*完全妄想のお話。BL要素含みます*






☆side 翔☆









俺は無意識に意識していたのかもしれない…


大野の塾での言動も本当は嬉しくて…


だけど俺自身に自信がなくて…


あれは本心じゃない、からかってるんだ、そう言い聞かせてた…


傷付きたくなかったから…


それは俺が大野こと、特別だと…///





『おお〜!見えてきたぁ♪あそこだよね、水族館…』



「あ、ああ…///……あそこだ…」



『う〜♪ワクワクしてきたぁ♪早く出発したおかげで、駐車場も空いてるみたいっすね〜♫』



「た、たしかにっ…///」





……なんだろう、大野に恋してる、と自覚した途端、胸の高鳴りが半端ない…///


話しかけられると、ドキドキしてしまう…


こっちを見られるとさらにドキドキが増す…


なんとか平常心を保ちながら、駐車場へ入庫…


…がしかしっ……


普段なら難なく駐車スペースへと停められるのに、今日は…


大野が助手席にいるから、緊張して…


上手く停められない…


3回も切り返してやっとだ…


みっともないとこ見せてしまった…


もっとスマートにカッコよく駐車したかった…


…運転下手だな、とか思われたかな……





『着いた〜!ありがとぉございま〜す♫』



「ん…」




思ってない…か?


それにしても、今日の大野の格好…


ほんとによく似合ってる。





『しょお先生〜♫早く〜♫』




もうあんな所まで…


チケット売り場の前でピョンピョン跳ねながら手招きしてる。


なんか……雪の妖精みたい……


って///


なに考えてんだ俺…///


…ていうか、今日の俺の格好……


大野と釣り合ってないんじゃ…


ジーンズにパーカーってラフすぎたか?


しかも…コートにフード付いてるから、ダブルパーカー状態…


なんか…格好悪い…かも…


…って今さらどうしようもないけど。




『先生?どうしたの?運転で疲れちゃった?』



「ぁ…いや……」





立ち止まってた俺の元へ大野が戻ってきた…





『おいらチケット買ってくるから、先生そこで休んでて!』



「ぁ、待てっ…チケット代っ…」





生徒に出させるなんて以ての外!!


慌てて追いかけ、大野の後ろから券売機へお金を投入…


大人1枚と学生1枚…


ボタンを押してチケット購入。





『あ、おいらのは自分で…』



「いい。俺が出す。」



『…いいの?』



「当たり前だ。」



『…ぇへへ///…ありがとぉございますっ♪』



「…っ///」




あ〜もうなんだ?

大野が笑うと、一層胸がドキドキするっ…

恋…してるからか!?

そうなのか!?




『しょお先生?入ろ?』


「…!あ、あぁ…ていうか大野…」


『はい?』


「…こんな公の場で、先生って大声で呼ぶなよ…」





誰に聞かれてるか分かんないだぞ?




『ぁ、そっか…ごめんなさい…でもじゃあ、なんて呼べば…』



「…ふつうに苗字でいいんじゃない?」



『ぇ、なんかヤです………』



「イヤと言われても…」




他に呼び方ないだろ…




『……翔…さん…でいい?』


「下の名前か!?いやでもさっきまで翔先生、って…先生が、さんに変わっただけ…べつに構わないか…」


『翔さん?…だめ?』


「いやっ…駄目ではないがっ…///」




先生、がないだけでこんなにも違うものか?


両親以外から名前で呼ばれたことないから…


なんだかむず痒い…///




『…が?』


「いやっ…いいっ!それで!!」


『やった♪んじゃ行こ!翔さん!最初はね、クラゲゾーンだって!』


「そ、そうか、クラゲか…た、楽しみだなっ///」





俺の袖口を引っ張って先を進む大野…

その大野の足取りはすこぶる軽く…

ふわふわ髪の毛が上下に揺れて…


………可愛いな///




「…………」




ヤバいな…


俺、大野のこと本気で……


でも大野はまだ高校生で…


…いっときの感情で大野の一生を台無しにしてしまうかもしれない…


…俺は…応えてはいけない気がする。





『しょおさ〜ん!見て見て〜このクラゲちっちゃくて可愛い〜♪』


「ん、ん〜…」


『わぁ…こっちのは足長〜い…優雅に泳いでる〜……ねっ!』


「あ、あぁ…」


『………次、行きます?』


「そうだね…」




次は…超特大水槽に様々な魚たち。


見慣れた魚、アジや、タコ、エイもいる…


おお…サメだ…カメも!


ほかにもたくさん……


すごいな、圧巻だ…


思わず見入ってしまっていて…




「!!大野はっ…」




ふと、我に返った。




『んふふっ…ここにいますよ〜♪』




すぐ隣りにいた。




「悪い…つい自分の世界に……」


『気にしないでください♪水族館ってそういう所じゃないんすか?おいらもついつい1人の世界に入っちゃうから…』


「そうか…それにしても、この水槽、すごいな?」


『ねっ!おいらず〜っとサメ追いかけてた!』


「…サメが好きなのか?」


『好き〜♪怖い印象あるけど、カッコイイし、それになんか目とか可愛くないっすか?』


「…言われてみれば……」


『んふふっ♪』





そしてまた、水槽の中を眺めてる。


なるほど、大野はサメが好きなのか…




『…翔さん、クラゲは苦手なんすか?』


「ぇ?…そんなことはないが…」


『…さっき上の空だったから…』


「あ〜…ちょっと別のこと考えてて…」


『…別のことって?』


「…大野には……関係ないことだ…」


『…ふ〜ん……』




ん?

どうしてそんなにむくれてるんだ?




「ぁ、そういえばもうすぐアシカのショーがあるみたいだけど…観るか?」


『観る!!』




あ、戻ったww

百面相だな…

なんだか面白い。

…まぁとりあえず今は……

この瞬間を楽しむか…