが印象に残ったみたいで「なんでああいうことしてるの?」と尋ねられましたよ
なので、youtubeを使ってニュージーランドの伝統であるハカの説明にけっこう時間を割きました。
結局ルーティンとしては、
この映画をみたあとに、
ウォークライ(ポリネシア系の人々がラグビーの前にやるヤツ)みて、
安室奈美恵がハカと共演するコカ・コーラのCMを観て、
「あー安室ちゃんかっちょええなー」
って締めるのが一連の流れになっております
ケニ子と私@インド洋、タンザニアにて。